#181 ヘンロコロガシにあう 2020年10月16日
この旅で転んだのは初めて。転んだ先の朽ち木に捕まるが、ボロボロ崩れ落ちる。根は生きていたらしく、そこに捕まり大事とはならず。
お四国八十八ヶ所霊場巡礼 独りお遍路1,200km通し打ち 27日目。
ヘンロコロガシとは、お遍路さんを簡単に転ばせてしまう道の愛称のようだ。
12番焼山寺にはたくさんあったが、その後はあまり見ない。
緑色の大きな岩にスパイク跡があったので、ここは滑るなぁと思っていたが、草木で足のポジションはそこにしかおけず、案の定滑った。
靴のソールの擦り減りもそうだが、やはり疲れているのだろうか。
昨日から少し変だった。ホテルはお湯が出ず、水のシャワーを浴びた。いつになく筋肉の張りは酷い。目当ての焼肉屋も金曜定休のはずが、木曜休み。代替案の焼肉はもうひと頑張りの店で、ニンニクと唐辛子、コチュジャンを別注し、タレに注ぎ込み肉を食った。
起床し、洗濯できなかった汗をたっぷり吸った白衣に袖を通して窓を見れば、美しい朝焼けは1日の終わりの様相を示していた。まったく力が漲らない。
歩き出し10km。何を見ても感動がない。力のないまま歩いた。
標高500mの山へ行こうか。それとも平坦な海辺へ逃げようか。
そればかり考えていた。
登山口手前のコンビニで、100円のメンチカツにソースをつけて食うと、なぜか前向きになり、山に向けて歩きだす。(やはり疲れた時はソース味なのだ。)
平坦な海辺を歩いてもお遍路。旧遍路道の山に登ってもお遍路。
だけど、嫌なところから逃げ、仮にお遍路を廻り切ったとしても、いったい何の意味があろうか。
登り始めると、汗が噴き出し、だんだん力が湧いてくる。
緩い傾斜、キツい傾斜を繰り返す。終わったと思えば急傾斜がくるイヤな山。
でも一歩一歩登れば、頂上は近づいてくると信じられた。
写真は頂上から少し降りたところ。
この景色を見た時、本当に素晴らしい1日になったと思えた。
そして弾むように下山し、ヘンロコロガシに合う。
調子に乗るなよ。
と言われた気がした。
今日は、四十番付近のビジネスホテルから24km歩く。行動時間は7時間40分。(総行動時間212時間07分、総移動距離650.8km)