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キューバの日々。未完成のジグソーパズル

キューバに長く居すぎてしまった。そう思いながら、またハバナに戻ってきた。 最後にお世話になったカサのお母さんは、すごく素敵な人だった。家は骨董品などキラキラしたもので溢れていて、お金持ちのようだった。 チェックインを済ませるとすぐに、カサのお母さんに連れられ、家の近所を歩き回った。10メートル毎に出くわすご近所さんに挨拶しながら、さりげなく私のことを紹介してくれた。すごく嬉しかった。 カサに帰ると、家の前の階段のところに座らせられ、コーヒーを渡された。キューバ人はみんな、玄

    • キューバの日々。動かない時計

      ハバナでスリとぼったくりに合い、いそいそとサンティ・スピリタスという小さな街に来た。1514年に建設されたスペインの植民地都市で、現役で馬車が活躍している、ロマン溢れる街並みだ。 ただ、観光地ではあまりないらしく、旅人である私にとって生活するのが難しい。店自体かなり少ないのに加え、看板もなく、街を歩いて人に聞くしかない。水を買うにも、レストランに行くにも、30分は歩き回った。Googleマップは全く当てにならなかった(ちなみに、街の人からきく情報は、3割くらいの打率だった)

      • メキシコの日々。旅の放棄

        旅をして、10日が経とうとしている。 最初の数日は海外一人旅そのものの経験がないので、ずっと緊張していた。すこしハイテンションだった。バスや電車の乗ること、バックパッカーズで寝泊まりすること、レストランで食べ物を注文すること、チップを置いて行くこと。知らない人に話しかけ、質問して、英語でコミュニケーションをとること。 でも、1週間を過ぎてきたあたりから、かなり慣れてきて、そのひとつひとつが当たり前にできるようになった。一人旅がだんだんと日常になった。 だからなのかわから

        • LAの日々。ドラムサークルとビリヤニ

          LA滞在最終日。旅の日課の散歩をして宿に帰る途中、ビーチに人々が集まっている。よくみると、好き好きの打楽器を持ったヒッピーぽい人々が音を鳴らしていた。 すごく楽しそうだったので近づいてみると、円の中心に笛を鳴らしている人がいて、そのリズムにあわせて、各々の楽器を弾いている。名前のしらない、見たことのない打楽器、打楽器、打楽器。楽器を弾く人々の周りには、踊ってる人、写真を撮ってる人、ただ座り込んで見ている人、様々だ。人が寄っては離れ、でもどんどんと増えていった。 (「ドラム

        キューバの日々。未完成のジグソーパズル

          四万十での日々

          朝起きて外を見たら、宿のホストのJeffryが畑で何か野菜を取っていた。昨日の夜に到着した時は真っ暗で何も見えなかったけれど、朝日に照らされた大きな窓には、真っ白な太陽の光と、ぼうぼうと生い茂った庭と、もっさりとした山々がうつっている。 ここは高知県四万十市にある古民家の離れで、小さなキッチンとシャワー室と、ふかふかなベッドが2台、それから小さなダイニングテーブルがある。コンパクトだけど、天井がすごく高くて、ちょっとさむい。 手作りの草履が置いてあったことを思い出して、急

          四万十での日々

          今日も明日も旅しよう

          鎌倉の海の近くの古民家で、約2年半やっていた民泊ホストをやめた。 年間およそ230組、全部で600組ほどのゲストさんをむかえた。 「じゃあ、あとはよろしくお願いします」 スタートしてからしばらく一緒にホストをやってくださったオーナーは、そう言って家を離れて行った。ぴしゃりと引き戸が閉まった時、ああわたしこれからやっていけるんだろうかと、ひとり心細くなったことを、昨日のことのように覚えている。 最初は戸惑ったが、だんだん慣れていった。 拙い英語で家を案内したり、おすすめのお

          今日も明日も旅しよう

          春風とわたし

          ずっしり重たいコートにくるまって、くるくるとマフラーを巻いて、両手をポッケにつっこんで出かけるのがすごく好きなのだけど、マフラーが、コートが、一枚一枚いらなくなっていく、あの感じも好きだ。 何かつっかえがとれたみたいに、からだがふわっと軽くなる。いつもの風景が、なんだか笑っているように見える。 くしゃみをしながら改札を出て、颯爽と階段を降りて、春もすぐそこ。 わたしたちは、いらないものとか、いらない感情とか、まといながら歩いてる。 わかっちゃいるけど、いらないからと置い

          春風とわたし