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あなたは投資の先にどんな景色を見るか

個人投資家の中でも高い発信力を持つ投信ブロガーが、投資家目線で優れた運用商品を選ぶ「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」で「結い 2101」は昨年、14年連続でランクインし、7位に選出いただいた。インデックス型の投資信託が上位に名を連ねる中、アクティブ型では最上位だった。

この数年、大型株相場が続く中で中小型株が多く組み入れられている「結い 2101」の運用成果は芳しいとはいえない。その中で、「結い 2101」が掲げる投資理念やこれからの日本にほんとうに必要とされる「いい会社」に厳選して投資するという投資姿勢への共感、投資先の会社と受益者がお互いに知り合う場での学び、パフォーマンス以外の価値の発見など、投票いただいたブロガーから寄せられたコメントを読むと心が熱くなる。とても嬉しいと思うと同時に心から感謝したい。

投資には、お金を増やすことだけでは量れない多様な価値がある。そうした自分らしい投資軸をしっかりと持った投資家が増えることを願っている。

お金を増やすだけではなく、「自分にいい投資」とは

鎌倉投信では、運用報告の一環として、様々な形で投資先のいい会社とお客様をつなぐ「場」を設けています。たとえば、投資先の経営者や社員にお客様の前で講演してもらったり、お客様と一緒に投資先を訪問する機会も多くあります。そのなかで、最も大きな取り組みが、年に一度、お客様、投資する会社が1000人規模で集う「場」、受益者総会®です。

金融商品は、着るものや食べるものと違って、すべてが数字で表現されるので、なかなか手触り感を持つことができません。そこで、鎌倉投信は、お客様の大切なお金が、どういう考えで、どういう会社に投資され、その会社がどのような取組みをすることで社会がよくなり、会社の価値が高まるのか、そしてリターンとして循環しているか、そのつながりを実感してほしいと思っています。受益者総会とは、「結い 2101」の決算報告会に留まらず、そのための場でもあるのです。
 
昨年の受益者総会での、「ユーグレナ社の売上が10倍になれば、社会が10倍よくなることを確信している」という同社永田前副社長の言葉に象徴されるとおり、食や地球環境に関わる社会課題の解決に向けた各社の取り組みは本気、本物です。

そうした取り組みを初めて知る参加者も多かったのでしょう。各社の真剣な取り組みをはじめて知り、感銘を受けたという声が多数聞かれました。
投資とは、お金を増やすための手段ですが、それと同時に、多くのことを学び、知り、出逢いを生む機会でもあります。真剣に社会をよくしようと全力で向き合う経営者や社員の存在を身近に感じることは貴重な経験にもつながると感じています。

経営者に伝えて欲しいこと

僕は、受益者総会などで投資先の経営者に話をしてもらう際、株価とか業績とか数字の話をすることは一切お願いしていません。お客様に何を伝えてほしいかといえば、「そもそも自分たちの会社は、誰のために、何のために存在するのか」といった想いの原点、それぞれの会社が持つビジョン、ミッション通じて、これからどんな社会を作っていきたいのか、という世界観を伝えてほしいと思っています。自分の想いを、自分の言葉で伝えてほしいのです。
 
会社にとって、株式価値、財務価値も大事ですが、それ以上に大事なものがあります。それは、社会における存在価値ではないでしょうか。登壇する経営者には、その社会における存在価値をしっかりとお客様に伝えてほしいのです。それがお客様の心に届けば、そこから信頼に根ざした投資が生まれます。
 
株価は、日々上がったり下がったりします。しかし、会社の社会における存在価値は、日々変動するものではありません。いい会社が社会に必要とされれば、自然と売上や利益は伸び、長期的に見れば株価もそれに沿って値上がりするでしょう。それが投資家のリターンにつながるのです。

すべてはたった一人の想いからはじまる

また、社会をよくしようと真剣に向き合う人の姿から、お客様に感じてほしいことがあります。それは、あらゆる事業も、あらゆる社会変革も「すべてはたった一人の想いから始まる」ということです。「想いが形を成す」ということです。

登壇してもらう経営者は、いまでこそそれなりに有名な経営者になっていますが、初めからそうだったわけではありません。お金も、知名度も、実績も、経営の能力もない、普通の人に過ぎませんでした。あったのは、何かを成したい強い気持ち、諦めない心、ひたむきな姿勢、ではないでしょうか。そこから少しずつ築き上げて、ようやく人前で話せるようになったにすぎません。話を聞いているお客様と、もともと大きな違いはないのです。
 
お客様がそのことを感じたとき、お客様の心の中にも小さな変化が生まれます。小さな一歩を踏み出す人が現れはじめるのです。たとえば、お金の遣い方を少し考えてみる人、何か大事なときには、投資先の会社がつくる想いのこもった商品を買って大切な人にプレゼントしてみる、寄付をしたり、ボランティアをはじめる人もいます。
自分の人生を考え直し、転職をする人もいます。お客様同士で結婚した人もいます。
すべては投資がきっかけでした。

投資とは出会いを生むもの

投資を通じて自分の人生を考え直し、マザーハウスに転職したIさんは忘れがたい存在です。Iさんは、もともと損保会社に勤めていましたが、2016年の受益者総会でマザーハウスの山口社長の話を聞き、心揺さぶられ、それまでの経歴からはまったく畑違いだったマザーハウスに転職したのでした。当時30代半ばだったと思います。
 
鎌倉投信の投資信託を買ったことがきっかけで、人生を変えた人の先行きはやはり気になります。ときどき、アポイントなしでIさんが勤務するお店を訪ねると、当時ファッションにあまり気を使っていなかったIさんは、すっかりあか抜けしてセンスのいい衣装を身にまとい、いつもさわやかな笑顔で迎えてくれます。そして、いつものようにこう言うのです。
 
「本当によく来てくれました。いま、僕の人生は、とても充実しています。あのとき、受益者総会でマザーハウスの山口社長の話を聞いたからこそ、いまがあります。出逢いに本当に感謝しています」
 
いつもこみ上げてくる涙を我慢するのが精いっぱいです。
 
このように自分を見つめ直して、新たな人生を歩み直す人は少なくありません。投資で出逢った会社に転職したり、お子様がインターンで学びに行ったり、就職活動で面接に行ったという話はいろんなところで聞きます。
 
こういう姿を見ると思うことがあります。「投資の本質は、出逢いを生むことである」と。そして最高の出逢いとは、「いまだ気づいていない自分自身との出逢い」なのではないでしょうか。自分はこんなことが好きだったんだ、こんな会社に共感するんだ、こんな商品やサービスを本当は買いたかったんだ、などいろんなことを感じるきっかけにもなります。それがその人の人生を成長させることにもつながるのです。
 
投資はお金を増やす手段ですが、それは目的ではありません。人生や社会を豊かにすることが、投資の目的なのだと思っています。投資が持つ出逢いを生む力は、おそらくあなたの思う以上に大きいのです。
 
今回もnoteを読んで頂きありがとうございました。


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