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妄想庭園【夏】植物に操られて/①どうしてこうなったのか?

 ベランダにあふれかえり、部屋の窓際の辺りも支配している植物の鉢を見ながら呆然と振り返る。どうしてこうなったのか?

 最初のきっかけは、例の世界的パンデミックなアレだったかと思う。家に居ることが多くなったため、軽い感じでベランダをくつろげる空間に変えてみようと思ったのだ。のんきなものである。

 まずベランダの床にホームセンターで購入したウッドデッキを敷き詰める。そして通販で購入したガラステーブルやスチールチェアなどを置いて、座って夕涼み出来るようにもする。そうするとやはり、ちょっとした植物などを置いてあげたほうが、くつろぎスペース感が出る。

 最初は多少大きさのある、ショウナンゴムノキという観葉植物と小さいローズマリーを置く。別に広いベランダでもないので、すでにスペースは一杯なのだが、気がつくと数日後にはなぜかラベンターとスペアミントの鉢が増えていた。まあ、私が置いたのだが。

 この時点ではまだ多少なりとも自制心があり、自分の中でルール決めをしていて、植物を置くなら手のかからない観葉植物か、育てやすそうなハーブ辺りまでなら置いて良いことに決めていた。植物を見ることは好きだが、育てることには全く自信がないし、どうせ枯れてしまうだろうと。ならば世話も簡単で長く楽しめる丈夫なものを置きたい。

 花は咲いたらキレイだろうが、枯れる運命だし(そんなの本人の努力次第だ)、果樹・野菜類なんてもってのほかだ。病気や虫にやられるのも煩わしい。だいいちこんなに狭いベランダでは、そんなにガッツリ園芸を出来る環境では無いのだ。

 であれば造花でも飾っておけという話だが、それではあまりに寂しい。それに植物を見ていると確かに癒やされるし、他の植物にも興味が湧いてくる。これは何なのか? と考えると、コレクションアイテム的な要素がある気がしてきた。そのうち、部屋が思いっきり南向きだから日差しをよける日除けが必要だなとか、道具を入れる箱で、できればインテリアとしても飾れるようなオシャレなものが欲しいし…と植物だけではなくどんどん園芸用具も増えてくる。

 もともと本好きなので部屋は本だらけだが、園芸関係の本もいろいろ増えてきて部屋をさらに圧迫している。そのなかには園芸をテーマにしたエッセイなども面白いものがあり、そんなふうにいつかこの経験を文章にまとめて冊子にしてやれば、この不毛ともいえる状況も成仏できるのではないのだろうか? と写真や文章で記録を取ることにしたのだ。

夜のベランダ-1


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