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投資で成功するための8つのカギ(前編)

年度が明けると、各金融機関は、2017年に金融庁が策定した「顧客本位の業務運営に関する原則」をもとに、その取組状況と成果指標 (自主KPI)を公表することになっている。

鎌倉投信も、「顧客本位の業務運営に関する原則」を実現するための社会の持続的発展に向けた取組方針を独自に制定して公表すると共に、2018年に金融庁が示した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」を踏まえて、鎌倉投信のお客様の損益状況を公表している。

【リンク】
https://www.kamakuraim.jp/company/policy/
https://www.kamakuraim.jp/_files/4-388/kokyakuhoni-report202403.pdf
https://www.kamakuraim.jp/_files/5-389/kpi.pdf

その結果、前年度末(2024年3月末)時点で99.5%のお客様がプラスの収益となっていた。

もとより各投資信託の運用方針や開始時期、個人が投資を始めるタイミングにバラツキがある中で、運用損益のプラス・マイナスだけで運用商品の巧拙が計られるものではない。しかも、前年度は、市場環境が良好だったのでプラスのお客様が多いのは当然の結果といえよう。

しかしその中でも、「結い 2101」を保有するお客様の運用損益は、過去のどの時点においてもプラスのお客様が安定して高いことは意味のある結果といえるのではないだろうか。その背景に、お客様が鎌倉投信の経営理念や投資哲学、「結い 2101」の運用方針を理解した上で、市場動向に振らされることなく、長期にわたって保有いただいていることにあると感じている。

私は、個人投資家やプロといわれる年金等の機関投資家に接しながら、35年にわたり投資の世界で仕事をしてきました。その中で、個人投資家が投資で成功するために大切なことが8つあると感じています。

それが、拙著「社会をよくする投資入門」でも書いた、
① 先入観を解く
② 株価(価格)ではなく価値に投資する
③ 経済法則(複利と分散効果)を利用する
④ 感情を排除する
⑤ シンプルに投資する
⑥ 予測しない
⑦ 投資に期限を設けない
⑧ 投資観を持つ

です。

そもそも、資産形成において欠かすことのできない株式投資を例にとると、長い目で見れば会社の価値が高まればそれに連動して株価は高まっていくので、短期的な値動きを心配する必要はありません。

しかし、株式市場で株価が乱高下すると、どうしても不安になってしまうのも心情でしょう。特に、人の心理とは面白いもので、利益が出たときよりも、一時的にでもお金が目減りすることの心理的な影響の方がずいぶんと大きいとの分析があります。心理学の世界では、こうした心理的作用を「プロスペクト理論」といいます。そもそも人の脳は、儲けるよりも損失を避けたいと思う気持ち、利益が出たときのよろこびよりも、損をしたときの苦痛のほうがより大きく感じるようにできているのです。

理屈では「投資は預金よりも効果的にお金を増やす方法がある」と分かりながらも、どうしても投資に不安が付きまとうのは、このような脳のはたらきが影響しているからかもしれません。

今回は、こうした脳のはたらきを克服して、投資で成功する人が大切にしている「8つのカギ」の①~➂について書きたいと思います。

①  先入観を解く

「投資は何となく怖い」「投資をはじめるお金がない」「投資はお金持ちがやるもの」。投資をしようと思いながらなかなか踏み出せない人からよくこうした声を聞きます。投資に二の足を踏んでいる人は、似たような感情を抱いていないでしょうか。また、こうした人は、往々にして、投資にまつわる次の「3つの誤解」を持っているように感じます。

(誤解その1)投資とは「短期で利益を稼ぐ」もの。
(正解)   投資は「時間をかけて価値を増幅させる」もの。

(誤解その2)投資とは「お金を貯めてからはじめる」もの。
(正解)   投資は「少額からでも早くはじめる」ことがその効果を高める。

(誤解その3)投資とは「お金持ちがやる」もの。
(正解)   投資は「普通に生活する人だからこそ取り組む」もの。

この「3つの誤解」から解放されることが、投資に成功する第1のカギです。まずは小さな一歩を踏み出してみましょう。

②株価(価格)ではなく価値に投資する

2つ目のカギは、投資と投機を混同しないことです。「投機」とは、短期的な価格の値動きに着目して利ザヤを稼いだり、一攫千金を目論んで博打のように投資商品に手を出したりすることをいいます。一方、投資とは、「実体としての価値」に着目し、その「価値」が長期的に増える傾向を見込むものです。

例えば、図1を見てください。左右にのびる一直線は、東証プライム市場に上場する会社の株主資本と配当金の増加率を累積で示したものです。わかりやすくいえば、株主が得るリターンの源泉の推移です。これは、「実体としての価値」を示す1つの指標といえます。その1本の線を中心に、上下に変動をしながら推移しているのが、東証プライム市場の株価指数の推移、すなわち株価です。

<図1>

ご覧のとおり、株価は、短期的には期待と不安で上下に変動するものの、長期的にみれば「実体としての価値」に収れんする傾向が見てとれることがわかります。

「株価は価値に収れんする」、これは法則といえるでしょう。その法則に則り、「株価(価格)ではなく、価値に投資する」姿勢を持つことが大切なのです。

③経済法則(複利と分散効果)を利用する

成功する第3のカギは、2つの経済法則を上手に使うことでしょう。経済法則の1つ目は、長期投資のメリットとしてよく登場する「複利」の効果です。投資先の価値が高まると見込まれるものであれば、じたばたせずに放っておけば、時間の経過とともに雪だるま式にその増幅額(リターン)が高まるというものです。

しかし、お金を1つの投資先に集中してしまうと、予想が外れたときのリスクが大きくなります。そうならないように、異なる市場、異なる収益特性を持つ投資商品を複数組み合わせると、全体的なリターンは、より安定します。

これが経済法則の2つ目「分散投資の効果」です。

例えば、上のグラフのようにNYダウとTOPIXなど、異なる国の株式指数を組み合わせることで、リターンの上下の振れは小さくなり安定する傾向があります。

この2つの経済法則を利用すれば、投資の成功に近づくといえるでしょう。次回は、「④感情を排除する」「⑤ シンプルに投資する」「⑥ 予測しない」「⑦ 投資に期限を設けない」「⑧ 投資観を持つ」について書こうと思います。

(つづく)


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