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②理学療法book #2~自分しかできないこと~

自分は、いつになっても、何年経っても、

「弱い立場にいる人」「苦しんでいる人」に寄り添える人間でいたいと思う。

世の中、色々な人がいる。

エビデンスを開拓し続ける人、テクニカルスキルを追求していく人、何かの団体の地位・知名度向上に奔走する人などなど。人それぞれの価値観、考えがあって当然なので、何も否定するつもりはない。。

中には、有名な教授の元で学位を修め、世の中にどんどん出ていく人・〇〇アプローチの第一人者の元で修業を積みその後継者になろうとする人などもいる。もちろん、血のにじむような想像を絶するような努力と行動力がなければできないことであろうし、そうした方々の実績があるからこそ職域が守られているのは疑いの余地がない。

けれど、そうした活動や行動がとれるのは、多くの場合、恵まれた環境と人脈によって達成できている場合が少なくない。

ところが、世の中には頑張っていても報われない・どんなにもがいても日が当たらないという環境の中で、命を削りながら歩みを止めずに行動している療法士も少なからずいる。

私は、「病院組織」としては、一級と呼ぶにふさわしい組織にも所属したし、どこの地域・地方にもありふれている(むしろ世の中の大多数はそういう病院である)ごく普通の病院組織の両方に所属した。また「教育環境」としても、職場から徒歩10分で容易に大学院にアクセスできる環境にも身をおいたし、県内に大学院はおろか養成大学が一つもないという環境も経験し、そこから来る教育水準の限界も実体験として認識している。

都会がいいとか、田舎がダメとか、伝えたいのはそんな簡単な話ではなく、実際に機会の格差は確実にあり、平等でないという現実があるのだ。ここで問題視したいのは、「格差がある」ことではなく、そうした環境にあると、どんなに熱意や意欲をもって、努力し続けても、圧倒的に世の中に出るチャンス・可能性が少なくなってしまうという不平等さにある。人は本当に極限の状態にまで追い込まれると、どんなに頑張っても日々の生活と精神をつなぐだけで精一杯で、自分の努力だけでは絶対に抜け出せない、まさに「蟻地獄」のような状態に陥るのである。恵まれた環境にしかいない人は、おそらく自分が「恵まれた環境にいる」ということすら認識できていないし、本当の意味で弱い者の置かれてる立場を理解できない(しようともしていない)。「人のため」と言いつつ、みんな「自分が」有名になることで一生懸命。

最前線で科学としてのエビデンスを蓄積したり、療法としての技術を確固たるものにするのももちろん重要であるが、それは「上をみる作業」。

この業界に足りていないのは、そうした科学や技術を確実に現場に落とし込む仕組みとそれを体現する人・組織である。それができていないから、一部の地域や分野ではその「最先端」が享受できるが、世の中の95%の地域や環境では「最低限」がまかり通ってしまうのである。その先に被害を被るのは患者さんであるのは言うまでもない。それを打破するために、熱意と思いと本気度があって、行動し続けている人間であれば、どこにいても、誰であっても、必ず日の当たるチャンスが巡ってくるような仕組みづくりが必要だ。先ほどの行動を「上をみる作業」とするのならば、これはいわば「足元をみる作業」。これがこの業界に圧倒的に足りていないからこそ、最初に”恩恵”を被るべき患者さんが、最終的に”被害”を被ってしまうのである。

自分は、いつになっても、何年経っても、「弱い立場にいる人」「苦しんでいる人」に寄り添える人間でいたいと思う。その対象は、患者さんはもちろんであるが、恵まれない環境にいる療法士に対してという思いも大きい。

熱意も意欲も行動もしているのに、なかなか表舞台に登ることが出来ずに苦しんでいる人にも、ちゃんと光があたるチャンスやシステムを必ず創り上げる。それが出来なければ、崇高な科学や高度な技術が実践される「現場」は醸成されないし、それを生み出すことができる「人」も育たない。

このように書くと「負け犬の遠吠え」のように聞こえるかもしれないが、学術面も決して諦めているわけではない。学術活動もごく普通にこなした上で、当院は「日本一、人が育つ組織」となることを“目標”としている。

上記のミッションを達成するために、まずは当院が「日本一」の組織になる必要がある。「日本一」になりたいから「日本一」を目指すのではなく、”目的”を達成するために「日本一」が必要であるというだけの話。だから自分にとってはあくまで通過目標でしかない。

人が敷いたレールの上など走らない。

どんなに苦しかろうが、どんなに遠回りをしようが、レールは必ず自分で敷く。

誰もやろうとしていないし、誰もやりたがらない。

自分にしかできないことだから、自分がやる。


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