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預かりボランティアやっているおばさんが雑種を好きな理由

皆さん、どんな犬が好きですか?
私は雑種が大好きです。
小さいころから友人の家などで身近にいた犬ですし、とても健康で普通に賢いです。

世の中には、様々な犬種がいますよね。
私の記憶がある限りで、一番最初に犬種というものを意識したのは、「コリー」でした。
しかし、コリーと言っても今主流のボーダーコリーではなく、ラフコリーの方だったと思います。
アメリカのドラマで見て、とても賢い犬として人気を博しましたが、当時の日本ではペットショップなんてなかったので、国内で見たことはなかったです。

和犬以外で「日本で初めて流行したんじゃないの?」という認識があるのは、「スピッツ」です。
これはなぜ流行ったのか意識してなかったのですが、一時期爆発的に流行り、スピッツを飼う人がとても多かったイメージがあります。
しかしやがて、「スピッツはうるさい」という噂が広がり、スピッツの人気はあっという間に落ちたように思います。
でも、今考えれば人間がきちんと躾をしなかったせいだと思っています。

その後、アニメや漫画でも様々な犬種があると知ることになります。
近年でもマンガに取り上げられればシベリアンハスキーが流行り、CMに取り上げられればチワワが流行り、有名人が飼えばトイプードルや秋田犬が流行り。

そして私たちは知りませんでした。
そうやって流行り廃りで生み出されていた犬たちが、まるで縫いぐるみのように扱われ、最期には大量に殺処分されていたことを。

私が「保護犬」というものを意識し始めたのは、ほんのここ10年くらいのことです。
その前までは、普通に「アフガンハウンドかっこいい!」とか「柴犬可愛い!」しか考えてませんでした。
ドックトレーナーの勉強をし始めた時も、犬種によってこんなに習性が違うもんなんだなくらいにしか感じてませんでした。
また、犬種による病気について勉強した時も、「犬種によってそんな病気があるんだ~」としか考えてませんでした。

しかしその後、殺処分される犬の現状を知り、どうやって犬たちが「生産」されているかを知り、預かりボランティアをやる中で色々考えているうちに、私の認識が180度変わるのを感じました。

飼い主によって殺処分に持ち込まれる犬や猫がとても多いこと。
まるで廃品回収のように「廃棄ペットの回収日」があったこと。
週に何十匹もの犬や猫が二酸化炭素で窒息死させられていたこと。
現在でもろくな世話もされないまま、目や顎や腕のない親犬や親猫が無理やり出産させられていること。
そして今も、そうやって生産されている子犬たちが、ペットショップに並んでいること。
そうして生み出されたペットたちには先天性の病気を持っていたりもすること

愛護団体にしても、里親希望にしても、問題があるのを感じました。
特定の犬種しか保護しない団体があったり、里親希望にしても人気の犬種ばかりに偏っていたり。
中型雑種犬なんて不人気です。

しかし、そもそも「犬種」とは何でしょうか。
「犬種」とは、「人間が勝手に生み出し、人間の都合で作出された犬」です。
猫にしても同じです。

例えば、狩猟のために生み出された犬種の一部としては、以下のような犬がいます。
・ダックスフント
・アフガンハウンド
・ボルゾイ
・プードル

犬同士を戦わせるために生み出された犬種の一部は以下のようなものがあります。
・土佐犬
・ブルドック
・ピットブル
・ドゴアルヘンチーナ

ネズミ狩りなどのために生み出された犬の一部は、以下です。
・テリア
・チワワ

そして犬同士の競争のために生み出された犬もいます。
まるで「働く車」や「趣味の車」のように、人間の仕事や趣味に合わせて犬は掛け合わされ、今のように多くの犬種が存在しているのです。

犬が自分から、「自分はチワワになりたい!」とか「自分はグレイハウンドに生まれてドックレースに出るんだ!」なんて思ってると思いますか?
普通の犬は、毎日きちんとご飯を食べて、飼い主に可愛がられて、楽しいことがあれば、それで満足なはずです。

さて、ここで質問です。
この現代で、狩猟や競技、警備やネズミ狩りに犬を使う必要はありますか?

