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約10時間で作ったアプリがProduct HuntでDaily一位になり、リリース2日後に譲渡決定した話

こんにちは、実はこの度初めてのアプリ譲渡を経験したので、そのことについて書きます。
譲渡したのは以下のアプリ。

譲渡後はhttps://ai-code-reviewer.com/ のドメインで動いています。(ただ、私のVercelアカウント→先方のVercelアカウントへの移行だったため、ツイートのドメインもまだ有効です。)

譲渡先

譲渡させて頂いたお相手は実業家の佐藤様という方です。

佐藤様とは何回かやり取りをさせて頂いて、これまでの経歴などを話しているうちに面白そうなことをやってらっしゃる方だと思い、譲渡を決めました。
やり取りは佐藤様のレスポンスが早かったこともあり非常にスムーズに進みました。
今後も少しではありますが開発に携わらせていただきます。

譲渡条件

譲渡条件は以下のとおりです。(全部載せるときりがないので概要だけ)

  • コードはOSS化しない

    • ただし、中身を特定されない範囲での技術記事は書いても良い

  • 譲渡金額は公開しても良い

  • 譲渡後3年間は全く同じサービスを作らない

    • ただし、OpenAIを使った別のスコープのアプリは作成しても良い

  • 譲渡後も必要に応じて時給ベースで私が開発に携わる

  • 譲渡を通じて知り得た佐藤様の個人情報等を公開しない

上述の通り金額の公開許可は頂いているので、後ほど記事内で公開しますが、変なコメントが付くのも本意ではないので、その部分だけ申し訳ないですが有料記事にさせていただきます。興味ある方だけお読みください。

譲渡までのタイムライン

  • 12月12日

    • ふとOpenAIを使ってコードレビューをしてくれるアプリを思いついて、プロトタイプを作成する

    • 思った以上に精度が高かったことに驚く

    • UIを軽く考える

  • 12月15日

    • アプリのUIを組んでいく

    • 大体できたので進捗報告ツイートをすると思いの外伸びる

    • この時点で佐藤様から興味があるとご連絡いただく(このときは譲渡の話は出ていない)

    • アプリにチャットボットを導入する

    • エラーハンドリング等の細かい部分を組む

  • 12月17日

    • アプリの多言語化を行う

    • Product Huntに出してリリースする

    • リリースした直後にDaily一位になる

  • 12月19日

    • Product Huntで一位になった分流入が激しく、無料枠(18ドル分)を使い果たす

    • 個人でこのまま運営するにはランニングコストがかかりすぎるので譲渡を検討、その旨をツイートする

    • 佐藤様含め複数名からご連絡いただく

    • 23時39分、佐藤様に譲渡条件をお話すると快諾いただけたので契約書作成に移る

  • 12月20日

    • 友人にアドバイスを貰いつつ契約書を作成して佐藤様に送信

    • 14時51分、締結完了

  • 12月21日

    • 譲渡条件通りの金額の着金を確認

    • 先方のドメインやインフラへの移行等を行い、完全に譲渡を完了する

以上がアプリの検討から作成、譲渡までのざっくりとしたタイムラインです。
書き出してみると思いの他色々動いた一週間となりました。

ちなみにリリースから2日で譲渡!と書きたかったのでそのように書きましたが、譲渡が口約束ベースで決まったのが2日後だっただけで正式な契約書を交わしたのは3日後だったので、正しくは3日と書くべきだったかもしれません。すみません。

この間本業と副業も行いながら進めてきたので、実際の開発期間はタイトルにもある通り10時間前後ぐらいだと思います。
12月15日の進捗報告ツイートの時点でリリースをしていればもっと早かったんですが、少しこだわりたくなってチャットボットを埋め込んだりしているうちに少しリリースまで時間がかかってしまいました。

経緯の詳細

この部分では上記のタイムラインの中で具体的にどう動いたのかの詳細を書いていきます。少し長くなりますので興味ない方は飛ばしてください。

作った理由は最近OpenAIが流行っているので、私もそれに乗じてなにかアプリを作りたいなと思ったことがきっかけでした。

そこで、精度を確認するためにAPIを手元で動かしてみました。
そのときのツイートが以下。

APIを動かすのは30分もかからないぐらいで組めました。公式ドキュメントも丁寧ですし、すでにいろいろな記事が出ていたので。

このAPIを動かすためだけに作ったUIはこの時点でこんな感じでした↓

APIの精度を確認するために作ったプロトタイプ

そしてこの精度があればいけると思ってUIを考えることにしました。
コードを貼り付けるということで絶対にシンタックスハイライトは入れたかったので、codepenがどのようなライブラリを入れているのかを調べました。
するとcodemirrorを使っていることがわかったので、使い方などを確認してその日は寝ました。

その後、たまたま早朝に目覚めた日があったのでその日に数時間作業して割と良い感じになったのでツイート。

すると思いの外伸びました。
また、この時点で佐藤様からもご連絡いただき話しているうちに可能性を感じたのでもう少し作り込むことにしました。

そしてチャットボットを右下に追加したりしたのがこちらです。

この時点でリリースしても良かったんですが、アプリの名前どうするかなどを考えているうちに2日が経ちました。
そしてそこから大した更新はないままですが、多言語化だけして思い切ってProduct Huntに出してリリースしました。

