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舞鶴の一棟貸しホテル「SEW」からまちを辿る

7月下旬、舞鶴に今夏オープンした一棟貸しホテル「SEW(ソウ)」へ泊まりに行ってきた。

これまで何十回と訪れたまち。でも、プライベートで訪れるのは初めて。せっかくならスケジュールを組まずに流れに身を任せて滞在してみようと、ノープランで、京都駅から高速バスに揺られいざ舞鶴へ。

お昼頃に西舞鶴駅へ到着。ひとまず重い荷物を下ろすため、商店街を抜けて早速SEWへ向かう。すでに部屋の準備ができているとのことだったので、受付を済ませて、一棟貸しの平家へ案内してもらう。川に面したプライベートの庭付きで、ピンクのようなオレンジのような、淡い色のカーテンが素敵な宿。これまでここでどんな生活が営まれていたんだろうと想像しながら、ぐるっとお部屋を見学してみる。

一息ついたら早速ランチへ。SEWにはレンタサイクルもあるので、自転車を借りて水協食堂へ向かう。駅からちょっと距離があるため、仕事の合間だとなかなか来る機会がなくて、念願の初訪問。オムライスが美味しいとか刺身定食がおすすめとか色々聞いていて迷ったけど、海鮮丼に。おっきい海老がドドンと乗っていて大満足。

食後は近くをサイクリング。漁港に寄って海を眺めてのんびり過ごす。クラゲや魚が泳ぐのが見えるほど、透き通っていた。

川を渡って吉原地区へ。レトロな街並みが残るまちで「東洋のベネチア」とも言われているらしい。運河には船が並びそばには家が立ち並んでいる。漁に出やすいことからここにまちが形成されていったのだろうか、と考えるも、あまりの暑さにやられて、涼をとろうと「喫茶R・coco」へ立ち寄る。どうやらフルーツを贅沢に使ったパフェが名物みたいだけど、売り切れていたので、マンゴーかき氷を注文。クーラーと氷で一気に体が冷やされて生き返る。2階席からは川を眺めながめられて景観も抜群。最高のティータイムだった。

西舞鶴駅前に今春オープンした学生のためのフリースペース「KATALab.」へ向かう。運営する高田くんや原田くんとおしゃべり。昨年度まで京丹後で高校生と地域の架け橋となるコーディネーターとして活躍していた能勢さんが今は舞鶴に移り住み、ここの相談員として関わっていて、久しぶりに再会する。
インクづくりのワークショップが行われていたので、見学させてもらうことに。大阪のインクメーカーと舞鶴の文具屋さんのコラボ企画で、高校生がオリジナルの舞鶴カラーのインクを開発して、販売までするらしい。お気遣いいただいて、インク作りもさせてもらった。なんて図々しいんだ。お昼に見た、舞鶴湾の色を再現した。

夕方になるにつれて涼しくなり、まちを巡りやすい気候になってきたなと思いながら、平野屋商店街にある「FLAT +」へ。翌日、西舞鶴では「夜の市」と呼ばれるお祭りがあり、「万願寺まつり実行委員会」のメンバーが出店に向けての準備のために集まっていた。ご近所のお店から取り寄せたオードブルを一緒にいただいた後、万願寺の串揚げと肉巻きの仕込みをお手伝い。万願寺とうがらしを選別して、串打ちをする。完売しますように!

SEWにもお風呂はあるんだけど、やっぱり旅先では銭湯に入りたい。吉原にある「日の出湯」は20時までと終わりが早いので、お手伝いを抜けさせてもらい、ダッシュで銭湯へ。閉店10分前、「もう誰も来ないと思って」とおばちゃんがちょうど鍵をかけているところだったけど、ありがたいことに入らせてもらえた。