ないですよね?

昔と違い、今は色んなものが機械化されています。
「防犯のため」ならば、犬よりも警備会社に契約した方が、手間もかからず安上がりです。
犬のように警備会社の社員さんを散歩させたり、身体を洗ってあげたり、病院に連れて行ったり、ご飯を食べさせたりする必要はないからです。
毎月一定額を支払えば、きちんと仕事をしてくれます。
犬よりも正確に、しかも人間の言葉も通じますから、細かい要望にもきっと応えてくれるでしょう。

では、なぜ人は犬を飼うのでしょう?
それは、多くの人間が犬と心を通わせること、犬と共に生きることの素晴らしさを知っているからです。
私自身も、ナナコに会うまで犬を飼ったことはありませんでしたが、まったく触れ合わなかったわけではなく、友達が飼っている犬や野良犬との交流がありました。

犬と触れ合うのに「犬種」は必要ですか?
「犬」であればよくないですか?
必要以上の賢さ、必要以上の忠実さ、必要以上の喧嘩の強さは、現代に人と共に生きていて必要でしょうか?

きちんと世話をして心を通わせれば、忠実さなどなくても犬はこちらを大好きになってくれます。
普通の生活を送っていれば、どんな犬でも普通に賢いです。
だとすれば、現代の人間が犬に求めるのは、ただの「見た目」ですよね。
つまり、ファッションです。

一旦話は変わりますが、犬種にはその種独特の病気があるのをご存じですか?
例えば、ダックスフントはヘルニアになりやすいとか、チワワは水頭症になりやすいとか、ボルゾイは腸捻転になりやすいとか。
或いは、病気ではなくてもトイプードルやアフガンハウンド、テリア系やブル系のお手入れにはとても手間がかかりますよね。
何故だと思いますか?

それは、人間の都合によって、犬が無理やりに交配させられてきたからです。

小さい犬同士を掛け合わせる、大きい犬同士を掛け合わせる、或いは胴や鼻や足も長くしたり短くしたり。

普通より小さく生まれたり大きく生まれたり、鼻が長かったり短かったりは、「突然変異」です。
突然変異の動物は、自然界では淘汰されるべきものです。
何故なら、自然界にはそぐわないもの、生きていくのが大変なものだからです。

水頭症になりやすいチワワは、自然界では早死にするのが普通でしょう。
食べてすぐに動けないボルゾイやアフガンハウンドは、自然界ではすぐに狩られて生きていけないでしょう。
ヘルニアになりやすいダックスフンドだって、腰が痛ければ動けずに死んでしまうでしょう。
手入れが必要なプードルやテリアやブルも、人間がいなくては生きていけないでしょう。
短頭種の犬は鼻が詰まって息苦しい思いを生まれてから死ぬまで味わっています。

これらは、「人間に管理されないとすぐにこの世から消えてしまう動物」です。
自然ではありえない形、人間のファッションのための犬だからです。

私はこれに気づいたとき、激しく自分を恥じました。
人間のために強制的に命を懸けさせられ、苦しんで生きている犬に対して、どの犬種が好きとか嫌いとかミーハーなことを言って申し訳ないと思いました。

と同時に、このような犬種は、この世にはもう必要ないと思いました。
「犬と人が共に暮らすだけ」ならば、どのような犬種だろうといいはずです。
ならば、雑種でもいいはずです。
「雑種なんて」と言っている人は、犬をファッションとしか見ていない人です。

また、雑種は驚くほど手がかかりません。
元野良だったりすると、余計に人間の手いらずです。
肛門腺も自分で出しますし、毛の手入れもほとんどいりません。
そんなことも人間にやってもらわなくてはいけない子だと、自然界では生きていけないからです。

勿論、生え変わりの時期にはめちゃくちゃ毛が抜けますので、「人間生活を快適にするため」と「犬の皮膚病予防のため」に、月一のシャンプーやブラッシングは必要です。
しかし、それだけです。

