生産性の高い組織にエンジニアが集まる理由とFindy Team+のこれから
Findy Team+(チームプラス)開発のこれまで
Findy Team+開発の背景
Findy Team+(旧Findy Teams)を開発した背景は4年前に遡ります。Findyの創業事業である転職サービスの営業やカスタマーサクセスをしている際に、CTOやVPoE/EM、あるいはDX担当の方から以下のようなコメントをもらいました。
などなど。現場の生の声を聞くことが多く、この課題を解消できないかと検討を始めたのがきっかけです。
最初の検討は2019年から開始し、α版の開発スタート、2020年前半にα版を一部の企業に利用頂くところから始めています。以下の通りでコンセプトは変わっていないですが、UI/UXは今のサービスには跡形も残っていません。(ちなみに本資料は2020年春ごろに行っていたシリーズBの資金調達資料から抜粋です。)
また、以下のグラフの通りコロナ渦以降リモートワークが進む中で、エンジニアリングマネージャーになりたい人が減少傾向です。働き手にとってリモートの良い面ももちろんありますが、これまで隣に座っている人の様子を見れば調子なども分かったリアルのマネジメントと比較してオンラインの場合は総じて難易度が上がるようです。結果的に、エンジニアリングマネージャーになりたい人がどんどん減少しています。
この傾向に歯止めをかけなければ、エンジニアリングマネージャーになりたい人を増やさなければ、テクノロジーを活用して日本発のイノベーションを増やしていきたいというFindyの思いの達成が難しくなると強く感じました。
したがって、開発当初のコンセプトはエンジニアリングマネージャーの負担をいかに減らせるか、からスタートしています。
Findy Team+の開発難易度
次に開発難易度ですが、前述の通り、検討開始は2019年から始まり、本格的なリリースは2021年10月で実に構想から3年弱の開発期間が必要でした。
これには以下の理由があります
そもそも国内において類似のサービスがないため、クライアントにニーズをヒアリングして、UIを設計し、テストを重ねながら機能を実装していく必要があった
データを漏れなく取得してロジックを設計し、実装まで落とし込んでいく難易度が高かった
その結果、途中にβ版を先行で5社のクライアントに利用いただきながら、改善していく期間も含めてリリースまで3年近い月日がかかりました。
何より初期のプロダクトも何もない段階でヒアリングに付き合っていただいたクライアント企業の皆様やZOZOさんやアンドパッドさんのようにβ版のタイミングから導入いただき、プロダクトの改善も含めて日々フィードバックをいただいた企業様に感謝しかありません。
Findy Team+で提供していくニーズの整理
β版リリース後、初期はセールスからカスタマーサクセス、プロダクト企画など、立ち上げフェーズのアクションに自分自身も一担当として参加しました。やはり新しいサービスを出す場合は自分で現場に出て、生の声を聞いて感触を確かめることが大切だと思っています。なんだかんだ100社ほどの企業に営業をさせていただきました。
その過程で出てきたニーズを整理したのが以下のスライドです。(2021年後半頃に活動していたシリーズCの資料です。だいぶニーズの解像度が上がってきています。)
このタイミングで生産性向上やマネージャーの負荷軽減に加えて、エンジニアメンバーにも自分やチームのデータを見れるアカウントを持っていただき、セルフインプルーブメントに活かしていただくなどのニーズも発見し、実装をしています。
Findy Team+の現在地
本格リリースからちょうど1年を経て、トライアルも含めて200社以上の企業様にご利用いただき、開発組織の生産性可視化や改善に向けたアクションでの活用事例も増えてきています。
最近ではFour Keysに対応し、「デプロイ頻度」や「変更障害率」を計測できる機能や「イシュー分析」の機能など、リリース当時には準備していなかった多数の機能が開発されており、プロダクトとしても日々進化しています。
また、プロダクト開発と並行してアルゴリズムを設計することも多かったため、特許の取得にもチャレンジしてきました。すでにリリース済みのものを含めて数件の特許を申請しており、個人的にも特許取得の実務に詳しくなれたのは非常に勉強になりました。
Findy Team+Award
Award実施の思い
今回、Awardという形でFindy Team+の提供する「生産性指標」が高い企業を表彰するイベントを開催しました。まず前提として良い組織文化に投資している企業に優秀なエンジニアが集まる方が、結果的に日本におけるイノベーションの総数を最大化できるのではと考えました。
