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【ゲームの散文】サガエメラルドビヨンドがきたぞ きたぞ!

 では そろそろいくか!ということで急に体験版が来たのでサクッと触ってみた。手元にあったのがPCだけだったので、Steam版=歌姫ロボのシナリオ。

 まず開幕主人公選択画面(といってもディーヴァNo.5しか選択できないが、カーソルを合わせると一応みんな一言くれる)からしてこってりとふしぎなメンツが揃っている。サガスカの時もそうだったけど、主人公というより曲者枠・おもしろ枠の仲間キャラが並んでいるような趣。今作は御堂くんが一応スタンダード主人公ポジションと思われ、実際自分でもそんなことを言っていたが、自分からプレイヤーにそんなことを語りかけてくる時点でどこかヘンテコなにおいが漂ってくる。選択すると妙にキビキビした動きで謎の歌を歌い出すNo.5を見て、これはまたとんでもないゲームが来てしまったぞ、という予感とともに本編へ。

○ストーリーとキャラは天然モノのあじ

 さて、曲者揃いの主人公の中でも特に異質な機械の歌姫、ストーリー開幕からRPGに似つかわしくない謎のプロデューサーみたいなオッサンが出てくるは、街中で出会った子供が突然ダンスバトルを挑んできて愛がアップするはと突拍子もない展開が淡々と繰り広げられていく。突拍子のなさはサガシリーズの特色のひとつだが、今作はサガスカ以上にそのへん自覚的に使ってきてる感じを受けた。「(人気スターなんだから)気をつけろよ」と言われて「怪我をさせないように気をつけます」と返すNo.5のいかにもSFギャグなトンチンカンさや、息をするように飛び出す「人権意識ないのか、お前の脳みそを削ってやろうか?」などの暴言と、ちょっとレトロな紙芝居・漫画のような演出に対して話劇のキレは増す一方。
 街で人気の歌姫ディーヴァNo.5はある日何気なく歌った歌がご禁制に触れるものだったため歌唱機能を奪われてしまう。世を儚んだ(?)No.5はゴミ捨て場のレトロなロボにボディを変えるとそこに異世界調査隊を名乗る一団が現れ……という流れで、相変わらず大した説明もないままあれよあれよという間に連結世界に連れて行かれてしまう。メンバーは人狼(といっても人格はあるのかないのかよく分からず、キャラの一言欄に「アウー」とか書いてある)、サイボーグ戦士みたいな見た目のくせにやたらキャピキャピした言動が印象的な装甲戦士なる種族、アンサガで見た気がする植物系亜人種、普通にRPG感あって逆に浮きまくっている人間の女戦士、そして冒頭マネージャーっぽく登場しながらなぜか異世界探索に主人公を誘うなんか胡散臭い隊長コンスタンティンと、どこから突っ込めばよいか分からないこれまたこってりとしたメンツが揃う。多種族入り混じったパーティは多分システムに慣らすためというのがあるんだけど、そんな都合が世界観を良い感じに味付けしてくれる天然モノ感はサガシリーズの妙か……副主人公格っぽいコンスタンティン以外は多分モブの色替えだと思うけど、ひとたびバトルで喋ってくれると愛着が湧いてくるのは短くも味のある特有のセリフちからあってこそ。ミンサガ以来マジでボイス付きはいい方向に効いてると思う。バトルで能力成長が発生した時に傍で他の仲間が喜んでくれるの仲良しか?って微笑ましくなったり。

