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YUIMA NAKAZATO newsletter

2週間に1度配信されるユイマナカザト ニュースレターでは、私たちの未来についての考察や、アトリエの近況をお届けしています。ここでは、サンプルとしてその一部をご紹介します。

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シュバルの理想宮

コロナ禍で、家とアトリエの往復というライフスタイルになってすでに半年以上が経ちました。移動が制限され、文化や芸術との触れ合いや人との出会いなど、リアルな場でのインプットが限られてしまった事で、最初の頃は今までのようなモノづくりができずもどかしい日々を過ごしていました。しかし、そんな特殊な環境の中で、私が先人から勇気をもらったエピソードをご紹介します。
今から100年以上前、フランスの片田舎に住むジョゼフ・フェルディナン・シュバルという郵便配達人が、世界中から集まる絵葉書に描かれた挿絵を毎日眺めるうちに、様々な国の文化をごちゃ混ぜにしたようなとんでもない造形の家を、33年の歳月をかけたった一人で建ててしまったのです。たとえ世界を旅したことがなくとも、人は些細な情報から、とてつもない物を生み出す事ができる。いや、むしろ世界を旅する事が叶わないという制約は、どうにかして実現したいという原動力や、底無しの想像力を人に与えるのかもしれない。この状況下でこの話を改めて想起し、そのような思いを抱きました。東京のど真ん中にあるアトリエから、想像上の世界旅行をしながら、目前に迫るパリ・ファッションウィークへ向けて、シュバルのように誰も見たことのない全く新しい何かを表現できると信じ、日々モノづくりと葛藤し続けています。(2020年12月11日 配信号より)

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2020年7月にパリ・オートクチュール・ファッション・ウィークで発表した、プロジェクト "Face to Face"はこちら。


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