妄想話『反応しない練習、再び』(趣味ブログより転載)

おとぎ話のキャラを集め、共存し仲良く付き合うVRアトラクション。金角と銀角の呼びかけに反応しないコーナーもある。以前アリアイたちは引っかかった。そのアトラクションに、トーハムたちも参加することにした。

トーハム:「反応したら負け、か…。オレちょっと自信ないや。」
ヘット:「トーハムは真に受けやすいものね。」
セリ:「うーん、お化けでも出なければ私は大丈夫かな。」
アンダース:「僕だったら反応しないだろうな。男に興味ないし。」
グレイン:「一度に参加できるのは4人までですか。2人以下だと全員が反応したら強制ログアウトだそうで。」
蘭丸:「うんうん。ちなみにひょうたんの定員は二人までだ。」
知勇:「なるほどね。だれから行こうかな。」

まずは真緒とアンダース、グレインと知勇が行くことにした。
真緒:「へえ、さるかに合戦のさるとカニたちが仲良く柿を分け合っているのね。これは素敵だわ。」
知勇:「だね。シンデレラも一夫多妻っぽいけど、全員でお互いを愛し合って大切にしている感じがめちゃくちゃ魅力的だぜ。王子は見た目がけばいけど。」
シンデレラと義姉妹はシンプルながら品のある装いで優美であった。王子は派手な衣装であったために、知勇には華美に見えた。
アンダース:「眠れる森の美女か。僕が口づけしたら目を覚ますかも。」
真緒:「アンダースだったら逆にショックで余計深く眠りそうだわ。グレインさんのほうがいいかも。」
グレイン:「珍しいですな、真緒さんが私をほめるとは。」
真緒:「なんだかんだ言って中身は素晴らしいと思うので。これはお世辞ではないわ。」
知勇:「真緒、結構人を見る目あるよな。」
やがて西遊記コーナーに来た。三蔵法師から説明を受ける。金角と銀角が出てきた。

アンダース:「ここが西遊記コーナー…。砂漠みたいだ。」
金角:「お、可愛い子がいる。そこのピンク髪のお嬢さん、僕らと遊ばない?」
知勇:「…。」
知勇は黙っていた。
銀角:「性格悪そうな人がいる。異性に冷たそうな黒髪の人だ。」
真緒:「なっ…挑発には乗らないわ。」
真緒は首を振る。この時代、性格に良い悪いという観念はないのだが真緒にはこたえるようだ。
金角:「うわ、ひどい面した男がいる。絶対女にモテなさそうだ。」
グレインを金角は侮辱する。が、グレインはオ〇ンコ族の女性にはかなりモテる。
グレイン:「気にしません。」
銀角:「引っかからないか。あとはあのエルフの少年…。あっちに君のファンのおねーちゃんがたくさんいるぞ!」
アンダース:「え、どこどこ? って誰もいないし。ん? わあああ!」
アンダースは誘惑に引っかかり、ひょうたんに吸い込まれた。
グレイン:「おやおや、吸い込まれてしまいましたか。このままクリアしても助かるそうだけど、放ってはおけません。」
真緒:「ええ。ひょうたんを取ればいいのね。超重力!」
真緒が闇魔法を使う。本来は重力で押しつぶす魔法であり、金角と銀角を抑えつけた。知勇がそのすきにひょうたんを取る。
知勇:「金角、銀角!おめーらのボス、でべそ!」
金角・銀角:「なんだと!あ…」
知勇の単純な挑発に金角と銀角は引っかかった。ひょうたんに吸われ、アンダースが戻ってきた。

アンダース:「びっくりした。いきなりすごい重力に引っ張られて、周りが暗くなるんだから。アリサおばさんたちの言っていた通りだ。」
グレイン:「アンダースは異性がらみだと弱いからな。とにかく、進みましょう。」
一同がアトラクションを抜けた。
たつき:「お帰り。誰か引っかかった?」
真緒:「アンダースが誘惑に乗ったわ。ひどい連中だったわ、和多志と変なおじさんに失礼なこというんだから。」
知勇がざっと話す。
蘭丸:「なるほど…。グレインのおっさん、オ〇ンコ族の人にはかなりモテるのに、無知ってあれだな。」
トーハム:「アンダース…。女性に好かれたいゆえに、そういう話には弱いか。」
セリ:「言葉を選べば、もう少しモテるとは思うけどね。」
アンダース:「うう…図星だ。」

