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【29話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

今回は、梨紗ちゃんの髪型に関しての、想いで話です。

梨紗ちゃんの、ハチマキ

梨紗ちゃんの髪は、肩に掛かる長さです。
なぜか突然、小学校5年生ぐらいから、ゴム製の髪留めで、後ろの髪を一つに、結ぶようになりました。
中学以降は殆どの時間、特に学校では、外すことはありませんでした。
外すときは、お風呂、就寝、それに唯ちゃんと居るとき程度です。
しかし、唯ちゃんと居るときでも、何かと結んでしまうことありました。

さて、高校生の梨紗ちゃん、学校から帰ってきて、髪留めを外して「フー」と言ってテーブルに伏せっていました。

「梨紗ちゃーん 唯だよー」
「唯 いらっしゃい」
「ねーえ 梨紗ちゃん 唯が来たら 急に髪結ぶの どうしてなの」
「えっ 結んでない・・・・あら 結んでるわね どうしてかしら 唯」
「そ それは唯には 分らないよ 梨紗ちゃん」

しばらく、二人でおしゃべりをしていました。

「あのね 梨紗ちゃん」
「どうしたのよ」
「さっきから 髪外したり結んだり もう5回目だよ 忙しくなーい」
「えっ そんなに」
「そうだよ 梨紗ちゃん いっそのこと切っちゃえばいいのに 唯みたいに襟口まで 楽だよ」
「嫌よ でも 全然意識してなかったわね 唯 結んでるの 似合わない」
「そんなことないよ どっちにしても素敵だよ」

キリッ? スキッ? フニャ? ワーイ?

「唯 何か違うところ ある?」
「そーだなー 結んでると キリッとして あー梨紗ちゃんだなって思うし 外してると スキッとしていて あー梨紗ちゃんだなって思うよ」
「キリッ・・・スキッ・・・で どっちも私」
「そりゃそうだよ 梨紗ちゃんは どんなときも梨紗ちゃんだよ」
「それはそうだけど キリッっとスキッとは どんな風に違うのよ」

「キリッってしてるときは これから頑張るよー とか 今頑張っているよーって 感じなの」
「スキッっていうのは?」
「そーだなー スキッとしてるときは フニャ とか ワーイって感じかな」
「フニャとかワーイって言うのは よく分らないけど 何か表情に違いは有るの」
「そーだなー 違いはあんまりないよ でも 目が優しくなってるんだよ 唯にはそう見えるよ」
「変えてるつもりはないけど・・・・」
「そんなの 多分 唯にしか分らないんだよ」
「フニャ とか ワーイって言うのは?」

「フニャは楽になってるって感じで ワーイって言うのは楽しいって感じかな さっき唯が来たときはフニャで ライブの時はワーイだったよ」
「ライブの時は 髪結んでたわよ」
「その時は 結んでいてもワーイが大きかったからだよ 外すともっとワーイだよ」
「そんなに 違いは 私には分らないけど 確かに髪結んでいるときって 学校に居るときとか 部屋でも勉強したり本読むときは 必ず結んでるわね」

ハチマキ

「唯は思うんだけど それは梨紗ちゃんにとっては ハチマキなんだと思うんだよ 運動会にとかにもハチマキするじゃない 頑張るよって」
「唯に言うとおりかも知れないはね 確かにそんな感じだし 疲れたときには外したりするわね」
「唯が来たときに結んだのは どうしてなの」
「そうね そう考えると 唯とおしゃべりするぞって かしら」
「もー 梨紗ちゃん 別に唯と頑張って おしゃべりする必要なんかないじゃない」
「それは分っているんだけど・・・でも もうしてないでしょう 一度も結んでないわよ」
「何言ってるんだよ 梨紗ちゃん 今で10回目だよ」
「う うそ そんなに」

唯ちゃんは、誰にも分らない、梨紗ちゃんの変化が、自然と分るのです。
梨紗ちゃんが、初めて髪を結び始めてから、しばらくしてそれに気づいたのです。
だから、少し心配なのです。
自分と居るときは、ずっと外してて欲しいと思っているのです。
でも、梨紗ちゃんは相変わらずです。
だから、時々唯ちゃんは、お出かけしたりライブの時など、不意に外してしまうのです。

「髪留め 外すんだよー 梨紗ちゃーん」
「あっ もう 唯ったら」

と、こんな風にです。
唯ちゃんの言った通り、梨紗ちゃん髪を結ぶのは、ハチマキをするのと同じ様な事だったのです。
少し大袈裟ですけど、髪を結んでいるときは、緊張状態で、外しているときは、リラックス状態なのかもしれません。

では、また次回、お会いしましょう。

【索引】 【登場人物】

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