謎解きはディナーのあとで
けっこう前の本なんですね。僕的にはまだ、少し前の本くらいの感覚だったんですけど、10年くらい前の本ですね。
謎解きはディナーのあとで
ミステリーなんだけど、そんなに重くないというか、ユーモアがあるというか。
6つの短編になっていて、どれも殺人事件が起きて、それを解決していくというものなんだけど、いわゆる世間を震撼させる大事件ってものではなくて、とても人間臭い、人間らしい、そんな事件です。
ま、人ひとり死ぬんで、大事ちゃ大事件なんですけどね。
ただ、登場人物などの設定が現実離れし過ぎてるから、人が殺されてるんだけど、なんか面白く読めるって感じですかね。
どう現実離れしてるかというと、まずは主人公の女性刑事。この人は、超大富豪の令嬢で、それを伏せて警察署の刑事をやってるんですね。職場では新米刑事だけど、家に帰れば、執事を従えるお嬢様というわけです。
その上司の警部さんは、大手自動車会社の御曹司で、ジャガーにパトライトを付けて走りたいという動機で刑事になったというもので、実際にシルバーのジャガーで現場に現れるという設定。
飛んでるでしょ?
で、基本的には警察側の登場人物はこの2人。
この2人が殺人事件現場に現れて、現場を見て、遺体を見て、関係者から話を聞く。
現場や遺体や関係者の話から、矛盾点を見つけ、話をつなぎ、物と話を結び付け、推理を展開していく、という展開です。
ですが、事件を的確に推理して、犯人を絞り込んで行くのは、この2人じゃないんです。
お嬢様に仕える執事なんですね。
この、謎の執事が極めて頭脳明晰なんです。
お嬢様の眼は節穴ですか?
お嬢様はアホでいらっしゃいますか?
などと、ちょー無礼な言葉を発しながらも、理路整然と事件を紐解いていきます。
話の展開としては、少し前に読んだ
ビブリア古書堂の事件手帖
に似てるかなと思いました。
6つの事件はこんな感じです。
殺人現場では靴をお脱ぎください
アパートの一室で、そこに住んでいる女性がブーツを履いたまま絞殺死体で見つかる。
なぜ自分の部屋の中で、ブーツを履いてる?
外で殺されて運び込まれた?
執事が解き明かします
殺しのワインはいかがでしょう
動物病院の院長が青酸カリ入りのワインを飲んで殺される。
いや、自殺か?
殺しだとすれば、巧妙に新品のワインに青酸カリを入れないといけないが…
そんなことができるのか?
執事が解き明かします
綺麗な薔薇には殺意がございます
ホテルの創業者の豪邸のバラ園で、その創業者の息子の恋人の死体が発見される。
なぜバラ園に死体を置かなければならないのか?
そこに犯人割り出しの鍵がある。
執事が解き明かします
花嫁は密室の中でございます
豪邸での親しい者だけの結婚披露宴の最中に、花嫁さんがいなくなる。
自室で背中を刺されて重傷を負っていた。
完全な密室状態。
執事が解き明かします
その他
二股にはお気をつけください
あるマンションでそこに住む男性が、全裸の状態で殺されているのが発見されます。
この男、二股ならぬ、四股をかけていたことが分かった。
犯人は4人のうちの誰か?
鍵は、シークレットシューズ。
執事が解き明かします。
死者からの伝言をどうぞ
金融会社社長が自宅で殺される。
必死に残そうとしたダイイングメッセージは、犯人から拭われて読めなくなっている。
犯人はその後、家にあったトロフィーを2階のガラスに叩きつけて大きな音をさせるというアリバイ工作をやっていた。
なんの意図が?
執事が解き明かします。
どれも警察小説的にはぶっ飛んでますけど、とても面白く、執事の推理がとても痛快です。
頭の体操にもってこいって感じですかね。
気楽に読める小説です。
以上でーす。
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