外に出ると日の出湯のおっちゃんが涼んでいて、ほかほかの私をうちわであおいでくれた。昼間、吉原を巡ったときに、水無月神社でお祭りの準備をしているのを見ていたので、その話で盛り上がる。
約300年前、田辺城の周辺では疫病が流行ったらしい。被害を広げないために、城周辺に住んでいた人たちを隔離させるためにできたのが吉原だと教えてもらう。吉原に移り住んだ後も、ここで疫病が広まりたくさんの方が亡くなられたそうだ。疫病を抑え、ここで暮らせることに感謝をするために水無月祭が行われるようになったという。生活のために運河を作り、漁を生業とするようになり、いつしか漁師町として栄えた。かつてはお店もたくさん立ち並んでいたと懐かしそうに話す。
昼間、吉原に来た時、私は漁をするためにまちをつくったのかなと想像していたけど、順番が逆だったんだと気づく。住んでいる人とのおしゃべりは学ぶことばかりで面白い。

もう少し何か食べたいなと思い、いつもの「漁師小屋」へ行くも満席。FLAT +へ寄り、オススメのお店をとくさんに聞いてみると、「GUILD」がいいよと。Googleマップに口コミはあるものの、写真は民家っぽいもののみで観光客としては不安になる。

「地元の人しか行かないけど、とくさんの名前出したらいいから!」という坂本さんの言葉を信じて、恐る恐るドアを開ける。満席だったけど、席を譲ってもらう。舞鶴の人、みんな優しすぎる。地元の人が集っていて、学校が一緒だったとか、同級生だとかって話を聞きながら、おしゃべりを楽しむ。自転車で舞鶴のあちこちを訪れた話をすると、マスターが「自転車にのって」という曲を弾き語りしてくれた。

SEWに戻ってプライベートの庭で晩酌。この時のために、昼のうちにSEWでクラフトビールを買っていた。魚が飛び跳ねる音を聞きながら、静かな夜を過ごす。

翌朝、カーテン越しに差し込む柔らかな光を感じて目を覚まし、「喫茶 若」でモーニング。朝からガッツリすぎるだろうかと悩みながらも、名物の鉄板ナポリタンを注文。熱々で美味しい。

水無月神社のお祭りを一目見ようと、自転車を漕いで再び吉原へ。日の出湯のおっちゃんがはっぴをきて、子どもたちと一緒に太鼓を叩いていた。昨日のことを覚えていたのか「お〜」と声をかけてくれ、太鼓を教えてもらうことに。おっちゃんや小学生のように重い音を全く出せず悔しがりながらも、吉原ならではのリズムを叩き込んでもらい、おっちゃんとセッション。最高。


SEWに戻ってチェックアウト。運営する福井センイの菅原さんにお礼と旅の感想をお伝えする。

バスに乗って東舞鶴へ。舞鶴の観光地といえばの「舞鶴赤れんがパーク」へ立ち寄る。大好きな顔ハメパネルがあったのでとりあえず撮影。「Coworkation Village MAIZURU」へ立ち寄るも、運営する作間さんは不在。ちょうど京都市内に行っているらしい。入れ違いや。

15分ほどてくてく歩いて「GASS」へ。丹後瓦斯ガス旧本社ビルをリノベーションして生まれた場所で、株式会社ホリグチさんたちが運営に携わっているカフェ。サラダのドレッシングには、飯尾醸造さんのお酢が使われている。パスタにもサラダにも、京都北部の美味しさが詰まっている。

帰りは東舞鶴駅から高速バスで京都駅へ。車窓から景色をぼんやり眺めながら、1泊2日を振り返る。

余白たっぷりだからこそ、気の向くままに足を運び、まちを知り、出会い、楽しむことができた時間だった。もっと意識して、こういう旅の時間をつくっていきたい。

SEWの受付に「京都ローカルワークステイ」のチラシが。ありがとうございます!
KATALab.にあったやりたいイベント募集掲示板。中日を追加。
KATALab.ではゆう薬局さんと制作した冊子を発見。ありがとうございます!

後日、QUESITONへ行くと、SEWプロジェクトにプロジェクトマネージャー兼事業アドバイザーとして関わる株式会社おいかぜの柴田さんがいた。旅の一部始終をお伝えしていると、「水協食堂のカレーラーメンが美味しくて、いつも注文する」と。名前からして美味しそうやん。再び、舞鶴へ行く理由ができた。



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