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ゆいにしおの『mid-20s的生活』- #3 mid-20sとかわいげ -

これを読んでくださっているmid-20sのみんな、あなたに「かわいげ」はありますか。
私は圧倒的に「かわいげ」がない側の人間です。




かわいげのことをうまく説明するのはなかなか大変なので、例を挙げさせていただきます。

例えば、適度にいじられる程よく近いパーソナルスペースを持っている。
社内のチャットにかわいらしいスタンプを適切につけられる。
こういう「仕草」がかわいげだと思います。
読んでくださっているあなたにも、思い当たるかわいげ仕草、あるのではないでしょうか。

なかでも、ばったり友人や仕事での知り合いなど、
親しい人を見つけたときに「あーーーー♡」と笑顔で手を振って駆け寄る、
あれこそが「かわいげ」の真骨頂。
私は、「あーーー♡」が本当に下手。前世に愛想を置いてきたのでしょうか。
あげくのはてに、女子校時代の友人などと会うと、
「ッア”ーーーーー!!」という雄叫びが出てしまいます。
女子校の実態は動物園に近いので、その頃を思い出して野太い声が出てしまうのです。

別に「あーーー♡」を伝えたくない相手にかわいげを出す必要はないのです。
問題なのは、会えて心から嬉しい人に「かわいげ」を出せないこと。
男女問わず、人間として好きな人には手を振ってかけよりたい。
「私に会いたがってくれてたんだなあ」と思ってほしい。
なのに、実際は「…おつかれッス」という情けない空気音のような挨拶がこぼれ落ち、
中途半端に上げた右手が力なく垂れ下がってしまうのでした。

そんな日々を過ごしていたけれど、最近とっておきの処世術を編み出しました。
それは、自分にとって一番かわいげがあると思う人を降臨させること。知り合いでも芸能人でもいい。
私の場合は母。母はかわいげの天才です。
お店などでちょっとしたお願いごとをするときなど、
声を高めにして、キュートな仕草をしてみたりする。
血の繋がった娘ですらかわいすぎると思ってしまうほどの、かわいげの天才だ。

かくして私は、かわいげにほぼ近い技術である、
「母を降臨させる」という技を身につけることができたのです。
ゆいにしお、全然かわいげあんじゃん」
そう感じていただけたら、母ゾーンに入っていると思ってください。

また、いつもエッセイを書くときはタメ口ですが、今回はですます調で書いてみました。
これもかわいげを出すトレーニングです。

※OKMusicで連載していたものに修正を加えています


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