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エンジニア側から見るボーカリスト。上手いボーカルの必須条件。

最近は指導者として、アレンジャーとして、レコーディングエンジニアとしても様々な角度から生徒たちに接している日々を送っていますが最近生徒たちのオリジナル曲のボーカル録音が立て続けにあり、そのミックスマスタリングをしている中で改めて大事だなと思ったことがあります。
ボーカリストならば持っておくべき意識や技術。

それは

◾️歌の"低音や裏声"と"張り上げる高音"で声量の差が著しいとミックスマスタリングがややこしくなる。
◾️ボーカルは声量の最小値と最大値の振れ幅をできる限り少なくする必要がある。

要するに"低音や裏声"の声量を上げよう!
(↑これめちゃくちゃ大事。)

ということです。

僕は高校2年の時に初めてオリジナル曲のスタジオレコーディングに臨んで、その時のエンジニアさんに厳しく言われたことがあります。
ミキシングルームからヘッドホン越しに言われて恐れおののいたのは今でも鮮明に覚えています。

「ボーカルってそんな小さな声で低音を歌ってないぞ。」

という言葉です。
当時高校生の僕には意味が分からなく、またどうしていいか分からない衝撃的な一言でしたが、今になると激しく理解できます。
これはLIVEでの声の抜け感やクリアなボーカルの出音にも通じてきます。

コンプレッサーの数値の問題。オートメーションでの修正。
ざっくり言うとまずこの2点。

音楽の世界はボーカルの音量を一定に聴かせる為にほぼ100%声にコンプを掛けます。もちろん表現の中には生々しい音にする為に掛けないという選択肢もあります。
コンプは音量の最小値を大きく聴かせる為(全体の音量を均等に聴かせる為)に最大値を削る(潰す)ものです。
音が潰れるということは機械的な音に寄るということで本来の心地よい声の揺らぎが無くなります。
簡単に言うと"ベターっ"とします。表現するのが難しいですが、プロの心を打つボーカルの凄さとどこかかけ離れた何か足りない歌になります。
(もちろんコンプをガッツリ効かせた方が良い曲もありますが。。)

そして小さな声量になりがちなポイントのもうひとつが

"低音から入るアウフタクトの歌い出し"です。

分かりやすい例えとしてレミオロメンの粉雪のサビを上げておきます。
プロは粉雪の"こ"をしっかり発音して、しっかり声も押し出してます。
アマチュアは"こ"よりも"な〜"の方に意識が行って"こ"をないがしろにします。

歌の基本、語頭語尾の処理。歌詞をしっかり伝えるべき歌では語頭の発音と発声は意識に置くだけでも違いが出て上手さに変わります。
低音と高音の声量の差が少ないとコンプが程よい値で済み、よりクリアでリアルな声が音源となります。

LIVEなんかでは特にボーカルの上手いと下手が表れる要因のひとつだと思います。

心を鬼にして分かりやすい画像をお見せします。

心を鬼にして。、二回言っておきます。笑

まずは生徒の波形です↓

生徒の歌の波形。左側が主に低音、右側が主に高音。

左側の波形が小さい=声が小さいということ。
右端の方と比べると明らかな差があります。
ヒソヒソ話から絶叫というイメージ。

次に僕の波形を見て下さい↓

石井の波形。音量差が比較的少ない。

録音に使っている機材、録音時に掛け録りしているコンプの数値は同じです。

楽曲は違いますが、僕が歌っている方にもしっかり低音部はあります。

この波形の生徒だけでなく十中八九他の生徒にもこの傾向は見られます。

僕は自身の音源を宅録で制作もしていて、自分の音源のミックスやマスタリング(音圧を稼ぐ作業)にあまり悩まされたことがありません。
自分で言うのもなんですが僕の声はしっかりした音像で周りに埋もれません。
全体の音量を稼ぐのにも苦労しません。
恐らくそうなってきたのは20代半ばくらいからじゃないかなと今までの経験で感じています。(現在42歳)
エンジニアさんが僕の歌のオートメーションをいじっていたのを最後に見たのが25歳くらいでした。

これまで発声の響きや艶に拘り、追求し、初めてのレコーディングで指摘された低音の小ささも常に意識してきました。
24歳の時にはとあるレコーディングでプロデューサーにリズム感をキツく指摘されチャンスを棒に振ったこともありました。
それから僕のアーティスト人生はリズム感に大きくベクトルを向けることとなりますが、それはまたの機会に。

今回僕が伝えたいことは

低音部分の声量や低音歌い出しのアウフタクト、言葉の頭はしっかり声を押し出していこう!

ということです。
さもないと音源やLIVEで知らず知らずのうちに上手いアーティストに差を付けられていくよ!

ということです。
ただ表現として聴こえるか聴こえないかの歌い方をする場面ももちろんあるということは補足しておきます。

今から始めても遅くはない。この意識を持ち重ねていけば必ず良いレコーディングができるようになるから。
僕は最初に指摘してもらえたのが幸運でした。
本当に。

今回触れてないけどもちろんリズムもピッチも大事です。笑

何よりレコーディングで凹んだ分だけ上達するから何度でもチャレンジして欲しいし何度も凹んでほしい。
そして自分の歌にずっと物足りなさを抱き続けて欲しい。

歌は奥が深いのです。
もちろんどの楽器もですが。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!!

僕が言うことが全て正しいとは言い切れませんが、もっと深く知りたい、上達したいという方は是非レッスンにお越し下さい!
僕の培ってきたボーカル人生の伝えられる限りをお伝えします!

歌の他にもギター弾き語り、オリジナル曲制作、楽曲アレンジ、DTMなど指導させてもらいます!

みなさんの音楽人生に成長と躍動をお届けします!

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