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明るい未来、消えない過去

私は、学校生活やクラブ活動などの場面において同級生や先輩後輩などの人間関係で悩んだり、苦労した記憶がありません。もしかしたら、自分の存在が誰かにとって人間関係を悩ませる原因であったかもしれないし、自分の言動で誰かを傷つけてしまったこともあったのかもしれません。しかし、そんなことは考えずに今まで過ごしてきました。だから、誰かにいじめられたり仲間外れにされた経験がある人の気持ちは理解できないし、今まで理解しようとしたことがありませんでした。しかしそういう経験をしたことがある人ほど、強く、優しく、そして愛のある人になれるんだと感じることができた機会がありました。

それは、久しぶりに話した中学時代の同級生の存在です。私の持っていた彼の中学生の頃のイメージと、現在の彼と話した時に感じた印象は全く異なっていました。彼は、中学生の頃にあまり良い思い出がないことを打ち明けてくれました。同級生からの仲間外れ、グループでの会話で自分の発言にだけ誰からも返信がないことなど、私が経験したことのない人間関係での苦労を経験していました。そんな彼は、中学校を卒業する頃にどうすればそういう扱いをしてきた人間たちを見返せるのかを考えたそうです。

彼はまず初めに、自分に対して嫌な接し方をしてきた人たちよりも絶対に幸せになってやると考えました。しかし、幸せの価値観は人それぞれであることと幸せになることに明確な基準がないことから、幸せになることで彼らを見返すことにはならないと気づきます。そこで彼は、誰にとっても同じ価値であり誰が見ても明確な基準を持っているお金に興味を持ちました。そしてそこから何年もかけて血の滲むような猛勉強をし、ここ数年でやっと花が咲いて大きなお金を稼げるようになりました。彼に対して、嫌な扱いをしてきた人間たちを見返し、羨ましがられるような存在になることに成功した彼は今どのような考えに至っているのか。

そんな彼の口から出た言葉は、「どれだけお金を稼いで見返したとしてもやっぱり傷ついた過去の経験は消えない」という言葉でした。

私から見た現在の彼は今を生きていて、彼には間違いなく明るい未来が待っていると思います。しかし、やっぱり過去は変えることができなくて、これからもその経験と一緒に人生を歩んでいくしかないのだと思います。でも、そんな彼だからこそできること、気づけることがあると思います。例えば、彼の言葉遣いはとても綺麗です。理由は、自分が罵られたり暴言を吐かれて嫌な思いをした経験があるから、人に対しては言葉を慎重に選び、誰も傷つかない言葉で話すように心がけていると語ってくれました。

そんな彼のネガティブな過去をポジティブな未来へと変換できる強さ、そして自分がされたことを誰かに仕返すのではなく、その悔しさを糧に努力ができる思考、さらに決して人には同じ思いをさせないように心がける優しさ。彼から人としてたくさんの魅力を学ぶことができました。今まで人間関係において悩んだり苦労をした経験がないからこそ、そういう経験をしたことがある人の気持ちに寄り添うべきだと感じました。そして、過去にそういう経験をしたことがある人は、経験がない人よりも遥かに強く、優しいです。

人よりも強く、優しい人間になるために人間関係で嫌な経験をするべきという訳ではないし、全員が彼のようにネガティブな経験をポジティブに捉えることができる訳ではないと思います。でも、彼のように人を傷つけない心がけや言葉遣いをすることは誰でもできるはずです。少なくとも私は、彼の話を聞いて相手の気持ちに寄り添える愛のある人間になりたいと強く思いました。

話してくれてありがとう。人として成長する機会をくれてありがとう。
いつか龍のような経験をする人がいない、愛に溢れた世界になるといいな✌️

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