続いてはトーハム・ヘット・セリが行くことにした。以前参加したトレッサ、蘭丸、たつきは待機している。
ヘット:「はなさかじいさんね。おお、仲良くやっているし。桜もきれいだ…。」
ヘットは桜が大好きで、相変わらずじっと見ている。
セリ:「ほんとヘットさんは桜が好きよねー。VRにしてはかなりきれいだし。」
今度はフランダースの犬だ。ネロとパトラッシュが村人に受け入れられ、幸せそうにネロが絵を描いている。
セリ:「これも悲惨な終わり方だったのよね。日本では、アレンジした映画もあったみたいで。」
パトラッシュのうれしそうな表情が見える。ヘットは笑顔になる。
ヘット:「死んでから気づいては遅すぎるわ。ハッピーエンドに書き換えられたからいいけど。」
トーハム:「確かに。オレだったら原作読んだら泣くかも。」
セリ:「あー、その可能性は高そうね。」

西遊記エリアに来た。金角と銀角が現れる。
金角:「そこの赤髪のかわい子ちゃん。」
セリ:「…。」
セリは笑ったまま、無言を貫く。
金角:「反応ないや。媚売ってんじゃないのか?」
セリ:「…。」
事実無根のたわごとなど、セリには通用しない。
銀角:「金髪のねーちゃんだ。普通だな。」
ヘット:「あ?お前、禁句言ったな。って、しまった!」
ヘットは普通呼ばわりされるのは我慢ならない。挑発に乗ってしまい、吸い込まれた。
トーハム:「ほんとに吸い込まれた。大丈夫かな…。」
セリ:「暗い空間に切り替わるそうね。無事でしょう。」
金角:「お、黒髪の男だ。スカートはいているし。やーいオカマ!」
トーハム:「オレはマエランぢゃないし。」
トーハムはキレそうになりながら答えないようにした。
銀角:「魅力ないぜ。」
トーハム:「な、失礼だぞ。あ…わあああ!」
トーハムに魅力ないは禁句である。彼も反応して吸い込まれた。
セリ:「変人コンビが吸い込まれた…。ひょうたんを取って二人を吸い込めば助けられるそうだけど。」
セリはプルの魔法を使い、ひょうたんをもってきた。
金角:「あ、返せ!」
セリ:「金閣、銀角。キリストさんのファーストネームは?」
金角・銀角:「イエス。あ…」
イエスと言わされ、二人は吸い込まれた。トーハムとヘットが戻ってきた。
ヘット:「ありがと、セリ。私としたことが…普通呼ばわりされるのは我慢ならなかったもので。」
セリ:「うんうん、知ってた。ヘットさん、キレると柄が悪くなるところあるよねー。」
ヘット:「う…セリは観察力すごいね。」
セリ:「あ、ごめん。気分を害したら謝る。」
ヘット:「それはいいの。トーハムは無事だったかしら。」
トーハム:「やられた。魅力ないといわれたもので…。」
セリ:「トーハムのウィークポイントを突いている発言だったわ。」

一同はVRを抜けて出口に来た。
蘭丸:「お帰り。ヘットさんが引っかかるとは…。」
知勇:「冷静だけど、普通は禁句だったものね。」
ヘット:「ええ。VRのプログラムとはいえ、弱点を突くのがうまいわね。」
たつき:「まったくだね。トーハムさんに魅力ないは禁句だし。」
トーハム:「うん。アポロの気持ちがわかった。」
グレイン:「彼も侮辱されたそうですな。気分転換に何か食べますか。」
そのままレストランにやってきた。フードやドリンク、デザートを堪能する。
トレッサ:「ふう、秘薬ロス風メロンソーダもおいしいわね。」
アンダース:「そうなんだ。秘薬ネタ風カルピスもいい感じだし。」
知勇:「なるほどね。コーンスープ、濃厚な味わいだぜ。」
トーハム:「ああ、人気メニューだもんな。アップルパイ、おいしいな。甘味強めにしたけど。」
アンダース:「さすが甘党。僕ももらうかな。…僕には甘すぎる。」
セリ:「ふーん。私ももらうね。…確かに、かなり甘いわ。リンゴだけで甘味十分な氣はする…。」
ヘット:「好みはひとそれぞれよね。」
トレッサ:「ええ。あら?イシスさんがいる。」

