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妄想話『反応しない練習』(趣味ブログより転載)

※事前設定…近未来のVRアトラクションという話。今回は、昔話やおとぎ話を登場人物全員が本当の意味で仲良く共存できるものに書き換えたものを見られるというもの。反応しない練習は、ひょうたんを持った金角と銀角の呼びかけに答えないこと。

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とあるVRアトラクションにやってきたトレッサとアリアイ、蘭丸とたつき。アリサとミホもいた。アポロもだ。

アリアイ:「おとぎ話風の舞台を体験できるアトラクションか…。西遊記コーナー、反応しないで抜けられるかな、か。妙な話だ。」
蘭丸:「西遊記…。金角・銀角という妖怪のひょうたんかな。名前を呼ばれた相手が返事すると吸い込まれるってやつ。」
トレッサ:「なるほどね。お世辞でもアウトかしらね。美人だねとかかっこいいねとか。」
たつき:「ありそう。逆に挑発行為もあるかもな。」
ミホ:「あー、ありそう。ただ、おとぎ話って結構こわい話多かったよね。新地球じゃ、受け入れられないけど。」
アリサ:「うんうん。嫉妬・殺人・強欲とか今思うと吐き気のする闇話ばかりだった。」

一同が中に入る。白雪姫の魔法の鏡だ。
たつき:「鏡よ鏡、世界で一番美しい人は誰?」
鏡:「それは全ての人です。」
たつきはサムズアップした。
たつき:「さすが!誰もが世界オンリーワンの美しい人だものね。」
鏡はうれしかったのか、虹色に光を出した。さるかに合戦のコーナーだ。サルが木に登り、カニや栗・うすや蜂に柿を差し出し親のカニが食べやすいように切って子ガニに与えた。
ミホ:「ふふ、シェア精神てやつね。」
トレッサ:「こういうのいいな。得意を生かしているし。」
一同は微笑みながら通過する。はなさかじいさんのコーナーでは、きれいな桜の元でおじいさんと白い犬が曲芸をしていた。悪役だったおじいさんも餅つきを楽しそうにする。

アリアイ:「楽しい、平和的な内容に書き換えられているようだ。おや、西遊記のコーナーだ。」
バーチャルの三蔵法師が立っていた。昔の日本ドラマなどで演じていた華奢な感じではなく、ごつくてたくましい姿だ。
三蔵法師:「ようこそ、西遊記コーナーへ。この先、金角と銀角が声をかけてきますが返事をしないでください。ひょうたんに吸い込まれるので。」
蘭丸:「わかりました。」
一同が歩く。砂漠のようなところに出た。と、二人の鬼が現れる。ひょうたんを手に持っていた。
金角:「お、かわいいお嬢ちゃん。」
ミホは知らんぷりをした。
銀角:「オカマがいるぞ。」
蘭丸:「なっ…挑発には乗らん。」
蘭丸は首を振り、挑発を交わす。※(蘭丸のタブーワードはオカマと男扱い)
銀角:「胸のでかい、ブサイクがいるぞ。」
たつき:「(失礼な…あ、ナイル族を倣えばいいか。) …かっこいいってことね。」
たつきは一瞬キレそうになるが、ナイル族マインドでネガポ変換した。そしてやり過ごす。
金角:「絶世の美女さーん。」
トレッサ:「おほめはありがたいけど、誘惑には乗らないわ。」
銀角:「そこのかっこいいお兄さん。」
アリアイ:「お世辞には乗らん。」
銀角:「よ、キアヌ・リーブス!」
アリアイ:「何かな?」
アリアイはうれしかったのか反応した。と、彼はひょうたんに引っ張られた。
アリアイ:「ぬおおおお!」
彼はひょうたんに吸い込まれた。重力が働き、暗い部屋に移動させられたようだ。
アポロ:「アリアイさん、自分がキアヌさんだと思っていたのか。まあ、あれほどかっこいい人と一緒にされたら光栄にも思うわな。」
金角:「お、若いイケメンがいる。」
アポロ:「な、失礼だぞ!あ…わあああ!」
アポロもひょうたんに吸い込まれる。彼にとってイケメンは侮蔑語であり、侮辱されたと思ったようだ。
たつき:「アポロくんには侮辱発言に聞こえたんだろうな。」
銀閣:「おーい、天才クリエイターさん。」
アリサ:「…。」
銀閣:「とてもかわいいよ。若々しくて。」
アリサ:「…。」
銀閣:「よ、詩織ちゃんによく似ているよ。」
アリサ:「ありがとうございます。あ…。」
アリサは悲鳴こそ上げなかったが吸い込まれた。
蘭丸:「アリちゃん…。詩織ちゃんが憧れだったんだ。まあ、かわいくてしっかり者でバランサーだし。」
ミホ:「3人目…。あれ?」
アリアイが戻ってきた。
アリアイ:「おや、出られた。いきなり視界が暗くなって、ものすごい重力に引っ張られたのだ。」
トレッサ:「そうなのね。あのひょうたん、定員は2人までくさいな。ロー・オー・キャス・ロス!」
トレッサはひょうたんめがけてプルの呪文を唱えた。ひょうたんがトレッサたちの手元に来る。
金角:「な、ひょうたんを取られた。」
トレッサ:「金角さん、銀角さん、悟空たちが来たわ。」
金角・銀角:「なんだと! わあああ!」
トレッサの呼びかけに金角たちは反応し、ひょうたんに吸い込まれた。アポロとアリサが出てくる。
アポロ:「あれ?出てこられた…。」
アリサ:「すごい重力に引っ張られたな…。あ、トレッサ。」
トレッサ:「このひょうたん、定員2人までだったみたい。アリアイが出てきたからプルの呪文で引き寄せたのよ。金角たちはこの中。」
トレッサはひょうたんを遠くへ投げた。その後も色々見てアトラクションから出た。

