第8話～今宵の月～

今宵は満月。静かな夜に迷い込んでいるうちに学生の頃よく遊んだ旧友を思い出した。落ちてるサングラスに向かって「レイバンであれ」と全力で叫ぶやつ。レンタルした車のサイドミラーをぶつけて爆笑するやつ。ほんとにみんな頭がおかしくてよく笑ったものだ。火の粉をまき散らす今宵の満月のように、今の20代の「火力」はすさまじい。

合わせるなら若者の意見だ―株式会社おのざきの人事理念は「貢献序列」である。年上だから偉いとかはもうやめ。キャリアが浅くても会社に貢献していれば認められる。最近の若者は実に素晴らしい。精神論を忌み嫌い、楽しい事しかしない。つまらないことはやりたくないのだ。おもしろくないことはロボットにまかせるなりしてさっさと日々の業務から消し去ればよい。効率化が捗る。

常識からは常識以下しか生まれない。おもしろいことしようぜ。「just for fun」な思想の若者よ、おのざきの門を叩いてほしい。僕自身も面白さを追求し続ける。

そうだ、旧友のあいつらにLINEしよう。想像するだけでギラギラと面白い遊びを思いついた。ー今宵の月のように。　　　　　　　（いわき民報掲載）