技術の進歩は歓迎するけど音は無くなって欲しくない

ガタンゴトン、ガタンゴトン。

電車が走る音に耳を傾けてみて気付いた。インバーター音のような、風を切るような『フィーーーーン』という音は聞こえるけれど、車輪と線路から発せられる音はほとんど聞こえない。2027年の開通は見送ることになったリニアモーターカーが普及すれば、『ガタンゴトン』のエキマトペが消えてしまうかもしれない。絵本の読み聞かせをするときに、リニアモーターカーの駆動音が素っ気ないものだと、子どもたちだけじゃなく大人も物足りないだろう。

電気自動車にしか乗ったことのない子どもなら、鍵を回してもなかなかエンジンが掛からないときの『ウォキッキっキッキっキッキっキッキっ』を知らないかもしれない。上手くエンジンが掛かったときの、『ブルン!ブルーン!』と威勢の良い音が好きだった。父は未だにミッション車に乗っているから、たまに乗せてもらったときに聞くあの音は旅の始まりを告げるBGMのようだ。子どもの頃に、車でいろんな場所に連れて行ってもらった記憶を思い出すからかもしれない。

産業革命以降、生活に欠かせない存在になった機械たちも、環境に配慮する時代の波に飲まれ、50年後に跡形もなく消え去ってしまうことは容易に想像できてしまう。そのとき『音』はどれくらい残ってるんだろう。

踏切の音、電車の扉が開く音、ホームに響く音楽、車内や駅のアナウンス。イヤホンを付けて聞こえないこともあるけど、無音の電車で会話するのはシャイなボクにとってはハードルが高そうだ。朝の静かな電車で、声を張り上げて話している人と遭遇したときは、その羞恥心のない振る舞いに憧れてしまうこともある。周りは迷惑でしかないけれど、いつでもどこでも大きな声で思っていることが言えるのは、生きていく上で大切なことだと思う。

極端な例かもしれないが、言葉の通じない国に放り出されても、気持ちを身振り手振りで表現できれば、同じ人間であれば何を伝えようとしてるか理解してもらえるだろう。そんな状況で、恥ずかしいなんて言ってられない。まだ産業が発展していないその国には、機械なんてなくて、夜は国が眠る。満点の星空を見ながら、風の音を聞き、夢を語り合う。

『いつかあの星まで行きたいんだ』

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