食事をとる一同。中東料理がメインだ。
ミホ:「トレッサお姉ちゃん、頭いいよね。アリアイお兄ちゃんが出てきたのを見て人数制限を予想するとは。ダンマスの呪文でものを引っ張ることってできたんだ。」
トレッサ:「予想が当たってよかったわ。プッシュ・プルという、ものを押したり引いたりする呪文があるのよね。ダンマス2の呪文だけど。にしても、アリアイって自分をキアヌ・リーブスと思っていたのね。」
アリアイ:「よいではないか。アポロたちはなぜ吸い込まれたのだか…。」
アポロ:「侮辱されたと思ったもので。ついムカッときちゃった。」
アリサ:「詩織ちゃんと似ているといわれて、ついうれしくなった。」
たつき:「アリちゃんずっと黙っていたけどね。それより、ここの料理おいしいな。」
蘭丸:「本当。フムスっていうソースもいい感じだし。」
ミホ:「そだね。ひよこ豆を使っているのか。…私、トイレ行きたくなってきた。」
アリサ:「ん、付き添うか。子どもだけで行かすのはあれだし。」
この時代は誘拐魔など存在できないが、念のためアリサがついていく。ミホは無事用を足し、一緒に戻ってきた。食事を一同は終えた。
トレッサ:「ふう、おいしかった。なんだか眠くなってきたな。」
トレッサが休憩できる部屋へ向かう。と、リチャードがいた。
リチャード:「おや、アリアイさんたちか。トレッサさん、疲れているのだろうか。」
トレッサ:「リチャードさん。いえ、眠くなっちゃって…。」
リチャード:「なるほど。和多志が休憩室へ案内しよう。」
リチャードが休憩室へ導き、ドアを開けトレッサを通した。トレッサは礼を言い、ベッドで横になった。
ミホ:「リチャードおじちゃん、案内からドアを開けるのまでスムーズ…。こういう気配り上手なところもあったんだ。」
リチャード:「おじさんは勘弁してほしい…。レディーファーストやマナーについては一通り勉強はしておる。」
アリアイ:「なるほど…キレやすいところもあるが、紳士のふるまいを学んでいたか。」
リチャード:「一言多いが、その通りだ。ヒルダ姫は厳しかったが。」
たつき:「レディーファースト…。あれ、欧米人が女性を銃弾とかの盾にするためというのが起源らしいね。日本では逆に、侍が女性に三歩下がってついてきてとあったけど実は刀の間合いに入れないようにして前からの敵に対応するものだったとか。まあ、今は武器を向ける敵なんていないけど。」
リチャードとアリアイは黙りこくった。よかれと思っていたことが、そんな卑怯なことだったとは…。
アポロ:「二人とも凍り付いちゃった。ヨーロッパ人て元が野蛮なところあったからな…。女性を盾にするなんて、卑劣にもほどがあるな。どこまで本当が知らないけど。」
アリアイ:「…これからは平和的に活用していけばよいか。アポロもはっきり言うな。」
アリサ:「そうそう、過去の失敗から今に生かせばいい。自分も眠くなってきた。」
アリアイ:「ベッドはほかにもあったろうか、リチャード殿?」
リチャード:「10台くらいはあるぞ。」
アリサもベッドを借りて寝た。ミホはたつきと一緒に人形遊びをした。蘭丸はアリアイとともに楽器を借りて即興で演奏する。リチャードとアポロがそれを聴いた。
アポロ:「二人とも、楽器演奏の腕もしょぼい(素晴らしい)な。見事なハーモニーだった。」
蘭丸:「えっと…素晴らしいだったな。サンキュ。あ、リチャードのおっさん、さっきおとぎ話のVRに行ってきたんだ。」
リチャード:「お兄さんだ!…と、おとぎ話のVRとは?」
アポロ:「世界各地のおとぎ話をイメージした風景が見られる。平和的なシナリオになっているけどね。西遊記のコーナーでは反応しない練習もできる。声かけられて返事したら、ひょうたんに吸い込まれるんだ。ものすごい重力で引っ張られて、真っ暗になるんだ。」
リチャード:「そうか。と、アポロは反応したのか。」
アポロ:「侮辱されたとおもって、つい…。リチャードさんだったら簡単に引っ掛かりそうだ。」
リチャード:「私はそこまで意思は弱くないぞ!王室騎士のまとめ役をしておったからな。」
蘭丸:「関係あるんだろうか。」