Findyではエンジニア採用力につながるマッチングプラットフォーム事業とエンジニア組織の生産性をあげる組織プラットフォーム事業を展開しています。この採用力と生産性を上げるために大事な取り組みが以下の良い組織文化作りと考えています。
具体的には、安心して開発できる環境や開発組織に対するスタンスを大事にして組織を作っていくことが大事だと思っています。
しかしながら、これまではエンジニア採用を頑張ってエンジニア組織の生産性を上げていくという矢印で活動している企業が一般的でした。人口増加の国、例えばインドなどでこのベクトルで組織運営を行うことはそれほど難しくないでしょうか。
一方で、日本のように人口減少の渦中にありとにかくエンジニアが不足しており、採用競争が激化している国では何をすれば良いのか。この矢印を逆転させ、エンジニア組織の生産性をあげることが採用につながっていく取り組みをする必要があると考えています。
なぜなら、以下のサイクルが回せるからです。
まず生産性が上がると迅速な価値提供が増えるためプロダクトを通して社会課題を解決する機会が増えます。Findy社内ではこれを「爆速価値提供」なんていう名前で呼んだりしています。また、その結果、エンゲージメントも高まります。これはクライアントインタビューする中で、リリース頻度が増えることで社会課題に対して解決策を提示している回数が増えることや、技術面での成長も期待できることが起因していそうです。
そして、エンゲージメントの上昇は良い組織文化の土台となり、採用にもつながるという流れです。
Findy社での取り組みとエンゲージメント向上や採用強化へのつながり
Findyでは、Findy Team+のドッグフーディングも含めて、2020年後半から約2年かけて開発プロセスの改善やサービスのリファクタリング、GraphQLの導入など新しい技術の取り込みなどを進めてきました。結果的に、生産性指標の一部である、「(一人当たりの)プルリク作成数」や「プルリク作成からクローズまでの時間」が3~4倍や3分の1程度まで改善してきました。
今では、ビジネスサイドからこのサービスもリファクタリングが進んでいるかなどが事業部の会議で質問が出るようになってきており、開発者体験に投資することの価値が社内で共通認識になってきています。
また、Wevoxで計測しているエンジニア組織のエンゲージメントも改善してきました。鶏か卵かですが、エンジニアが気持ちよく開発に取り組める組織づくりにしっかりと投資していくことで、Findyで働く上でのエンゲージメントが高まっていると感じています。
採用面に関しても、2年前は内定承諾が20%程度でオファーしても全然入社してもらえない状況でした。最近では、最終面接時にすでにFindyに候補絞ってますという方が、ここ数人続いており、採用力がついてきた強く感じています。実際に、最終面接で生産性改善の取り組みや開発者体験に投資している点をお話しすると、共感をいただけていると感じています。
Awardの選定基準と今後の開催
Awardに関しては以下の生産性指標をベースに組織規模別に優れたスコアのエンジニア組織や、ここ半年で改善が進んでいる組織を表彰する形をとっております。「プルリク作成数」や「プルリク作成からクローズまでの時間」など10数個の指標を解析して、アルゴリズムを開発しています。一つの指標ではなく複数の指標を活用することで総合的に良い組織はどこかという視点で設計しました。
今回、組織規模で分けて表彰をさせていただいたのは自社でも体験していますが、やはり企業規模が大きくなればなるほど生産性を維持する難易度が上がっていくということを感じているからです。大規模組織や急成長組織であれば生産性を維持していくだけでも高いマネジメント力が求められます。
解析対象企業については、上述の通りトライアルを含む導入企業に今回は限定させていただきました。広く募集して開催ということも考えましたが、初めての試みということで、まだまだ弊社のキャパシティの関係でそこまでの拡大ができず、申し訳ございませんでした。次回以降は事前に、開催のご案内をすることで、広く参加企業を募集する形式なども検討していきたいと思っております。(トライアルについては無料でトライできるため、費用はかからない形でのAward応募可能な環境を整えていきます。改善は今からでもスタートできますのでぜひご関心ある方はこちらからご連絡ください。)
今回、導入頂いている全ての企業様をAwardとして表彰できたわけではありません。Awardという性質上やはり何らかの基準で選ぶということが求められます。ただ、本来的には他社と比較して良いかどうかではなく、過去の自社あるいは過去の自分との比較の中でよくなっているかが大事だと思っています。ぜひ導入いただいている企業様内でも賞賛をする自社Awardなどが増えていくといいなと思っています。
