いつかの土日
ワクチン5回目のお知らせが届く。打つと必ず2日は苦しむ。苦しむと分かっていながら4回も打ったのはコロナが流行っていたからだけれど、落ち着いた今はどうしようか迷っている。大切な休みを1日たりとも無駄にしたくはない。とりあえずシュレッダーの上に置いて3日経つ。当然、何も変化はない。シュレッダーにかけることにした。
森見登美彦の「走れメロス」を眠る前に読むのが日課になった。山月記を読み、藪の中を読み、いよいよ走れメロスを読む。京都のメロスはどうやら走らなそうだとワクワクしたところまで読んで眠ることにした。
久しぶりに家に一人になり、とりあえず本屋へ行く。本を眺めていると安心する。沢山の本たちが全てを肯定してくれるようだ。ひたすら時を忘れて本の海を泳いでいた時、途中でスマホが鳴り現実に戻る。誰かからラインでもきたんだろう。今はただ一人にさせてくれ、と思う。
朝井リョウさんの「スター」を手に取る。こんなに本があるのに、買いたい本が見つかるのは不思議だ。積読とは、明日も生きるという決意である。
それからサウナへ行く。サウナの熱さは得意ではないが、なんせ今日は時間があるので、たっぷり入ってみたいし、巷で流行りの「整って」みたい。サウナの中には常連と思われる客が四人いた。年齢はバラバラだが、サウナで知り合った関係なのか元々友達なのか分からないがずっと話し込んでいた。「妹が犬と暮らしていた頃はどこか安心していた。もう犬はいなくなってしまったが、年も年なので新しい犬を飼うわけにはいかない。妹の旦那さんはあまり犬が好きじゃなかったみたいで、犬も旦那さんには懐かなかったが郵便配達のお兄さんにはよく懐いていた。郵便配達のお兄さんのポケットにはいつもドッグフードが入っていた。」そんなことを話していた。知らない人の犬の話を聞きながら過ごしていたが、10分が限界だった。水風呂もサウナは得意ではなかった。早々にあがった。
帰宅し、お酒を飲むことにする。何回観たか分からない大好きな「夜は短し歩けよ乙女」を観る。この映画はサジェストに「意味が分からない」と出る。つまり、とても良い映画である。良い映画や音楽というのは、意味なんて要らず、ただ感じるだけで良いんだ。批評やレビューなんて意味がない。とにかく心を耕して、自分の好きな事や物をしっかりと理解していて、好きを貫くのみだ。
なんてことを思いながら休日が終わった。