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日本のSDGsは大丈夫?ダイバーシティなキャリアイベントで差別訴訟係争中の企業幹部が登壇している!?

10月29日・30日、ダイバーシティインクルージョンをテーマにしたキャリアイベント「ダイバーシティキャリアフォーラム2022」がオンラインで開催されます。
本日がその2日目で、13時半~18時にわたり、企業のトークセッションなどが行われます。
各社の関係者が何を語るかに注目しています。

しかしながら最近では、SDGsや働き方、女性活躍やLGBTフレンドリーの文脈で頻繁にメディアやイベントに登場しますが、「ノルマが非常に厳しく長時間労働で短期離職者が多数出ている」(全ての社員がそうではありませんが)という声があったり、客観的総合的なダイバーシティやコンプライアンス (離職率、障害者雇用率など)の情報開示はされていない、ハラスメントや不当解雇・雇い止めで裁判になっている企業があります。

こうした企業はとりわけ外資系企業に目立ちます。日系企業に比べても、PRが上手いし自社の取り組みに絶対的な自信をもっているような企業があります。

「ダイバーシティキャリアフォーラム」の出展企業にも、そうした企業が何社もみられます。

こうしたイベントに参加するのは、発達・精神障害やLGBTなどマイノリティで「差別やハラスメント被害にあったことがあり、差別やハラスメントのない職場で働きたい」と思っている人が多くいることが想定されます。

しかし出展企業がこれでは、共感して入社した場合、何かあったときに同じようにされてしまうのでは、という懸念があります。(もちろん、全ての社員がそうなっているわけではありませんが)

マイノリティにフレンドリーという一方で、ある種の求められるスペックの高さや生存競争のシビアさを伴っているのであればどうでしょうか。それは一般の人もメンタル悪化のリスクを伴います。ダイバーシティはあってもインクルージョンはない状態です。ましてや毎年下位数パーセントがリストラ対象となる人事慣行のあるところで身体や発達・精神障害者の採用定着が進むかどうかも疑問です。

当事者がやっとのことでつながった職場が、安心安定して働ける環境でなかったら、どれだけ絶望的なことか、はかり知れません。

係争中の事案の場合、現時点では判決が出ていないゆえに第三者が違法性を確認できないところが弱みですが、参加者と運営者、ほかの登壇者との情報の非対称性を背景に、内部の問題を解決せず、バレなければよい、違反認定の判決さえ出されてなければよい、とにかくいいイメージを与えたもの勝ち、とみられかねない企業姿勢にはひっかかりがあります。

内部の問題が発覚したとして、そこで不都合なことは説明せず、キラキラした事例を紹介して、問題から人々の関心がそれるようにもっていく、というのはあるべき方向性ではないと考えます。

そのようなイベントに、そのような企業が登壇しても、法律に触れることはありません。

しかし、知っている人から問題を指摘をされるリスクがあるということです。

それも目立つ形で登壇している企業であればあるほど。

完璧な取り組みをしている企業はないとはいえ、目立つ形で登壇する企業が「実は…」では…。

日本のダイバーシティやSDGsは大丈夫なのかと思ってしまいます。

合わせて読みたい

セールスフォース日本法人では障害者雇用に関して、2009~2021年において大半の年で雇用率未達や2020年の東京労働局への報告が適切に行われていなかった問題(罰則規定あり)が見つかっています。2021年から発達障害のある元社員への差別訴訟が係属中であり、障害者団体が傍聴を呼び掛けています。そうしたなか、今年9月25日に東京ミッドタウン六本木で行われたダイバーシティインクルージョンをテーマにしたイベント「LIVES TOKYO2022」の、障害者などの雇用に関するトークセッションで、セールスフォース日本法人の人事本部長の鈴木雅則氏が登壇し、「インクルーシブなビジネスにはトップの本気」「社員の声を拾うことが大事」などと発言していました。リンクトインで発信したところ、今日までに3300件を超えるインプレッション数があり、「言行不一致」「SDGsウォッシュ」「イベントがブラックユーモア」というコメントもありました。「ダイバーシティキャリアフォーラム」にも、昨年2021年には人事部障害者雇用責任者の1人が登壇しており、今年2022年にも企業メッセージが送られ、社内でダイバーシティ推進活動に取り組む社員が登壇しています。

<セールスフォースだけじゃない、取締役登壇のモルガン・スタンレーもレイシャルハラスメント訴訟係争中>

2021年3月、モルガン・スタンレーの元社員の韓国人男性が、上司のレイシャルハラスメントの訴えからくる解雇を不当として同社を提訴。会社は元社員のハラスメントの訴えを認めず、これに口外禁止を求めた。元社員が会社に抗議すると、会社は元社員の行為が就業規則違反として解雇。裁判で会社は「上司の発言は不快だが威圧的・敵対的ではないのでハラスメントではない」と主張し、対応を正当化。裁判では、上司の証言や、元社員の訴えに関する調査の記録が証拠化されています。同社は対外的には見解を説明していない。12/12に東京地裁で次回期日。

ダイバーシティキャリアフォーラム2022の30日のトークセッション 「自分らしく働く職場を創る。「私」から始めるダイバーシティ推進」という、ダイバーシティ担当者および企業の社員ネットワークのリーダーに、モルガン・スタンレーの取締役兼チーフ・ファイナンシャル・オフィサーの梅津香織氏が登壇します。

この他にも、数年前に労働問題(極端な能力主義を背景にした不当解雇など)で違法性認定の判決が出されていた出展企業は何社もあります。そして違法性認定の判決が出されたからといって社内の抜本的な改革につながっているとは限らず安心安定して働けるとは限らないという悲しい現実も存在しています。

1日目・29日

2日目・30日

#DCF2022


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