※同一歌詞の掲載は省略しています。
▼Official MV
◾️あとがき
一見タイトル通りのわかりやすいテーマと思いましたが、抽象的な表現が多く解釈が難しい曲でした。
まるでピントのぼけた視界の中で光の残像が過ぎ去っていくような、淡々と繰り返すピアノ、モノローグのように歌うメロディーが儚い世界を想像させます。個人的には単純に歳を重ねること、変化していくことへの不安というよりは、失うことへの恐怖を強く感じました。そちらに主軸を置いたため、意訳は強めです。
喪失についての曲を書くアーティストはたくさんいますが、Lizzyは特に素晴らしい表現力を持っていると感じます。
彼女にとって父親を亡くしたことが創作に大きな影響を与えたようですが、「アーティストは生活がすべて」と宇多田ヒカルが言うように、個人の体験を聴く人の中にある多種多様な琴線に触れる形に昇華できるのは音楽家に与えられた才能であると同時に、苦悩・孤独でもあるのでしょう。
才能の代償、というにはおこがましいですが、「自分らしく」が妙に流行っている昨今、「才能」とは自分に恩恵をもたらすだけでなく、他人の期待や失望も背負った上で、プレッシャーと戦い続けることを指すんだよなと改めて思います。人生とはその宿命的な自分の能力(個性)と向き合うことなのかもしれません。