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妄想庭園【秋】実りなき秋/⑥ジェラシー師匠〜ショウナンゴムノキ

 我が極悪園芸プロダクションに一番最初にやってきたのは観葉植物「ショウナンゴムノキ」だ。ホームセンターで安売りされていた所をハーブの「ローズマリー」と共にスカウトされた古参メンバーだ。

 観葉植物やハーブは比較的手がかからず、新たに加入してくる他の植物達にかかりきりだからと、ヤキモチを焼いて枯れたりしない。温かい目で見守ってくれ、ベテランの余裕を感じる。

 夏の暑い季節には基本的にベランダで育てられていたそんな「ゴムノキ師匠」だが、10月から11月と涼しくなるにつれ、屋外での育成はそろそろお終いだろうなということで、部屋での管理に切り替えた。

 鉢が大きめのショウナンゴムノキには鉢底から水が滲み出るくらい、たっぷり水やりをする。こうすることで土中の老廃物を水で流してやるのだ。鉢皿にたまった水はそのままだと根腐れを起こすので、捨ててあげる。これは植物、鉢植えを育て始めて得た基本中の知識だ。

 しばらくして、鉢皿の水を捨ててやろうと鉢を見ると、土の表面でモゾモゾ動く物が。体長2センチくらいの虫の幼虫が数匹這い出てきて思わず「キャ〜!」「イヤ〜ッ!」と悲鳴を上げた。植物には癒やされたいけど、虫だけはイヤなの!

 ガーデニングに特化したSNS「Green Snap(※)」に、幼虫の写真をアップして、何の幼虫なのか? 対策方法は? など解決策をネットの賢者に教えを請うた。するとすぐさま「コガネムシの幼虫(根切り虫)かも!」という返信が来た。これは夏の間ベランダに出しっぱなしにして卵を産み付けられてしまった、私の管理不足の責任が大きい。

 その後も何回か水やりのたびにそれは湧き出て来た。まだ土中に残っている可能性がある。そこで水やりの時に一緒に根元にまく害虫用の錠剤を数回散布してやると、しばらくして湧き出る事も無くなった。

 しかし気にしたついでに葉の方をよく見ると、結構な枚数の葉が葉焼けしたような、茶色っぽいまだら模様になっていた事に気がつく。これは「炭そ病」らしい。葉に散布する薬剤もあるらしいのだが、以前の「ブラックパール」の成功例もあるので、やられた葉を大幅にカットし、残った葉の表面をウエットティッシュで拭いてあげた。

 葉への風通しも良くなったのか、それ以降は今の所元気に育ってくれて、幼虫も湧き出て来る事も無くなった。とりあえず一安心だが、観葉植物はいくら丈夫で育てやすいとはいえども、少なからず目をかけてやらないとジェラシーを起こしてしまうものなのだ。

※Green Snap(グリーンスナップ)…植物・花の愛好家の使用に特化したコミュニティサービス。植物写真を投稿する事ができ、他ユーザーの写真に「いいね」を付けたりコメントしあったりできる。専用アプリあり。https://greensnap.jp

ショウナンゴムノキ-1


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