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保護犬・猫は‟かわいそう“なのか



18世紀のジェレミー・ベンサムの有名な言葉がある。
“問題は「動物が理性的であるか。話すことができるのか」ではなく、
「彼らは苦しむのか」なのである。”  これが動物保護活動の基礎的理念となる。

動物愛護と動物福祉(アニマルウェルフェア)の違い


始めに、動物愛護と動物福祉の大きな違いについて。
動物愛護は「動物は愛して護るべきものである」
ペット(動物)は愛し護っていく存在であり、基本的に動物実験や殺傷はもちろん、食用の利用も否定するものです。
どんな状況でも命を優先に守っていきましょう!極端に表現をしたらベジタリアンの方々はこちら。

動物福祉は「動物にとっての自由・幸福を考える」
ペット(動物)を所有し、利用することを認めたうえで、そのペット(動物)が受ける苦しみを最小限にすること。
例えば重篤な病気にかかった時の安楽死という選択肢を考慮しているのが福祉的。人間が生活するうえで食用として育てられている動物たちが、それまでの生活が充実したものならいいよね!というのが福祉です。

ペット(動物)の命を守る愛護は主観的観点と言えます。対して、ペット(動物)の気持ちを尊重し客観的視点でみる福祉。似ているようで実は全然違います。
お留守番に例えてみると
愛護「一人でお留守番なんてかわいそう!飼うって決めたなら責任をもって面倒をみて!」
福祉「一人の時間があってもいいよね。お出掛けしてくるからゆっくりしていてね。おやつはここよ!」
こんな感じでしょうか?


動物愛護法の歴史


動物愛護法の歴史を辿ると動物愛護運動から始まります。
動物愛護運動の重要な契機となったのは、1899年に雑誌『太陽』と『中央公論』に掲載された、宗教学者の廣井辰太郎による二つの論文から始まりました。
論文の内容は、乗合馬車や荷物運搬に利用される馬に対する虐待について書かれているもの!
賛否両論を含めて、動物愛護問題への関心が次第に高まり、さらに廣井辰太郎の幅広い呼びかけにより、1902年4月20日の神田一ツ橋学会での発起人会をもって、ついに動物虐待防止会が設立。

その後、議員立法により「動物の保護及び管理に関する法律」が1973年に制定され、1999年12月に現在の「動物の愛護及び管理に関する法律」という名称に変更。
名称の変更と共に、その内容も動物取扱業の規定、飼い主責任の徹底、虐待や破棄に関わる罰則の適用動物の拡大、罰則の強化など大幅に改善されました。
2012年の動物愛護管理法改正の際に、法施行後5年を経過した場合の見直し条項を規定されたことで、定期的に見直しがされるような体制になっています!
見直しをされた中で、2020年6月にマイクロチップ装着の義務化などの改正案が施行される予定です。

動物福祉の歴史


EUにおける動物福祉(アニマルウェルフェア)の歴史は長く、先進国としてEUが1911年に世界に先駆けて動物保護法を制定しています。
65年にはブランベル委員会が「すべての家畜に、立つ、寝る、向きを変える、身繕いをする、手足を伸ばす行動の自由を与えるべきである」とする基準原則を提唱しました。
動物にも自由の権利はあるばずだ!と唱えたことが福祉のきっかけです。

その後改正を繰り返しながら、93年に『5つの自由Five Freedoms』を確立、「飢えと渇きからの自由」「不快からの自由」「痛み、傷、病気からの自由」「通常行動への自由」「恐怖や悲しみからの自由」の原則が現在の動物福祉政策の基準となり、世界の共通認識となりました。

動物福祉の指標としてもう一つ知られたものに、動物での実験を減らすための『3つのR(3Rの原則)』があります。
『5つの自由Five Freedoms』が家畜を対象として生まれたのに対し、『3つのR(3Rの原則)』は動物実験の基準についての理念として1959年にイギリスの研究者(Russell annd Burch)によって提唱されました。
『3つのR(3Rの原則)』はReplacement(置換)、Reduction(削減)、Refinement(改善)の3つの頭文字を表します。
2つの指標からもわかるように、動物福祉は世界共通事項であり、動物福祉の先進国であるEU諸国をはじめとするヨーロッパ諸国から発信されている活動になります。

国によっても違う意識


冒頭にも記載しましたが、「愛して護ろう」動物愛護と、「ペット(動物)にも気持ちはあるよね」動物福祉。歴史を見た中でも少しニュアンスが違うのがわかっていただけたでしょうか?

しかし、これらの法には賛否両論あり、動物福祉の先進国であるスイスでは2018年3月に「ロブスターなどの甲殻類を生きたままゆでる調理方法を禁止する」規定を設けられたり、2020年1月「雄ヒヨコを生きたまま裁断して殺処分すること」を禁じる改正法が施工されたりと、日々論争や研究が行われ改正が施行されています。

わたしたちが目指す未来


日本でも動物保護に関する関心が高まっていく中で、様々な情報が飛び交っています。
‟殺処分0”しかし、0という数字ばかりを優先させて、最低限の命の保証で生活している犬・猫は果たして幸せか?‟かわいそう”だから助けたい、だけでは幸せといえないような・・・

これからは、保護犬・猫を迎えようと考えている人たちは、アニマルウェルフェア(動物福祉)のもと、犬・猫の立場に立ってなにが幸せなのかを考えながら、迎える準備をしてみてください。
愛し護ることはもちろん大切ですが、尊重する心も忘れないように。