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人工肉市場の現在を紐解く〜Beyond meat、Impossible Foods〜

背景

2019年10月にHeart Driven Fundメンバーでアメリカへ行った際に、meat-freeな人工肉が多く販売されており、自身でもいくつか食べてみて一つの流れを感じたことをきっかけに、人工肉市場についてまとめてみました。

人工肉(培養肉)とは?

一般的には肉といえば、牛肉、豚肉、鶏肉のような動物の肉を指します。それに対して人工肉とは、動物に由来しない肉のことを指します。大豆など植物由来のもの、そして培養技術を使った培養肉があります。

日本だとまだ馴染みがない方も多いと思いますが、北米を中心に海外では人工肉の需要が高まっており、フードテックスタートアップも盛り上がっています。

人工肉(培養肉)の市場規模は?

日本能率協会総合研究所によると、人工肉のグローバル市場規模は、2020年に1,200億円、2023年に1,500億円程度に成長すると予想されています。

また、Zion Market Researchによると、食肉全体のグローバル市場規模は、2022年に160兆円程度と予想されるので、人工肉は食肉全体の0.1%〜を占める規模感になるとわかります。

人工肉市場が成長する背景

人工肉市場が成長する理由はいくつか挙げられます。

1. 環境問題(サステナビリティ)
2. 嗜好の多様性(健康志向、ビーガン等)
3. 宗教問題

「1. 環境問題(サステナビリティ)」は、畜産業において消費されるエネルギーが大きなことが問題視されています。
ミシガン大学が発表したデータによると、ある人工肉は従来の牛肉に比較して、下記の資源を削減する効果があるそうです。

・エネルギー消費 46%
・温暖化ガス排出 90%
・土地利用 93%
・水 99%

「2. 嗜好の多様性」に関しては、動物肉を食べないビーガンや健康志向の人々でも食べられることです。グルテンフリーのハンバーグなど加工食品として食卓に並ぶこともあります。

「3. 宗教問題」は、宗教上の理由から特定の動物肉を食べられない人々でも安心して食べられることです。ただし、ハラール表記が浸透してるエリアも多く、この問題に関しては他のアプローチでも解決できるかもしれません。

人工肉ビジネスの注目企業

1. Beyond meat

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Beyond meatは、2009年にアメリカで創業。2019年5月にNASDAQ上場。2019年11月15日現在の時価総額は約$5B。
2019-3Qで売上はYoYで250%成長、$92M。純利益で$4.1M。

自社ブランドでスーパーマーケットなど量販店に肉を販売しており、マクドナルド、Subway、Dunkin' Donutsなど飲食店でも使われています。飲食店、スーパーマーケット、ホテルなど合計58,000店舗以上で販売実績あり。

2. Impossible Foods

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Impossible Foodsは未上場・ユニコーン(時価総額$1B以上)で、Beyond meatと同じく有名。Crunchbaseによると、トータル$687.5Mを調達済み。香港VCのHorizons Ventures、シンガポールのTemasek Holdingsなどアジア系の投資家が多い模様。

Beyond meatと同じく肉を卸しているものの、「Impossible Burger」の名が高い認知度を誇るなど、ブランドになりつつあるようです。実際にアメリカのレストランなどで「Impossible Burger」のメニューがある。(Beyond○○は見たことない。あるかもしれませんが。)

上記の投資家の影響からか、香港にも事業展開してます。(事業と投資家どちらが先か不明)

3. Quorn Foods

イギリスにて1998年創業。ミートフリー(meat free)の冷凍食品を取り扱う。チキンナゲット(風)、パテ(風)、ミートボール(風)など。
Crunchbaseによると、2015年にフィリピンの食品大手Monde Nissinが買収。

上記企業以外にも、牛肉だけではなく、豚肉、鶏肉、ラムなど他の肉に似せた製品、栄養価を高くした製品、ファストフードに特化した製品など世界中で人工肉スタートアップが生まれています。

現地で食べてみた・聞いてみた感想

冒頭でもお伝えしたとおり、2019年10月にアメリカへ行った際にいくつか食べてみました。

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NewYorkの某レストランでは、Impossible Burger。メニューに"Impossbile"と書かれてます。見た目は普通のハンバーガーで、食感が少しパサパサしてるかな、という感じ。肉感があって美味しい!とはなりませんでした。。なお、現地の人に「Impossible Burger知ってる?」と聞くと、「知ってるけど食べたことない」という回答がちらほら。

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San FranciscoのSubway(サブウェイ)では、ミートボールサンドイッチにデフォルトでBeyond meatが使われていました。店内には"Beyond meat"らしき表記ナシ。プレスリリースなどにはがっつり掲載されてます。
こちらはミートボールというだけあって、ケチャップでしっかり味付けされており、ほとんど食感も気にならず、美味しく頂きました。

まとめ

食は文化に大きく影響されており、地域によって様々ですが、確実に人工肉スタートアップたちがアメリカ生活に滲み出しているのを感じました。(上場企業も出てる)

美味しいor美味しくない、栄養あるorない、のような単純な二項対立ではなく、SGDsに代表される環境問題、宗教問題、人々の多様性などあらゆる問題を取り巻く業界です。

日本でもフードD2Cなどいくつかスタートアップが出てきており、今後どのようにフード業界が盛り上がっていくのか、注目です。

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