先祖にどんな犬種が入っているかわからないので、もしかしたら水頭症になったりヘルニアになる子もいるかもしれませんが、それは「個性」で済ませられる程度の確率です。
大体の子は遺伝的な病気もないので、様々な病気も人間と同程度の確率です。

そして犬自身も、「雑種である」ということなど気にしません。
「私はブランド犬だから、雑種なんかとは付き合わないわ」なんていう犬もいません。
ただ、性格が合うか合わないかしか気にしません。
そんなことを気にしているのは、人間だけなのです。

「●●と〇〇ミックス」などの人工雑種と違い、「純粋な雑種」というのは、最も「犬らしい体形」「犬らしい大きさ」「犬らしい健康体」なのだと思います。
だから私は、雑種が好きですし、雑種の良さをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思います。

勿論、だからと言ってブランド犬を排除するものではありません。
出来ればブリーダー全般(悪徳も優良も)には消えてほしいけど、無理やり作られた犬には罪はありません。
ブリーダーがいなくなることで自然に「犬種」というものが消えていくなら、それが一番いいと思っています。

ここまでの話で、きっと「人間が犬を飼うこと自体が間違っているのではないか」と思った人もいるでしょう。
しかし私は「犬が人間に飼われること自体が不自然」とは思いません。
それは、そもそも「犬という動物」が人間によって生み出された動物だからです。

それに、もう何千年もの間、人と犬は一緒に暮らしてきました。
今さら、人間社会に犬のいない生活など考えられないと思います。

さてここで、麻布大学の教授に聞いた話をご紹介します。
皆さんは「狼は犬の祖先」という話を聞いたことがあるでしょうか?
実は、この説は間違っているかもしれないということなのです。
遺伝子などを調べたところ、「狼は犬の祖先なのではなく、犬と狼の祖先が同じというだけ」なのだそうです。
つまり、ある日突然、犬と狼の祖先が、犬と狼に分裂したのだということです。
そして、その原因は人間です。
犬と狼の祖先がある日、人間に懐くものとそうでないものに別れ、懐くものが犬に、懐かないものが狼になったのだろうということです。

だとしたら、犬を利用してきた人間には「犬を管理する責任」があります。
それは、「産ませるだけ産ませて、要らなくなったら廃棄する」ということではありません。
「本当に心から犬を飼いたい」という人に対して、「本当に必要な個体だけ」産ませて、「余剰を作らない」ことです。
きちんと出産の管理をして、殺処分されるような犬をむやみやたらに作らないことです。
それが、「犬を管理する」ということだと思います。

そのためには、いつでもどこでもペットが手に入る今の環境を変えなくてはいけません。
必要な人は、シリアスブリーダーのもとへ行き、1年以上子犬の誕生を待ち、シリアスブリーダーに直接お金を支払って、生涯大事に暮らしていく。という世界を作ることです。

しかし、それよりも良いのは、今現在殺処分の危機にさらされている雑種の犬を保健所や愛護センターから引き出して飼うことです。
悪質ブリーダーやペットショップに利益を与えないことです。

とにかく私が声を大にして言いたいのは、「普通に飼うなら、雑種で十分!」ということ。
普通に可愛いし、普通に賢いし、普通に愛情深いし、普通に個性豊かです。
集団で来られたら飼い主以外には誰が誰だかわからないブランド犬と違い、少しでも犬が好きであれば一目見てわかるほど個性的な容姿をしています。
「自分だけの、唯一無二の犬」感半端ないです。

勿論、性格も様々です。
ビビリだったり、強気だったり、甘えん坊だったり、ツンデレだったりします。
それはブランド犬でも同じだとは思いますが。

どうですか?雑種。
本当に本当におすすめです。

悪徳ブリーダーや彼らを食わせているペットショップを稼がせるために何十万円ものお金を無駄にするより、数万円で雑種を貰って、その子と色んな楽しいことをするためにその数十万円を使いませんか?
愛護団体に寄付するのでも、もちろんいいと思います。
お金はもっと有意義に使ってほしいです。

これが、私が雑種を好きな理由、雑種を勧める理由です。

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