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ベッポというおじいさんとの出会い

わたしがベッポに出会ったのはまだ小学生のころ。
もちろんお話しの中でです。

ミヒャエル・エンデの「モモ」に登場するモモの親友のひとりです。
映像化もされたのですが、ベッポの出番は少なくちょっと残念に思っていました。

それもそのはず、もしベッポが今の時代にいてYouTubeとかアップしてたとしたらきっと「2✖️」を選択して倍速にしてもテンポが遅過ぎて観るひとが少なそうだからです。

小学生のわたしは毎日のように、先生や周りの大人や子供から
早くしなさい!
チャッチャッと終わらせる!
サッサとしなさい!
遅い!
もっと早く喋ってくれない?
どうして時間内に給食がたべれないの?等々
イライラさせてしまう子供でした。


そんな子供時代に
「じっくり考えて、応えるまでもないと思うと黙っている。答えが必要だと思うと、よおーく考えて2時間とか、場合によっては丸一日考えて、ゆっくりおもむろに返事をする」
と言うベッポに衝撃をうけ、安心し勝手に親近感をもっていました。
と言うのは、わたしも
ベッポと同じように返事をするタイミングが遅く笑われたり、黙っていると気を悪くされたり、頭おかしいひとと思われていたからです。
そんなベッポに
「わたし、きっとあなたの話し聞けると思うよ」
と話しかけていました。

そんなわたしも大人になり、生きる術を学び
タイミングよく頷くことや
なんでやねんみたいにツッコミを入れることが出来るようになり
なんとかこの時代についてゆけるようになりました。


そればかりか、よく勘違いをされ
カウンセラー向いてると思うとか
聞いてくれてありがとうと言われることも多く
走ってるスピードをおとしたいひとやふと立ち止まりたいひとがたくさんいる時代なのかもしれないなぁ

昭和のフォークソングのイントロは今の倍ぐらい長くて16秒ほどだったそうです。
今は一曲をゆったり味わって聴くには忙しすぎるのか
待つことが苦手になっているのか。


1976年に書かれた児童文学「モモ」ですが、エンデがあとがきに
「過去に起こったことのように話しましたね。でもそれを将来起こることとしてお話ししてもよかったんですよ・・・」と記していることにドキッとしました。


あの頃、このままでいいんだと思わせてくれたベッポおじいさん、ありがとう。今も感謝しています。

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