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【結の人】その③ 林 紀子さん(地域総合相談支援係)

地域づくりに関わる人々は、日々どのような仕事をしているのでしょうか?
「結・しぶや」の運営には、複数の組織から、それぞれに異なる役割を持った、個性的な人々が関わっています。【結の人】では、渋谷の地域をつむぐ人々をリレーインタビューで紹介します。

【結の人】その③は、「結・しぶや」常住メンバーで、南部地区担当の林 紀子(はやしのりこ)さんです。

――林さんのこれまでについて教えてください。
生まれ育ちは富ヶ谷で渋谷区住民です。経理などを学んだ後、区主催のヘルパー養成講座を受講し、区の非常勤職員として高齢者の訪問介護に携わりました。まだ、介護保険が始まる前のことです。ヘルパー事業を社協福祉協議会(以下:社協)が担うことになったことを機に、社協の登録ヘルパーとなり、その後は、当時の補助員、嘱託職員、職員となり、ヘルパーをしながら、同時に派遣依頼への対応・調整など、徐々に仕事の幅が広がっていきました。
残念ながらヘルパーステーションが2022年3月末に事業を終えることになり、これまでの高齢者への支援の経験を生かして生活支援コーディネーターに転身、となりました。
 
――林さんの、現在のお仕事での担当を教えてください。
現在は、南部と呼ばれる新橋地区、恵比寿地区、氷川地区のエリアを担当し、3つの協議体に関わっています。恵比寿、広尾をまたがる新橋地区は、昔からお住まいの方を中心に協議体が構成されており、人情味溢れる所です。コロナ禍で外出機会がなくなった高齢者の居場所づくりや、若い方にもどうやって町会に入ってもらえるのか・・・町会の新規加入率の低迷などの話題が多く出ています。外に出にくい高齢者の方に向けた取り組みとして、地域が保有している防犯・防災の施設をオープンデーという形で地域に開いて、誰でも集える場所づくりをしてみようかといったアイディアが出ています。
 
恵比寿地区では、高齢者のみではなく、子ども、障がいをお持ちの方など、多世代でかつ、多様性を持った地域づくりに関心をお持ちの方が多いことに加えて、協議体の中に障がい者施設の方も参加してくださっていることで、年代の垣根や障がいの有無を超えて、一緒に集まって高齢者が秘めている“昔遊び”を一緒にできないかというアイディアを今、温めています。
 
氷川地区(東地域)は明るくポジティブパワー全開。恵比寿地区と新橋地区と同じく町会の方の他、子ども園も協議体に入っておられます。先日は、見守り協力員のネットワークから國學院大学に通う落研(落語研究会)の方に「子どももわかる落語の会」を開催してもらいましたが、いつも、次何やろうか、次どうする?という会話が行き交っています。次は、渋谷にある昔の地名の面白さを共有できるような街歩きの企画を立てています。
 
長らくヘルパーの仕事に携わってきて、その中で傾聴スキルが自然と身に付きました。そのおかげで色々な人の話を伺うのは好きなのですが、今まであまりやったことない人前で話すことも求められ、この2年、自分の新たな面を磨いている最中です。協議体には非常に面白さを感じていて、多様な人が集い、地域のために対話を重ねて自主的に地域のことを語り合っている様子を見ているとそれが、パワーになります。
 
関わらせていただいている3地区どこも自分たちで地域を盛り上げたいという機運を感じます。私の役割はそれぞれ月に1回程度で開催されている協議会のフォローアップや、結・しぶやも分室となっている「なんでも相談」の対応、社協の組織運営に向けた経理事務や人事労務などにも対応しています。
「なんでも相談」には、ネーミングの通り色々な内容が寄せられます。「食べ物がそろそろ尽きてしまう」という切実な内容だったり、介護、仕事、病気、引きこもりなど家族を取り巻く今後の不安も多いです。また、生活上の「庭の木をどうにかしたい」、「周囲の騒音」といった声が寄せられます。その都度、内容をお聞きして、必要な機関や情報に繋いでいます。

――「結・しぶや」ではどんなことに期待しますか?
結・しぶやには地域に点在している色々な人や情報がつながる拠点になって欲しいと思っています。例えば、障がい者施設で水耕栽培の野菜を作っているのですが、売り先がないという相談が寄せられたとしたら、マルシェをやっている所と繋がるなど、点と点とがつながり新たなことが生まれてくる所となる期待を持っています。

聞き手:コミュニティマネージャー(認定NPO法人サービスグラント)岡本