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処理水海洋放出から1ヶ月が過ぎて

2023年8月24日午後1時頃、福島第1原子力発電所のALPS処理水が海洋放出開始となりました。10年以上議論されてきたことがようやく前に動き出したな、という感じです。

コトの経緯が分からない方のためにざっくり説明しますと、福島第1原子力発電所は2011年の東日本大震災による影響で廃炉(はいろ)することになっています。その廃炉作業の過程において、ALPS処理水と呼ばれる処理水が発生します。その処理水が敷地内のタンクに貯められてきましたが、そろそろ敷地内がパンクするので処理水をどうにかしなくてはいけません。その処理水には、水道水や雨水、そして私たちの体の中にも含まれており、自然界にも広く存在する放射性物質「トリチウム」が含まれています。(人体に影響なし) そのトリチウムを、国の定めた安全基準の40分の1未満の水準まで海水で薄めてから海洋放出する、ということです。詳しくは、経済産業省が分かりやすい説明をしているので、ぜひご覧くださいませ。

簡単にいうと、人体に影響がないものを、念のため安全基準の40分の1未満まで海水で薄めて海へ流す、ということです。科学的に、冷静に、フツーに考えれば、騒ぐことではありません。なのに、一部の層が処理水海洋放出があたかも危険であるかのように騒いでいるのです。

そこで私は、業界の未来、この国の未来を考えて、処理水海洋放出の前日(2023年8月23日)にX(旧twitter)を更新。多くの反響をいただきました。なぜ私の発言がここまで注目されたのか説明します。水産業界では、「処理水反対」のムードでした。メディアでもそういった声ばかり報道するので、世間でも「漁師がこれだけ反対するってことは、処理水って危ないものなのかな」みたいなイメージだったと思います。そんな中で、ふくしまの水産業の内側にいる魚屋の私が、事実上の「処理水海洋放出肯定発言」をしたものだから、注目を浴びたのだと思います。


処理水放出に関する私の考え
・海洋放出はせざるを得ない
・処理水の安全性は第三者機関(IAEA)のお墨付きを得たのに、なぜ世間は騒ぐのか。冷静になってほしい。
・海洋放出に反対する人たちは、処理水をどう処理するか代替案はあるのか?(実際、海洋放出以外に代替案はあるが、どれも現実的でない)
・とはいえ、構造上、立場上、反対と言い続けるしかない役目の人もいる。そうでない人は、処理水反対なんかしないで、風評を起さないような活動をしてほしい。
・国内で無駄な分断(海洋放出に対して賛成・反対)をしている場合ではない。みんなで手を取り合うべきだ。

風評に関して
・自然災害は防げないけども、風評災害は防げる。
・メディアの方には科学的で冷静な報道をお願いしたい。
・メディアの方は、風評を心配する漁業者ばかりを報道するのではなく、「処理水は安全だ。風評なんか杞憂だ。だからこそみんなで冷静になろう。ふくしまだけの問題ではなく国全体の問題だ。対岸の火事で風評をあおるな。手を取り合って国民みんなで風評を起さないようにしよう。」と呼びかけてほしい。
・「風評が起きたら」の“たられば”で未来の不安をあおるから風評が起こるのでは?

さてさて、処理水海洋放出からちょうど1ヶ月。ふくしまの水産業はどうなっているでしょうか。結論から言いますと、風評被害は皆無です。(中国からの迷惑電話はさておき)

ふくしまの水産業に関する明るいニュースがたくさんありすぎて選ぶのに困りますが、福島県最大級の新聞「福島民報」の記事をいくつかご紹介。福島県産の魚の注文が殺到しており、相場は下がるどころか、上昇しています。(魚屋としては仕入値が上がって大変、、、)

数字でも証明されましたが、風評は防げるのです。(防げたのです)
メディアの方々は、処理水海洋放出後は前向きな報道を積極的にしてくれてるようになりました。SNSでも前向きな発言を多く見かけます。ホントにありがたい!日本は捨てたもんじゃないですよ。風評を未然に防ぐことに協力いただいたすべての方々に感謝申し上げます。実際に行動を起こして(前向きな発信、水産物の購入など)風評を防いだみなさんは、日本史におけるヒーローです!

私が経営する鮮魚店「おのざき」でもありがたいことに、福島県産の魚の注文が急増しています。福島県沖の親潮と黒潮がぶつかる栄養豊富な潮目の海で水揚げされる品質の高い魚を「常磐もの」(じょうばんもの)といいます。その常磐ものにフォーカスを当てて2023年6月8日にOPENさせた「寿司おのざき」はおかげさまで売上が伸び続けています。わざわざ遠方から、福島の常磐ものを食べにご来店いただいています。

1番人気「福島県産めひかりの握り」
トロッと口溶けが最高。


ぜひ、我々の誇りである「常磐もの」をご賞味いただけると嬉しいです!

▼福島が誇る「常磐もの」をオンラインで

▼福島が誇る「常磐もの」をお店で
(おのざき直営の常磐ものが存分に楽しめる寿司店。2023年6月8日にOPEN)


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