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Google Classroomと比較して考える。ロイロノートのメリットとデメリットは?

2014年、当時の勤務校ですでに使われていたロイロノート。2018年、別の学校では2年間使い倒しました。そこまではApple環境。新しい勤務校はGoogle Classroomを導入しており、2022年9月からは完全クロームブック環境に。ロイロノートの導入について意見を聞かれて改めてそのメリットとデメリットについて考える機会があったので、備忘録としてまとめてみます。ちなみに私はアンチロイロです。理由は、最後まで読んでくださいね。

ロイロノートとGoogle Classroomは何が違うの?

ロイロノートについて考えるとき、多くの学校ですでに導入済みのGoogle Classroomと比較するとわかりやすいかなと思います。同じように教育系のプラットフォームでありながら、全く別物です。

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一言で言うと、ロイロノートは「生徒の頭の中を可視化するツール」例えばシンガポールの水について学んでいた授業中に、本文を読んだ生徒の理解を見るためにその場で問を立て、答えてもらい、提出してもらったのがこれです。どの生徒がどの程度理解しているのかすぐ分かります。また、この中でいくつかを選び、それぞれの生徒に簡単にプレゼンしてもらってもいいですね。

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また、シンキングツールが充実しているのも大きな特徴です。これはJ.K. Rowlingsに関する単元の時に生徒が作成したものです。英語がとても苦手な生徒が多かったのですが、こうして頭にすることで訳すこと以上に意味を理解しようとし、結果的に教科書の内容を整理できたようです。

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ロイロノートは音声、動画、画像にめちゃくちゃ強い

2013年から5年間のApple環境、そこからのクローム環境になった時一番困ったのがこれでした。Google系の無料アプリでは動画の編集どころか、音声をちょっと録音して送るのも面倒。さらにその編集ともなるとお手上げです。AppleならiMovieがデフォルトで入っていますから、そんな問題はないのですが。

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ロイロノートなら、カードと呼ばれるスライド上に音読を録音したり、動画を配布して生徒にアテレコしてもらったりが瞬時にできます。学校によっては英語のSpeakingの試験にも使っています。その結果、英語科で4技能のバランスが良くなったと言う声もあります。

共同編集の意味合いが少し違う

Googleだと、Google DocumentでもSlideでもSpread Sheetでも同時に複数で編集することが可能です。例えば、生徒がプレゼンに使うGoogle Slideを同時に編集するなんて言うこともよく見かけますよね。

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ロイロノートでは、それぞれの生徒がカードを作成し、お互いに送信してくっつける感じになります。Google Slideでも結果的には分担しているのですが、その根底にある考え方が違います。

例えばこれはJamboardです。Google ClassroomにJamboardのリンクを貼り、「国際女性デーと聞いて思い浮かぶことを挙げてください」と伝えたらこうなりました。

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追記:開発者でもあり代表取締役でもある杉山さんからβ版でできるようになっているよ、とFaceBookで教えていただきました!

ロイロノートの方が圧倒的に良い?

これはできることが違うので、同じ教育系のプラットフォームでも一概には言えないところです。授業中にまるで一対一でやりとりをするように使えるのはロイロノートのメリットですし、上で述べたように録音や録画、シンキングツールもある。

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Google側のメリットとしては共同編集や一斉送信、Google Documentでのまとまった文章を生徒が書いてそこへ加筆訂正をログとして残せるなどがあります。もちろんデメリットもあるわけです。Googleはこのように複数のアプリを組み合わせます。OfficeのWordやExcel、Powerpointに近いアプリもありますからイメージがしやすいでしょう。

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また、Gmailアカウントを使ってクラスごといろいろなアプリと連携して学習を進める授業デザインも可能です。これはTeamsでもできますが、Gmailアカウントがあると大体クラスルームごと引き継げたりするのは大きなメリットです。

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全部ロイロでできるんなら、それだけでいいんじゃ?

そこが問題です。実はロイロノートを導入している学校にいた時、iPad環境だったのですが、高機能なiosアプリを授業で使っている先生はほとんどいませんでした。iMovie, Garageband, Pages, Keynoteは全て無料で入っているのに、です。

私がアンチロイロだとすれば、理由は一つ。

ロイロノートしか使えない先生が増えるから。それだけで完結してしまう。

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ロイロより、いろいろ

結論としては、どちらもメリットデメリットがあるし、使い道がまるで違うのでうまく両方使えばいいと思っています。

また、仮にロイロノートが入っていても、それ以外に使えるものはないか常に探し続ける姿勢が大事です。アプリを入れてしまってもう終わり、ではなくブラッシュアップし続ける。私が使っているのはほとんどが何年も前からあるアメリカの老舗アプリです。無料だし、どんな環境でも動くので気に入っています。

また、最近ではAdobeをChrome環境に加える学校・自治体も増えているとのこと。 要チェックですね。

と言うわけで、アンチロイロの私ですが、初心者だらけの現任校では授業を大改善するツールになりそうなので楽しみにしています。

オーガニックラーニングでは、この2021年夏休みと冬休みにICTのスキルアップ講座を行います。チェックしてみてくださいね!

追記:この記事をシェアした友人のコメント欄に、この記事がロイロノートに対し否定的であるというコメントが入っていました。しかし、Facebook友達で開発者、創業者、代表取締役である杉山さんからは初心者がストレスなく使えるという意図のアプリなので、この記事の内容通りだという趣旨のお言葉をいただいています。わたし自身も「アンチ」だという名の「ラブ」なので、最後まで記事をちゃんと読んでいただければそれが伝わると思います。そもそも初めて出会って7年、工夫を重ねて使いやすさを追求しておられる姿勢や、コミュニティの大きさ奥深さには圧倒されるものがあります。

加えて、教師は人前に立ち続ける以上は学び続けるべきだという信条ですので、ロイロノートに飽き足らず、デバイスの機能が許す限りいろんなことにチャレンジしていきたいというのが自分の考えです。






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