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妄想庭園【冬】花のない季節に/⑨X'masスペシャルユニット〜初めての寄植え

 チェッカーベリーの実を鳥に食われて、傷心も癒えぬある頃。

 YouTubeでは、園芸を扱った様々なYouTubeチャンネルが存在している。その季節ならではの草花や、おすすめの情報など、とても役に立つため見ることが日課になった。そんな中ファンになり定期的に見回っているいくつかのチャンネルが、こぞってクリスマスシーズンの寄植えを紹介し始めた。特に心を惹かれたのが、ガーデンシクラメンなどの白い花をメインに、ポイントで黒や銀葉の葉色を持つ植物を引き立て役として配した、大人びてシックな色合いの寄植えだ。

 寄植えというと、原色系のカラフルな花を寄せ集めたようなイメージしかなかったため、こういう配色は新鮮で、何種類かの植物が一堂に介した鉢は単体の鉢より確実にインパクトがある。我が園芸事務所にもアイドルグループをプロデュースし、売り出すという新しい時代の流れに乗る時が来たようだ。チェッカーベリーが失われた今、この落ち込んだ現状を打破するためにも、今冬のクリスマス・スペシャル企画としてぶち上げ、再び気分を盛り上げたい。そうと決まればさっそくスカウトだ。

 使用する植物は、YouTubeで紹介されていたものと同じものを使用し、植え方のポイントを見ながら真似ることにした。なにせ寄植えは初めての初心者である。どうせやるなら枯らせたくない。完全に成功例の後追いであるが、ここで失敗してクリスマス気分を台無しにしては元も子もない。オリジナリティなどクソ喰らえだ。

 植物はゴージャスに6品種も使用している。種類によっては買い求めた店に置いていなくて、別の店まで買いに行ったものもある。そこは妥協しないのだった。植物ひとつひとつはそんなに高価な価格ではないのだが、やはり数が多いので、スカウト費用もかさむ。鉢はリーズナブルで扱いやすいプラスチック製のプランターにした。我が事務所ではリーズナブルに育て楽しむことをモットーにしているため、鉢は安いものを使用している。

 植える際にはバランスを見ながら、雑に扱って根や葉を傷めないようにと悪戦苦闘して何とか出来た。初めてにしてはまあまあだろう。ニューフェイスをインスタでお披露目するために写真を撮らなければならない。私はカメラマンも兼任していて忙しさで頭がおかしくなりそうだ。

 どちらかというと土いじりや鉢の植え替えが面倒で、買った鉢のまま放置したりすることもあるが、すっかり園芸の虜になった。今思えばこの大人っぽいクリスマスカラーの寄植えがきっかけだったのだ。

冬の鉢植え1号-1hosei


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