超短編小説「口の悪い猫達9」

湖沿いを歩きながらチャコールが言った。

ここで暮らせるもんなら暮らしたいな。

確かにここは人間達の資材置き場の土管の中なんかより100倍良いし人間に鷲掴みにされて蹴っ飛ばされる心配も無い。

空き家の穴もあるから気に入ったなら住むといい。

ステファンが言った。

この島はたまに人間たちが釣りしに来たりするが住んでる者は居ないし猫以外の他の動物も住んでいないから楽園と言えば楽園だぞ。

ステファンがかなり勧めてくる。そういえばピートが湖を気に入ったせいかいつの間にか居なくなっている。

みんなと話し合って考えてみるよ

と言ったがピート以外の4匹はここに住む気、満々である。

ピートを探してくるわ

メリーがスパイダーを連れて湖の方に戻って行った。
ステファンも案内が終わったと言い帰って行った。

とりあえず巣穴の選別でもする?

チャコールが言ったが、とは言っても岩壁に穴が空いてるだけなのでどこに住んでも良いと思っていた。

その頃メリーとスパイダーは湖に向かっていた。

どう思う?話が上手すぎると思わない?

確かにトントン拍子すぎるとは思うけどステファンはイイやつだろうし大丈夫だって。

スパイダーはホントに危機感が無い。
人間界なら真っ先に詐欺に引っかかるタイプだ。

そうこうしているうちに湖に着いたがピートが居ない。

湖で魚でも獲ってるんじゃない?

スパイダーは脳天気な事しか言わない。
だが言ってる事は合っていた。メリーは用心深い方なので一瞬青ざめた顔をしていた。

湖をよく見るとピートが魚を追い掛けているのが見えた。

あいつの先祖はきっと魚だ

そんなこと言ってたら魚貰えないわよ

鍾乳洞の中には湖しか無いので食料の調達は外に出ないといけない。
でもピートがいればここから出なくても食料にありつけるかもしれないからかなり貴重なのだ。
2匹がピートを見守ってるとギャラリーが湧いてきた。
それもそうだ、泳げる猫なんて聞いたことが無い。

みんなが見てるのも気づかないくらいピートは夢中になっていた。

つづく

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