おっさんの夏の自由研究

はじめに

 娘の自由研究に付き合って星の写真を撮りに公園に行った。カメラは2台、三脚も2脚持って行った。1台は(対角)魚眼レンズを天頂に向けてインターバル撮影にした。もう一台は娘に自由に使わせて、何か質問があったらすぐに対応することにした。

 結局、娘の撮影はうまく行った。マニュアルでのピント合わせや、シャッター速度や iso での露出コントロールなんかをうまくやって、クソ明るい都会の公園で夏の大三角形やペガサス座やイルカ座をちゃんと捕らえていた。ほんとにデジカメってすごいもんだ。

 問題なのがインターバル撮影した方だ。合成して星の軌跡を出してみたのだが、写り方が予想と違ったのだ。

画像1

 右下が南になるのだけど、南の星も北極星を中心してに回っているように見える。予想していたのは「真東から真西に動く星を境に、北側は反時計回りの曲線に、南側は南に行くにしたがって直線に近くなっていきやがて時計回りの曲線を描く」だったので、少々衝撃を受けた。

 そんな訳で、「魚眼レンズを天頂に向けた時、南天の星の軌跡はどのような曲線になるのか」を49歳の夏の自由研究のテーマに選んだのでした。


投影方法の違い

 まず魚眼レンズが魚眼レンズたる仕組みについて調べてみた。要はレンズを中心にできる球の前半分をどのように平面の画像センサーに投影するかを調べてみた。そうしたら投影方法には4種類あることがわかった。それぞれの投影方法で、北緯30度で魚眼レンズを天頂に向けた時、北極星と赤緯で30度づつ離れた恒星の日周運動がどのように投影されるかをエクセルで計算し、グラフを以下に示す。上が西で左が北。ここで使うθは地平線からの角度であり、理科で言うところの光線の入射角ではない。

・正射影 半球に写った像をそのまま真っ直ぐセンサーに投影する方法

スクリーンショット 2021-09-04 18.54.43

 正射影は数学的に一番シンプルな投影方法である。この投影方法では、天頂付近が広く、地平線付近が狭く写る。南中高度60度の星は0.5の位置に、同30度の星は0.866 の位置に投影される。南中高度をθとすれば cosθ の世界。北極星が日周運動の中心に来ないので変な感じ。なんてことでこの投影方法は実際のレンズではほとんど採用されていないそうだ。

 それでも南天の星は北極星を中心に回っているかのように見える。

 ・・・結論が出てしまった。

魚眼レンズを天頂に向けて星の日周運動を撮影すると南天の星も北天側に曲がって軌道を描く。

 でも、せっかくなので調べた他の投影方法も紹介します。


・等距離射影 同じ角度を同じ距離に投影する方法。

スクリーンショット 2021-09-04 18.53.00

 南中高度60度の星は0.333の位置に、同30度の星は0.666 の位置に投影される。北極星は北天の日周運動の中心にある。南天の曲率は正射影よりも小さく、直線に近くなるが、それでも北天側に曲がっている。


・等立体角射影 なんだよ立体角って!

スクリーンショット 2021-09-04 18.52.16

 個別に見るとわかりにくいが、等距離射影よりも中央部分が広がって投影されている。私が所有しているレンズはこの投影方法のレンズであった。南天の曲率は等距離射影よりも大きくなっている。


まとめ

 どの投影方法にしても、魚眼レンズを天頂に向けて撮影すると南天の星は北側に曲がった曲線として記録される。

 あ、四つの投影方法と書いておきながら三つしか紹介していなかった。が、問題は解決したのでよしとする。


参考にしたサイト