2024/05/24（金）

帰宅途中で電車が遅延し、凝り固まった首と肩を解すために予約していた鍼灸院をやむ無くキャンセルすることになった。前方を走る電車が車両点検中のため駅に停車している間に、空いている扉から大きな蛾が侵入してきた。大学生が小さな悲鳴を上げた。蛾は全く人間を気にする様子もなく、天井の電灯付近で羽を休めていた。車両を移ろうとする人は一人もいない。ボクはHUNTER×HUNTERの蟻編を読んでいて、蛾よりも衝撃的な描写がされている部分を読んでいるから蛾なんて気にしてられなかった。飛ばなくなった蛾に乗客の興味も薄れていく。同じ空間に居ても、飛ばないなら気にする必要はない。大人はそう判断したのか、張り詰めていた空気が徐々に緩んでいく。そのときだった。「パン！！！」と大きな音が聞こえた。「潰したったで〜」とヤンチャな男子学生が現れた。最初に小さな悲鳴を上げた大学生が小さく手を叩いていた。他にも何人か、彼に声を掛けていた。車両点検が終わったとアナウンスが響き、何事もなかったように電車は動き出した。ボクは鍼灸院の空き時間をLINEで聞いて、来週の同じ時間に予約を入れた。