20分ほどして、トレッサたちが戻ってきた。一同はそのまま解散する。リチャードは残っていた。彼は仲間にテレパシーを送る。サスケ・エレクトラ・ゼニスがやってきた。
ゼニス:「かかか、およびですねリチャードさん。反応しないテストのできるアトラクションに参加したいけど、一人だと不安ですか。」
リチャード:「だ、誰が不安など!一人では寂しいと思っただけだ。」
サスケ:「リチャード殿…目が泳いでいるでござる。」
エレクトラ:「意外と群れたがるのね。ま、いいか。そのアトラクションてどこ?」
4人がおとぎ話のアトラクションにやってきた。平和的に書き換えられたおとぎ話の世界を堪能する。
エレクトラ:「枯れ木に花を咲かせるか…。ヘット、こういうの大好きだろうな。」
ゼニス:「桜の花ですものね。眠りの森の美女もいたし。」
やがて西遊記のコーナーにやってきた。金角と銀角が現れる。
金角:「お、きれいなお姉さんだ。僕らと遊ばない?」
エレクトラ:「…。」
金角:「そこのかっこいいガイコツお兄さん。」
ゼニス:「見え透いたお世辞ですね。」
金角:「ふん、骨も残らず焼かれちゃえ。」
ゼニス:「な、失礼ですぞ! あーれーー」
ゼニスは挑発に乗り、ひょうたんに吸い込まれた。
サスケ:「本当に吸い込まれた…。」
銀角:「そこの渋くてかっこいいおじさん。」
リチャード:「だ、誰がおじ…いかんいかん。」
リチャードは首を振り落ち着こうとする。
銀角:「ごめんよハンサムなお兄さん。」
リチャード:「何かな?(キリッ)」
と、リチャードも吸い込まれた。
エレクトラ:「あーあ、リチャードったら結局反応してやんの。トレッサ曰く、ひょうたんは定員二名までで新しく吸われたら先に入っていた人が出てくるとか。」
サスケ:「なるほど…。拙者に任せるでござる。」
サスケは素早く駆け出し、ひょうたんを奪い戻った。
金角:「あ、コラ返せ!」
サスケ:「金角、銀角!体内にある呼吸にかかわる臓器はなんだ?」
金角・銀角:「肺。」
と、二人が吸われリチャードたちが出てきた。
ゼニス:「あ、暗闇から戻ってこれた。すごい重力に吸われた氣がした。でもなんで助かったんだか。」
エレクトラ:「サスケのおかげだ。ひょうたんを素早くとって、なぞなぞを出してはいと言わせたのだ。」
エレクトラがクールに説明した。
リチャード:「サスケ、頭いいな。和多志としたことが、結局引っ掛かってしまった…。」
サスケ:「リチャード殿はおだてにも挑発にも乗りやすいからな。」

