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インタープリター養成講座受けてきました

土日の2日間、日本インタープリテーション協会主催の「インタープリター・トレーニング・セミナー」を受講してきました。

TOREってなに?

僕自身が、特に興味を持っていたのは、以前からたびたび呟いている最新のインタープリテーション理論「TORE」。「良いツアーとはなにか」をいろいろ探し回っているうちにたどり着いた理論です。

TOREとは、ツアーを構成する

Theme
Organized
Relevant
Enjoyable

の4つの要素の頭文字のこと

これらの要素がバランスよく含まれているインタープリテーションが良いインタープリテーションだとされている理論で、アメリカで発達してきました。

今回学んだことはたくさんあったのですが、特にテーマ(トピック)に入れ込むメッセージ性の部分、そしてなによりツアーの質に寄与すると考えられるRelevantの重要性、さらにRelevantの作り方(紐付け方)などが大変参考になりました。


日本の商業アウトドアツアーの特に顧客サイドのサイコグラフィックを考えると、最終的にいくつかセグメントと、それに対応したツアーに分解できるのですが、その中で概ね観光系のツアーの良し悪しは、このTOREが事実上唯一の科学的な(論文で論拠を固められている)理論だと思います。

木村考案の顧客セグメントの一例

これは、日本人相手やインバウンド(アドベンチャートラベルも含む)のアウトドアツアーのうち、「道具に紐付かない」ツアーのほとんどで適用できる理論だと思っています。

※適用できないのは、道具に紐付かないツアーのうち、主に「フロー効果」を主な価値とする一部のアクティビティ

心地よいフローの状態を長く持続させることによって満足感を得る

「良いツアー」はなかなか文章化できなくて、見よう見まねで学んだり、あるいはガイドさん本人の資質やキャラクター性に任せられていた部分ですが(もちろんそういう要素はありつつも)、このTOREはある程度、正しい方向を向いたガイディング(というか、インタープリテーションか)の骨格を構成できるのではないか、という気もしています。(もちろん、これだけではダメですが)

マーケティングと同じで、相当な年数の実務を重ねないと体得できないと思うのですが、今後、様々な場面でこのTOREは意識すると思います。

引き続き「良いツアーって何?」を考えていきます。


今回、思ったのは、やはりインタープリテーションとエコツアー/エコツーリズムは、完全に別に考えたほうが受講者の混乱を招かないだろうな、という点でした。インタープリテーションはインタープリテーション。エコツアーはエコツアー。そのほうが、わかりやすい気がします。

インタープリテーションを、「技術」という括りに限定して抽出すると、インバウンドガイドや工場ガイド、街歩きガイド、歴史文化ガイドなどなどあらゆるガイド分野に応用できる概念だと思います。

マーケティングの通常の法則は、まず顧客のニーズを徹底的に調査。浮かび上がってきたニーズ(インサイトを発見したいけど)を商品に生かす。ニーズを抱えている顧客に限定して広告を配信して、効果を最大化させる。というような形だと思いますが、インタープリテーションとエコツアーを結びつけてしまうと、「良いインタープリテーションを行なう=良いツアーになる」という発想になりそうで、完全にプロダクト・アウトの思想になってしまうなと思いました。

日本全国の6000社を調査してきた経験からすると、ツアーの品質が極端に悪くても、周辺に競合がいなければ左うちわの会社もありますし、ウェブサイトが一見きれいで、口コミも集まっていて、何らかの理由で広告費をジャブジャブ使えるような会社があれば(実際ありますが)、ツアーの品質は関係なく、集客できていたりします。

一方で、とてもとても良いツアーを行っていたとしても、競合が多かったり、口コミ集めやマーケティングに無頓着だと、鳴かず飛ばずという会社もあります。

この辺を整理すると、より飛躍できるのではないかな、、なんて思いました。。

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