Product Huntに出した直後から反響がすごく、Daily一位になったのは嬉しかったものの、OpenAIのAPIの課金が恐ろしくなりました。

その後心配通りに2日で無事無料枠を使い切ってしまい、譲渡先を募集することにします。

以前からやりとりをしていたこともあり、佐藤様に譲渡が決定しました。
12月19日の23時39分時点で契約書締結前ですが、口頭ベースで譲渡確定のやり取りをいたしました。

その後、12月20日に契約書を締結して、インフラ部分等の移行を完了して着金が確認できたので譲渡完了となりました。

なお、契約書の作成に関しては、私自身譲渡経験がなかったので友人のku-sukeさんからアドバイスを頂きました。

そのことに関する記事を寄稿頂いていますので、ぜひお読みください。

爆速事業譲渡の契約書を横から眺めた話

こんにちは、ku-sukeです。yuiさんが事業売るかもしれない、しかも明日みたいな話を聞き、興味津々で話を聞きました。
金額的にもやりとりてきにもしっかりとしたDD(デューデリジェンス)ではなく、きっとCodeCanyonでソースコードを買うプラスアルファみたいなケースなんだろうなとおもい、契約書がさっぱりとのことでほんの少しだけヘルプに入ることにしました。正式な事業譲渡の契約は経験ないけどシステムを販売する、その契約書を弁護士にレビューしてもらうといった経験はあったからです。
なお、契約書レビューを有償で請け負うのは非弁行為でダメなので完全に無償作業です。個人のお気持ちを伝えただけです。良いこのみんなは弁護士の先生に頼もうな!

ここでは、コードを書いて売却したい諸氏のために小規模ソースコード売買についての観点を書いてみます。

■今回の譲渡対象(価値があるもの)は何だったのか

よく、事業譲渡などといいますが、一般的に法律で想定しているのは、ガチ事業です。従業員がいたり、資産や負債が結構あったり、それなりに事業部門として運営されているものでしょう。翻って今回は作ったばかり、でも海外で人気が出ちゃって従業員も資産も負債もほとんどないWebサービスです。

事業譲渡の場合、会社法で20年間は同一事業が営めないことになっています。個人開発エンジニアにとってそのような事態は避けるべきでしょう。そこで、今回は契約のスコープをシステムの売買(エクスクルーシブ)という建付けにするのが良いのではないかと助言しました。

今回の譲渡対象をイメージでいうとこんな感じにしました
・システム一式
・システムが依存するSaaSが譲渡後も使えるようにする作業
・ProductHunt1位のトラフィックが維持できるようにするためのSaaS操作

これだと単純にソースコード売買なので、そこにエクスクルーシブ条項を追加します。本件では、以前「質問箱」というサービスの買収において「類似事業」の範囲がどうなるのか騒ぎになったことがありましたので、厳密にスコープを切りました。

簡単に言うと、「会員登録なしでコードを張り付けるとAIサービスを活用してレビューを表示するサイト」は〇年間自社で運営したり受託で受けたりしません。コードも公開しません。というものです。これはつくり手優位の契約に見えるかもしれませんが、たとえばCMに楽曲提供する音楽クリエータに置き換えると、コード進行が同じだから競合避止にあたります!みたいな事を言われると困るわけで、しっかりとなにが競合避止なのか定義すべきだと考えました。

■その他気を付けるべき点

これがメインなのであとはおまけなのですが、契約書で注意すべき点はだいたい盛り込んでみました。契約書というのは、仲がいいあいだはあまり活躍しません。将来お互いの関係性が変わったときもこれだけは守ろうな、というものですので、そこは入れ込んでおきます。

・損害賠償は払い込まれた額を上限とする
・利用ししているOSSライブラリ、外部SaaS、ホスティングサービスについては所有権はなく動作保証はしない
・でもちゃんと譲渡日まではもちろんメンテするよ
・緩い契約だけど、それでも何を秘密にするかは決めて秘密保持しようね
・反社はだめなので、反社じゃないことを宣言してね

リードタイムが短く、できれば30分程度で契約書レビューを終わらせたかったので、また金額も「失敗すれば稼げばいいか」という案件だったので、爆速レビューとさせていただきました。
結果的に良い関係性、良いディールになったようでとてもうれしいです。


この辺はなにがいい悪い、ではなくマッチングだと思っています。買い手が有能なエンジニアだったらこんなシンプルなものにこの金額出さずに自分で書く、という事だと思いますし、非エンジニアで周辺マーケットに進出したい、あるいは優秀なエンジニアを探して発注するまでのマネジメントコスト、GoToMarketまでの時間短縮、PHでの人気を一気に生かしたいなどいろいろなお考えの中この程度のコストならリーズナブル、と考える買い手もいるかもしれないです。詳細は私は秘密保持の外側にいますので知りえませんが、良いお取引になったようで良かったです。

https://twitter.com/ku_suke

あとがき

今回初めての譲渡を通じて、様々なことを経験させていただきました。
規模が小さいながらも初めての譲渡ということで、少し自信にも繋がりました。

今後も様々なアプリを作っていきたいと思っていますので、もし私の作ったアプリを見て興味を持った方はお気軽にご連絡ください。

最後に、スムーズにやり取りに応じてくださった佐藤様をはじめとして、相談に乗ってくださったku-sukeさん、譲渡をためらっていた私の背中を押してくださったすべての友人達に感謝です。

譲渡金額に関して

最後に気になっている方もいるかもしれないので、譲渡金額を公開します。
公開許可は得ていますが、私自身おおっぴらに拡散されたいわけではないので、SNS等で具体的な金額を公開することはやめてください。(感想は大歓迎です。)

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