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なぜ大人になると地元の夏祭りに集まることがなくなるのか。少年時代に考えていた疑問の正解が180度違っていた。

小中学生だった頃、近所の公園で開かれる夏祭りに必ず参加していた。各こども会が主宰する夏祭りは、地元だけで全部で10カ所程で行われていたので、夏の時期は毎週末友達と夜に集合していた。

当時はそれが本当に楽しかった。だが、そんな地元の夏祭りには、小中学生や子供連れの家族などは良く見かけるのだが、高校生や大学生の姿は全く見なかった。

どうやら人は一定の年齢に達すると、なぜか地元の夏祭りには集まらなくなってしまうようだ。僕たちはそれが不思議でしょうがなかった。

僕らだけは高校生になっても大学生になっても、ずっと夏祭りに集まろう。そう友と固く誓った。



それから10年、僕らは地元の夏祭りには全く行かなくなってしまっていた。高校1年生の頃は辛うじて少人数で集まったりはしていたが、部活やら受験やらで忙しく集まらなくなっていった。

大学に入ると、地元のお祭りを気に掛けることすらなくなった。社会人になるとなおさらだ。どうやら僕たちも、例に洩れずあの時の高校生や大学生と同じ道を歩いているようだ。

だが、1つだけ誤解があった。当時小学生だった僕らは「大人になっていくと少年心が無くなるのだろう」「大人になると忙しくて楽しむ暇がなくなるのだろう」とかネガティブな推測をしていた。

その考えは全くの真逆だった。大人になると楽しいことが増えすぎるので、“地元の夏祭りに夜に少しだけ集まる”だけでは物足りないから、集まることが無くなっていくだけだったのだ。

大人になった今では車で遠出もするし、友人同士だけでお泊り旅行もする。ダーツもビリヤードもするし、クラブでお酒を飲んで大はしゃぎもする。マニアックな国に海外旅行だって行く。

小中学生の頃、地元の祭りが楽しかったのは“いつもの遊びと違って夜遅くまで友人と一緒に居られた”からだ。そんなことが当たり前となった楽しい大人の生活を知ってしまうと、地元の祭りだけではとても満足できない。

地元の祭りから高校生や大学生が消え去ってしまうのは、ネガティブな理由でなくポジティブな理由だったと大人になってようやく理解できたのは、非常に感慨深い。


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