超短編小説「口の悪い猫達8」

どれくらい時間が経っただろうか?
ふと目が覚めるとみんな起きていた。

そろそろ行こうか、もうすぐだよ。

トムが言った。トムも寝ていたようだ。

綺麗な岩盤を過ぎるとその先は巨大な鍾乳洞になっていた。

なんて綺麗なの。

メリーがうっとりしていた。
こんな顔を見たのは初めてだ。
それを見たスパイダーもうっとりしていた。やれやれ。

よく見ると鍾乳洞の壁には無数の穴が空いている。
ほぼすべての穴に猫が住んでいるようだ。

ここが俺たちの村だよ

トムが言った。

集落みたいなのを想像してたのか? 
猫が家を建てれる訳無いじゃないか。

トムが笑いながら言う。 

ここで待っててくれ。
ここのボスを連れてくるから。 

どうやらボス猫がいるらしい。

どんなヤツなんだろうな?

チャコールが言った。

5匹とも食べられなきゃいいけど…

メリーがとんでもない事を言うのでピートがビビっている。ここまで来てそんな事にはならんだろう。

よく来たなお主ら

ボスのお出ましだ。身体こそ大きさは俺達と変わらないが見た目が猫というより獅子だ。
見た目のイカツさで言うと、化け猫だ。
ピートが完全にビビって俺にしがみついている。暑苦しい。

何も心配せんでもお前さんらを食べたりせんわ。
わしはここの長をしているステファン
村を案内するからついて来なさい。

見た目とは裏腹に可愛い名前だ。
5匹ともそう思ったに違いない。

ついていくと綺麗な湖があった。
変わった色の見たことの無い魚も泳いでいる。
ピートがとても入りたそうにしているが水に入れる猫は珍しいのでステファンには気づいてもらえなかった。

みんな魚を捕りたいが水がダメでね、しっぽを水に垂らしているヤツもいるが魚に噛まれて怪我をしているよ。

そう話すステファンのしっぽにも噛まれた跡があり、思わず笑ってしまいそうになった5匹であった。

つづく

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