 そんなごった煮メンバーで行く一つ目の世界はSF調の研究所のような場所で、異なる役割を与えられた三つのセクションから頼みごとを聞いていくことでストーリーが展開。1回目のプレイでは緑の部族の実験の尻拭い、2回目は機械の体に取り込まれた黄の部族を介錯する、というシメになった。おそらく単純に選んだ順番による分岐か?選んだ道がゲーム的にベストの選択だったかどうか示唆するようなものもなく、ただ選んだ結果が等価値に淡々と進んでいく様はまるで人生のようだと言っても過言ではない(過言)。この独特なプレイ感があるので、他のルートを見たい気持ちとやり直して他ルートを見るのは野暮という気持ちが同居するのだ。まあ周回で試すんだけど。 
 一つ目の世界のラストでは新仲間キャラとしてタンク型メカのゴールド主任が加わる。主任のくせに相変わらず「せっかくだから」くらいのノリで付いてくるな。第一印象は人格タコおじさん・見た目特殊工作車・ポジションがレオナルドという感じで、なんか実家のような安心感のあるヤツ。製品版でも使ってやりたい。もっとも、全く気付かないうちに仲間にならない分岐に入ることがあるのがサガのこわいところだが……。
 二つ目の世界はさっそく選択制で、初回プレイでは別主人公アメイヤの故郷と思われる魔法世界、2度目は最終皇帝なる英雄(セルフパロディか?)の伝説が残る凍った世界へ。魔法世界では災厄と五つの氏族に分かれた魔女たちとの戦いを見届ける「みまもりびと」として召喚された体で、これまたどの陣営に肩入れするのか?見守りの役目に徹するのか、それとも手を出すのか?次々と選択を迫られていく。一方、最終皇帝の世界では凍った人々を魔法のマッチで溶かして助けていくというストーリーで、助けられた人々は氷の中で夢に見ていた最終皇帝の姿を語ってくれるが、その印象は人によって正反対のイメージで……というもの。自分のプレイではアメイヤは特に仲間になったりせず、復活した最終皇帝は悪の皇帝でただぶちのめして終わったので、もしかすると一番実入りの少ない進め方だったかもしれない。こういうモヤモヤを抱えつつ「でも選択を誤ったわけではなさそうだしなあ……」と進んでいくのがまたフリーシナリオの醍醐味よ。

○バトル:キミだけの理想のタイムラインをつくろう!

 シナリオも独特の味でおもしろいが、今回も雑魚の一戦一戦までそこそこ長く考えを要するバトルで、「このゲームはバトルを一番楽しむもの」という思想を感じる。サガエメの特色として敵味方の行動順や内容は基本的にターン開始の時点で全てオープンになっており、「このキャラとこのキャラの行動順を並べて連携攻撃させよう」とか「この敵は痛い攻撃を撃ってくるから先に倒そう」とか戦術を考えてタイムラインを組み立てることができる。そうした試行錯誤の末組み上がったタイムラインを走らせると、そこにサガお馴染みの「閃き」やオーバードライブといった不確定要素が加わり、パズルを組むような理詰めの気持ちよさとバクチの快感がいい感じに混ざり合ったバトル体験を味わえる。強敵相手に戦術とちょっとの運(時にはだいぶ運)で競り勝った時など「このジョジョはなにからなにまで計算づくだぜーっ!(ホントはちがうけどカワヅが悔しがるならこう言ってやるぜ ヘッ!)」と心の中で叫んだりする。しません。もちろん逆に、せっかく立てた戦略が状態異常で崩されてしまったり敵のカウンター技で一瞬のうちに味方のHPが溶けていたり、時には味方の挙動のせいでしっちゃかめっちゃかになったり、この野郎!!ってなることもしばしばあるのがロマンシング。体験版では全滅までいかなかったけどきっとスケルトンの凝視に5連敗とかさせられるんだろうなあ(マゾ)。
 一見地味な見た目から想像できない、自分で手と頭を動かして試行錯誤するのが楽しいシステム。是非お試しあれ……です。
(それはそれとして、各種リザーブ技の使い方なんかは特に文字だけでなくきちんとチュートリアルとして触る機会がないと初見さん絶対理解できないと思う……実際フォロー技とか何が起こったかよく分からんかったし、つくづくスパルタンなシリーズだ)
 
 千変万化するシナリオと自分でさわって初めて面白みのわかる歯応えあるバトル。これは多分、プレイしながらあんまりネタバレとか気にせず並行して人のプレイ(配信とか)を追うのが楽しいゲームだと思う。やあ、ぼくはゆたろう。ぼくといっしょにサガエメをしよう!
 


ゆかいな仲間たち


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