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51.人工知能と自己所有感
先日chat GPT4oが発表されました。
近年の人工知能の成長は著しく、信じられないスピードで加速しています。
今回の発表では言語機能の進化が凄まじく、感情を読み取ったり表現出来るようになったとのことでした。
人工知能の進化により私たちが当たり前のように感じている「私は人間である」「私はわたしである」という自己所有感に変化が訪れているのではと感じます。
人工知能が私たちの耳に届くようになった頃ではまだ言葉の意味を本質的に理解するのは無理だと思われていました。
犬というものを判断する時私たちは瞬時に特徴を捉えて犬とわかります。
そして、犬は地面からは生えない。二本足で走らないなど常識として知っています。
この常識をつくる仕組みはブラックボックスで詳しくはわかっていないことばかりでした。
そこで当時の人工知能は犬の特徴をひたすら詰め込みそれに当てはまるものを犬と捉えていました。
簡単にいうと応用がきかない状態です。
なので意味や常識を理解していることが人間と機械の狭間にありアイデンティティとして考えられていました。
そうしているとディープラーニングが登場し、この意味や常識、文脈を理解できるという点が人工知能にも可能になりました。
今や医学部の試験や司法試験にも合格できるほど性能は上がっています。
人間と同じように文章のやり取りが可能で意思疎通ができるようになった人工知能は人と呼べるのか。
人間に残されているのは感情や気持ちを言葉に乗せて届けるといった部分でした。
「〜好き」といってもその言葉に込める感情によって意味は変わってきます。
ここの判断が次に残された人間らしさです。
しかし、今回の発表によってそこの領域も脅かされてきました。
まだ精度は完璧とは言えませんがバーチャルの世界で自分が言いそうなことを自分と同じような口調や仕草で話す未来も近づいています。
その姿を見た時にそのバーチャルな世界に自己所有感は芽生えるのでしょうか?
もし芽生えるのであれば今後はよりたくさんの自分を所有することができます。
あらゆる仮想現実の中で自分の理想通りの姿を作り上げて生活できるでしょう。
ダイエットをしていなくても理想なスタイルな自分や練習をしていなくても野球が上手い自分など様々な自己を生成できるはずです。
私はまだそこには疑問を感じてしまいます。
それは自己所有感を感じるシステムを考えるとよくわかります。
私たちが自己を感じるのは外界から情報を感覚器が受け取り脳が処理して出力として筋肉や関節、感情などの現象として現れます。
この仕組みをinput process outputと呼ばれます。
人工知能はこのアウトプットの部分に注目して行うものだと思っています。
この人は今までこんな発言が多かったから次はこう言うだろう。
動物の映画をよく見ているからこの人は動物が好きなんだ。など。。。
確率によりその個人を判断します。
しかし、本当の自分らしさを作りだしているのはinputの部分ではないでしょうか。
その人が何を感じてその行動に至っているのか。
何を思い今まで生きてきたのか。
そんな個人でしか語る事ができない、自分でも自覚できないinputが行われながら私たちは行為を表象します。
inputの部分がブラックボックスである限り機械を自分と認識する未来はまだ来ないと感じています。
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