SMASH The PAINT!! - 存在を叩きつける楽曲群

歌詞カードを開いて、成程ライブを意識したシンプル「キャラソン」なのかなぁと思うと同時に、バーチャルライバーって「キャラクター」じゃねぇよなぁ……？等と小難しいことを考えそうになって気を取り直しCDセット。
ファンにとっては、これ引っ提げてまたライブするぞ！というにじさんじ側からの意気を感じさせるのは嬉しい事なのかもしれんけどなんだかなぁ……と。（後に色々と覆されることになる。）
以下、できる限りフラットな目線で、かつネタバレを極力抑えたあっさり風味の感想文。敬略称。リンク先はツイッター及びワンコーラスPV。

M1:3倍! Sun Shine! カーニバル
アンジュ・カトリーナ/戌亥とこ/リゼ・ヘルエスタ×篠崎あやと/烏屋茶房

「さんばかのさんばか感を凝縮して放つと、こうです！
リスナーもプラスαばかになって一緒にさんばかーニバルじゃい！」
というIQとか要らねー!みんなアガれー！な歌。制作は、アニメ
『ダンベル何キロ持てる？』のオープニングテーマ「お願いマッスル」の
サイドチェスト烏屋＆シックスパック篠崎である。納得の完成度。

M2:Not For You
叶/葛葉×ゆよゆっぺ

「俺らは自分の道行くけど、ついてこれるんなら勝手についてこいよ」と
極めてわかりやすく二人の在り方を示す歌詞。ChroNoiRテーマソング感。
これで「ｷｬｰ!ｺｯﾁﾑｲﾃｰ!」とか言う奴は歌詞を100回読み直した方がいい……なんて書くと「だって作詞したの本人じゃないもん！」とか聞こえてきそうだけど。製作は巡音ルカマスターにしてBABYMETALの楽曲制作も手掛ける
ゆよゆっぺ。この人メチャメチャ洋楽聞いてんな！って感じの作りしてる。

M3:1+1でQ.E.D.!!
御伽原江良/童田明治×Nor

江良ちゃん久し振り！とギバラどこ……？の幻聴が聞こえる……と思ったらワンコーラスPVで散々コメントされてて、せやろなぁ、と思いました。入りの浮遊感から一声聞いて「あ、これいいわ」と思わせる曲と声の相性。二人を活かしきったのはキズナアイ「Hello, Morning」「miracle step」のNor。
知っててサビ聞くとニヤニヤできるやつ。

M4:青春モード! もう1回! !
本間ひまわり×HoneyWorks

例え嵐が来ても快晴にできそうな、ザ・アイドルソング。
(・ワ・ 🌻 )←こんな曲。いやマジで。
開幕の第一声に全てが込められている気がする。
制作はおっくせんまん！の歌い手として知られるGomがリーダーを務めるHoneyWorks。合いの手コーラスが低音なの、ちょっと笑う。

M5:サンデーサンデー・フルーツフール
える/シスター・クレア×石濱 翔 (MONACA)

体 に 良 い 。(確信)
二人の配信を追った者しかこの世界観は表せない。こんな休日が送りたい人生だった……(遠い目)。制作はニーア ゲシュタルト/レプリカント、
涼宮ハルヒの消失など数々のアニメ・ゲーム楽曲を手掛ける石濱 翔。
ご本人言及のサビ終わりアーメン終止で祈りを捧げると多種多様な病に
効く。（多分）

M6:Playtime Magic
加賀美ハヤト/夢追翔/緑仙×Avec Avec

声の力と個性が強い三人なだけに、曲としてまとめるのが難しそうだなぁ等と素人目線の印象を持っているユニットle jouet(ルジュエ)。緑仙が
楔となって男二人を活かす絶妙なバランス。特にラップからの展開は
グルーヴという言葉がふさわしい。制作はニコニコ動画初期から
マッシュアップ曲をヒットさせ、ヒプノシスマイクの楽曲などを手掛けるAvec Avec。

