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【無料】親父の一番長い毎日

2020年のnote一発目です。
今年もよろしくお願いします。

さて、いきなりですが、私の親父の話をします。

親父は某一流企業の会社に勤めたのちに定年退職。
それから10数年、一応は老後と言える日々を過ごす毎日。

しかし、老後と呼ぶにはどう考えても早い。
見た目は若く、健康にも恵まれている。
そして、まだまだ精神的にも若い。

ちょこちょこと仕事っぽいことをする時もあるが、ここ数年で明らかに目の輝きは失った。

やはり、今までの立場や役職を失ったことは非常に大きい。
おそらく、男とはそういうものだろう。

その中でも親父はプライドが高く、この現状を受け止めきれていないようにも見える。

求められない。認められない。褒められない。

プライドの高い人間が社会から離れると、忸怩たる思いになるのは誰でも同じかもしれない。

しかし、毎日毎日腐っているわけでもない。
親父はなぜか多趣味だ。何かと趣味を見つけては飽き、次から次に趣味を変えている。

本当に趣味はバカにできない。
仕事だけが人生ではないし、仕事を辞めても人は生きる。

私ごときの若輩者が言うのもなんだが、人が生きる上で大切なのは家族、仕事、趣味なのかもしれない。

その三代巨頭の一角に趣味は入る。

そんななか、親父の数ある趣味の中で1番没頭しているのは絵である。

定年後、いきなり親父は絵を描き始めた。

絵を描いては部屋に飾り始めた。
そんなことを続けているうちに、親父は絵を人から頼まれるようになった。

頼まれた人のために、また絵を描く。

不思議なもので、人は誰かから求められだすと、少しずつ目の輝きを取り戻し始める。

褒められると本当に嬉しそうだ。やはり男とは何歳になってもそういうものなのだろう。

私はその姿を見て内心ホッとしていた。

しかし、絵を頼んできた人たちには、もう全員分描いた。
すでに同じ人に何枚も絵を描くことになってきてしまい、絵を貰う側も少しずつ微妙な顔つきになってきた。

よく考えたら当たり前の話だ。そんな何枚も絵を貰ってもしょうがない。

もう、貰い手もいなく、誰かのために絵を描くことは難しくなった。

それでも親父は絵を描いている。誰のためでもなく夢中で絵を描いている。

ただただ無心になろうとしているのか…
何かを忘れようとしているのか…
誰に見せるでもない。また、自己満足の繰り返しに戻った。

絵を描く背中は以前より寂しそうに見える。

私は親父と離れて暮らすようになり、もう20年ほど経つ。
比較的一人暮らしを始めたのも早い。
それゆえ、この20年間の親父の全てを知るわけじゃない。

だが、私の年齢も30代中頃になり、親父に対しての気持ちも微妙に変化してきている。

何かしら力になってやりたいと思えるようになってきた。

求められたい。認められたい。褒められたい。

ただでさえプライドの高い親父が、何かしらの承認欲求を欲しているのは理解できる。

SNSなども当然やらない。それどころか、コンピューター系にはめっぽう弱い。

私自身が、そんな親父の絵をたくさんの人に見てほしいという思いができた。

そして、もし欲しい人がいれば…

という厚かましい気持ちが出てきてしまい…

この正月、何となくその思いを親父に言ってみたところ、親父も嬉しそうだった。

決して上手とは言えないが、絵に温もりはある。
さらに、その絵が部屋に一枚あれば、どこか家に平和な空気を醸し出してくれる。

身内びいきと思われるかもしれないが、本当にそんな絵だと私は思う。

本当に日々一生懸命に描いている絵だからこそ、誰かに届けたい。

もし、よろしければ…という思いを込めて、文に記しておきます。

どこの誰だか分からんおじさんの描いた絵なんて…と思われるのは百も承知です。
しょせんはド素人の絵ですから、価値などありません。

だけど、もしも、もしも
絵だけを見て、少しでも気に入ってもらえたら、私に連絡をください。

親父の一番長い毎日に少しでも意味を与えたいと思いました。

こんなところで何を言うてるんだという話だとは承知してますが、少しでも"誰かから評価されていること"をプライドの高い親父に伝えてあげたいのです。

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よろしくお願いします。

#親父 #絵 #よろしくお願いします

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