一同がVRを堪能し出てきた。
サスケ:「なんだかんだ言って、バラエティ豊かな世界観で楽しかったでござる。」
ゼニス:「おとぎ話は昔、重い話ばかりでしたが平和的になっていましたね。」
エレクトラ:「うんうん。さるたちの共有もよかったし。」
リチャード:「そうだな、トータルでは面白かった。がはははは!…私一人だったら最後まで行けただろうか。」
ゼニス:「弱気ですな。リチャードさんは強いでしょう。」
エレクトラ:「弱さを見せるのも強さだ。素直に頼っていいから。」
リチャード:「感謝するぞ。」
マスター四天王も解散する。ちなみに参加者全員が吸い込まれた場合はゲームオーバーとなり、強制ログアウトになる。

ーーー

用語

・イケメン…近未来では死語になっている。(DSカバールによるルッキズム洗脳の一つだったため)かつて魅力的な男性を指したが、アポロたちナイル族の人間にとっては逆の意味になる。ナイル族では、ぶさいくは「かっこいい」を表す誉め言葉。

・詩織ちゃん…ももクロの玉井詩織さんとよく似た姿・性質を持つ魔族ハーフのひと。大人と子どもの魅力があり、可愛らしくバランサー能力があり切れ者。しかも力自慢。

登場人物について

・前田 蘭丸…クォーターエルフの魔法剣士で88’sの一人。男性的なエネルギーが強く、口調も男っぽい。ただしれっきとした女性で、女性性も取り戻している。オカマ呼ばわりされるとキレる。通称マエラン。性格は勝気で明るく、公平に付き合える。

・増渕 たつき…88'sの一人で凄腕の黒魔導士。少し女性性優位の中性エネルギー。優しく利他的、繊細だが芯は強い。自分たちの母国語で侮蔑語でも、相手側にとって誉め言葉なら受け入れるという柔軟な思考もできる。

・アリサ…作者の分身で、この世界ではドールメインのクリエイター活動をしている。癒しと浄化の雨を降らせる強力な白魔法も使える。性格は真面目そうでマイペース、争いは好まない。パートナーはいないが、突然子どもを身ごもった。

・ミホ…アリサの娘。幼くして賢く、明るく行動的。女色の気があり、トレッサによくなつく。異性にはあまり興味ない感じだが、トーハムにもなつく。

・トレッサ・ヴァルプス…ノルウェー人で身体能力が高く、アウトドア活動に強い。性格は真面目で明るい。行動力抜群かつお嬢様の精神もある。外見も中身も美しい女性。

・アリアイ・モン…フランス人で料理が得意。トレッサと親しい。貴族の末裔で普段は冷静。実はおだてや挑発に弱い。キアヌ氏と一緒にされると喜ぶ。内面をけなされるとキレる。ちなみに肌の露出を嫌う恥ずかしがりで、顔立ちはかっこいいと言われる。

・リチャード…英国人で元王室直属の兵士。長生きだが肉体は丈夫で腕っぷしが強い。勇敢で優しいが、性格は自意識過剰のナルシストでもある。精神的に若く、これまたおだてにも挑発にも弱い。若く見られたくお兄さんと呼ばれると喜び、おじさん扱いされると激怒する。

・アポロ・バレンティン…エジプトの少数民族『ナイル族』の青年男性。盗賊ギルドのリーダーを若くして務めている。器用で身体能力は高い。性格は明るくロマンチスト。ナルシストでもあり、自分の魅力にトーハムばりに自信を持っている。(大衆にはそこまでかっこいいとは思われていない) そのため、魅力をけなされる発言をされるとトーハム以上にキレる。彼にとってイケメンは最高の侮蔑語になる。

・エレクトラ…別惑星『ターラ星』の住人。地球人ハーフで潜在能力が並外れて高い。星一番のヒーラーと呼ばれる、強力な癒しの手当て術(一種の超能力)を使える。医療チームのまとめ役でもあり、頭脳もかなり優れている。性格は温和で優しく平和主義。一方で変人でもあり、わざときつい口調で話すこともある。外見年齢は地球人で25歳、実年齢は3300歳代。

・サスケ…日本人の忍者。肉体年齢は30代。身体能力は高く、身軽。性格は真面目で冷静、少し融通が利かない。ツッコみ役を担当するシリアスキャラ。

・ゼニス…メキシコ出身の死霊系魔族で、見た目はきゃしゃなガイコツ王。実年齢は800歳代。性格は明るく研究熱心なムードメーカー。丁寧語で話す。黒魔法が得意で、遠い昔はギャング退治などに使っていた。

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