M7:Radical Rabid Riot
ジョー・力一/鷹宮リオン/竜胆尊×八王子P

力こそパワー！みたいなタイトルだが詞も曲もそれに違わずエネルギーの塊。ボヤっと聞いてると助走付けてぶっ飛ばされそう(誰に)。フルはライブ初出だったので個人的には(あっ力一ここ叫ばないんだ……)ってなる。
制作はボーカロイドマスター八王子P。最近Youtuberとしてゲーム実況を
始めた模様。おもろ。

M8:圧 倒 的 存 在 感
鈴原るる/でびでび・でびる×ARM (IOSYS) /まろん (IOSYS)

圧 倒 的 I O S Y S。言いたいことは無限に湧いてくるけど敢えて。

あのね、歌詞にね、これあんだよ。→(ﾟ∀ﾟ)o彡゜

これ。わかるだろ？これだよ。→(ﾟ∀ﾟ)o彡゜(ﾟ∀ﾟ)o彡゜

もう語るまい。聞け。震えよ。(ﾟ∀ﾟ)o彡゜(ﾟ∀ﾟ)o彡゜(ﾟ∀ﾟ)o彡゜

M9:煽動海獣ダイパンダ
笹木咲×やしきん

タイトルだけでどんなネタ曲だろうと思ってたらとんでもない！
クソカワイイなんだこれ。制作は「てーきゅう」等のアニメ楽曲を手掛けるやしきん。ゲーム実況要素が多分に含まれるライバーの曲だからこそ使われがちな、いわゆる「ゲーム的ピコピコ音」を真っ正面に据えている事
そのものが笹木咲の存在を現しているように感じる。あんまり安易にエモいって言葉は言いたくないんだけど、その言葉を使うとしたらこの曲。

M10:Only
樋口楓×YUC'e

唯一の存在に向けての歌。
本当に練りに練ったんだろうなぁと思わせる歌詞。クレジットは違えど、
これは樋口楓の言葉と言っていいんじゃないだろうか。最も共感を呼ぶ
であろう今アルバム一番のワードはここにある。※個人の感想です。制作は
シンガーソングライターYUC'e。曲の終わりが始まりと同じなのもニクい。

M11:Aimless Story
静凛×kz(livetune)

Aimless、つまり目的のない、当てのない、ストーリー。
どうしようもなく今を生きる者たちの当てのない物語は続く、みたいな
Virtual to LIVEとの繋がりを思わせる歌詞で、にじさんじを群像劇を見るような楽しみ方をしている自分にとって、一期生のお姉さんである静凛が
これを歌うっていうのは個人的にクリティカルヒット。ラスサビ前の
ウィスパーでやられる人多数と予想。さらに追い打ちの最後のラララ、
ヤバいです。ヤバい。(語彙消失)制作はアルバム総合音楽プロデューサーkz(livetune)。

M12:アンチグラビティ・ガール
月ノ美兎×TAKU INOUE

鼓動のようなベースライン。生命そのもののようなシャウト。
これは、紛うことなき月ノ美兎の歌。
制作はアイドルマスターシリーズの楽曲制作を手掛けるTAKU INOUE。
生きる事に全力な月ノ美兎は今日も跳び続ける。それこそ月まで。

すげえ。

終わりに

キャラクターってなんだっけってググったら、ウィキペディアには
「小説、漫画、映画、アニメ、コンピュータゲーム、 広告などのフィクションに登場する人物や動物など、或いはそれら登場人物の性格や性質のこと」って書いてあるんだけども……まぁ要するに、
キャラソンってのは架空の存在に対するイメージやラベルを付与・或いは強化するものっていう認識を自分はしていて、SMASH The PAINT!!も
もしかしたらそれに寄ってしまうんじゃないか、
「ライブでオタクを喜ばす為の営業曲群」だけで終わりやしないかって
ほんの少し思ってたんだけど杞憂も杞憂。申し訳ない。平伏して謝罪。

バーチャルライバーとしての存在を作品に昇華して叩きつけた。
SMASH The PAINT!!ってタイトルもそう考えればとんでもないセンス。
久し振りに「あの世まで持って行く曲リスト」が増えました。
作り上げた全ての方々に尊敬と感謝。

蛇足

……ええっ！？こんな素晴らしいアルバムが3,850円で買えるんですか！？
（以下略）