また、Awardはあくまで一指標、一側面から開発組織を見ているに過ぎず、プロダクトの性質や取り組んでいるマーケットによって生産性が全てではない場合も多々あるとは思っています。例えば、原子力のシステムは生産性よりも安全性の方がはるかに重要なのではないかと推察しています。今後は、生産性を組織規模だけではなく、多様な側面から観測して、開発者体験をよくする取り組み全般について光を当てられるようなAwardにしていきたいと思っていますし、生産性はその一つの部門になっていくと思っています。
Award自体初めての試みであり、課題感もたくさんあると思っておりまして、ぜひぜひご意見、フィードバックなどはお気軽にこちらまでいただければ幸いです。
Awardが自社採用強化の一助になってほしい
エンジニア採用に強い会社といえば、社内にインフルエンス力もあるタレントがいて、人気のある会社が想像しやすいのではないでしょうか。採用サービスを展開しているともちろんそういう会社も世の中に10社~20社は存在しています。しかしながら、同時に希少な存在でもあります。
一方で、Findyも含む普通のブランド力、発信力の会社の方が世の中はたくさんあって、日々採用に向けてエンジニアと人事が一丸となり、スカウトやリファラル活性化に取り組んでいてもなかなか差別化できない、採用できないという会社が多いのではないでしょうか。
そこで、生産性が高く顧客価値提供の機会が多い可能性がある組織の例として光が当たると良いな意味合いで今回のAwardをできないかと考えました。
Award受賞企業の採用サイトでの特集なども始めているので是非是非一度覗いてみてください。
また、全てをご紹介しきれないのですがAward受賞企業がプレスリリースなども出ています。
KINTOテクノロジーズさんはトロフィーを車模型の間に飾っていただけているのも嬉しいですね。
Findy Team+のこれから
Findy Team+の今後の開発
今回のサービス名のアップデートに伴い、生産性の可視化だけではなく「開発者体験の向上」や「改善文化の醸成」、「採用支援」に至るまでより良い開発組織を作っていくための機能を充実させていきたいと思っています。
まずは生産性の可視化及び改善から始まったFindy Team+(元々はFindy Teams)ですが、実際に多くの企業に活用、フィードバックいただく中で、どうやって開発者体験に投資をして、継続的改善を回していけるかについて相談いただくようになりました。そうした機能をカスタマーサクセスだけではなく、機能実装までできるように開発を進めていきます。
ぜひ、日本のエンジニア組織を牽引する皆様と一緒に開発していきたいと思っており、引き続きフィードバックいただけると嬉し限りです。
エンジニアプラットフォームとしての成長
Findyではこれまで、エンジニアとテック企業のマッチングを、アルゴリズムを一部活用することで精度を上げていくことで提供価値を上げて企業として成長してきました。今後は、マッチングと組織両方の側面からプラットフォームを築いていくことで、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」を進化させていきたいと思っています。
また、エンジニアプラットフォーム領域は海外ではユニコーンもどんどん出てくる市場になってきています。例えば、フリーランスのクロスボーダープラットフォームであるTuringやアフリカなどでエンジニアを育成するAndelaなどは代表的な例ではないでしょうか。
FindyもFindy Global及びFindy Team+を通じてグローバルな挑戦も加速させていきたいと思っています。ぜひ引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
また、Findyの挑戦するエンジニアプラットフォームに関する定義については別のnoteでも紹介させていただければと思います。
以上、「生産性の高い組織にエンジニアが集まる理由とFindy Team+のこれから」について、いかがでしたでしょうか?まだまだサービスとしても発展途上ですし、ぜひ皆様と一緒に「挑戦するエンジニアのプラットフォーム」を作っていきたいと思います。サービスへのフィードバックや一緒にジョインしてプロダクトを進化させていきたいなどなど積極的にお待ちしています!!
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生産性の高いエンジニア組織は、Findy Team+で作れているのでPdMの採用が急募になってきています。こちらもぜひぜひ!