イシスがやってきた。
イシス:「ごきげんよう、皆さん。相変わらずぶちゃいく(かっこかわいい)な人たちばかりだわ。」
知勇たちはぐらつく。
たつき:「えっと…かっこかわいいだったね。」
イシスがうなずく。
イシス:「誤解招くよね、やっぱり。アポロ、反応しないテストでキレたそうで。」
トーハム:「彼にとっては侮蔑語を言われたそうだ。」
イシス:「うんうん。彼にはこたえるでしょうね。私も少し食べるかな。」
アンダース:「イシスさんの少しの食事って、カービィばりのドカ食いだったな。」
イシスは気にせず、いろいろと注文する。ステーキ3人前にご飯はどんぶり飯2杯、温野菜サラダは600gだ。その量の多さに一同は目が点になる。イシスはゆっくりと食べ、完食した。
ヘット:「さすがイシスさん。相変わらず大食漢体質なのね。」
イシス:「これでも普段よりは少ないほうだけどね。いつもはご飯だけで5合は一度に食べるもので。」
トレッサ:「は、はあ…。ミリーさんみたいだわ。カロリー消費が激しい体質なのか知らないけど。」

少し談笑して、一同は解散した。ちなみに反応しない練習は、修行している僧侶もよく使っているそうだ。

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登場人物

・田中 真緒…88'sの一人で、天才的な白魔導士。ただし本人は天才ではなく努力の成果と語る。女色で軽度のミサンドリー。はっきり言う性格ゆえに、ファンとアンチがくっきり分かれる。近未来では、異性にはさらに無愛想で厳しいところを見せるために男性にはかなり嫌われている。(本人は誰にも好かれなくていいと言い切っている)タブーワードはおデブ、性格が悪い。(いずれも近未来ではタブーワード。性格に良い悪いはないという考えが浸透している)

・坂本 知勇(ちはや)…88’sの一人で、天才的な格闘家。女性性強めで、直観や感覚の力に優れる。右脳の頭がよい一方で、理論的なことは苦手。性格は明るく好奇心旺盛。悪ぶっているが根はお人よしで優しい。童顔でスタイル抜群、なんだかんだ言って内面は美しい。

・アンダース…カナダ出身、ハーフエルフの少年黒魔導士。フットワークが軽く、話し上手。大の女好き、一昔前の肉食系男子。しょっちゅう異性をナンパしているが、本質が困ったちゃんで女性を怒らす発言を無邪気に行う。ゆえに異性にはそっぽを向かれる。なぜか同性にはモテる。

・ヘット・ファーヴィル…英国出身。天才的な白魔導士と幼少期から実力を発揮していた。性格は変人だが、冷静な一面があり他者の弱さを包み込むやさしさと受容性を持つ。日本人の前世があり、片親が日本人なので毒物とネガキャンに対してかなりの耐性がある。タブーワードは普通とつまらない。その瞬間、ヘットはキレて柄が悪くなる。

・トーハム・ゼッド…フィリピン出身。若くしてモノづくりに関し天才的な実力を発揮するクリエイター。性格は真面目な熱血漢で、変人要素もある。村一番の美少年と呼ばれたほどの容姿端麗な男性で、顔立ちはやや女性的な魅力のある中性的な感じ。マニアの依頼を断り切れず女装モデルを行ったところ大うけし、現在はプロの女装モデルもしている。また、普段も解放感があるからと女装することが多い。彼のタブーワードは『魅力ない』。その瞬間、彼はキレるか泣き出す。甘みに異常に強く、十数倍に甘みを増したドリンクやデザートを堪能する。

・セリ…フィリピン出身でトーハムとは幼馴染。こちらもクリエイター及び白魔導士として天才的な実力を発揮している。性格は明るく楽観的、甘え上手ながら自立心が強い。怖いもの知らずだがダンマスの一部のゴーストは苦手。太陽星座がさそり座のためか、ヘットばりにネガキャンに強い。いつも笑っている。

・グレイン・オズボール…チェコ出身で、魔法医師。博識で頭がよく、若者たちの知恵袋を務めている。旧地球の闇も実はよく知っている。性格は温厚で寛容。容姿が一部はげ・ひげ・眼鏡と個性的で外見侮辱の被害に遭いやすいが本人は気にしないようにしている。ちなみにとある部族ではかなりの美形に見え、内面のカッコよさと相まって主に若い女性にこの上なく愛されている。

・イシス…ナイル族の人間で、アポロの幼馴染である青年女性。僧侶ギルド所属。メモ魔で、書き溜めたデータから万人向けのマニュアルを作るのが得意。柔軟な思考力もある。性格は穏やかで冷静、リアリスト。小柄だが、大量に食べないと持たない大食漢な体質でありそれを大衆に突っ込まれることもある。しかし本人は氣にしていない。彼女たちの部族では、ぶちゃいくはかっこよくかわいいという上級の誉め言葉になる。

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