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日本一になることよりも良い経験がある

今回は、自分自身の怪我の経験から、同じように怪我で苦しんでいる人たちに向けて、微力でも何か力になれれば良いなと思います。
私は、3歳の頃から柔道をはじめ、日本一を目指して競技を続けてきました。「怪我は付き物」と言われる柔道において、目指す目標が高ければ高い分、稽古は激しくなり怪我のリスクも高まるのか、それとも私の身体がその稽古に耐えれるだけの体力がなく、怪我が多かったのか。答えは誰にもわからないですが、私はたくさんの怪我を経験し、その度に乗り越えてきました。そして、そんな私の怪我をした時の精神的状況などを思い出しながら、現在怪我に苦しんでいる人たちへ、私の考えを綴りたいと思います。

私は試合で勝つこと、結果を残すことが全てで、それができなければ、競技をしている意味がないと考えていました。そして、そのための稽古を積み重ねた結果、私は多くの怪我も積み重ねてきました。
その競技と本気で向き合っている人ほど、怪我をした時の挫折は大きいと思います。怪我の大小に関係なく、怪我をすることで練習ができない不安や周りの仲間においていかれるような感覚になり、精神的なストレスがかかります。焦って復帰をし、またその怪我が再発する人や怪我をしていても無理して練習を続け、悪化させてしまう人など、怪我による焦りは誰もが身近に経験したことがあると思います。

しかし、私が怪我で苦しんでいる人に伝えたいことは、日本一になることが全てではないということです。確かに結果を残すことでできる恩返しもあるし、自分の過程を証明するためにも結果がついてくれば、それ以上のことはないと思います。だからと言って、結果を残せなかったら恩返しができないのか、今までの過程が全て間違いになってしまうのか。私はそうではないと思います。

「結果が全て」と考え、競技を続けた私にとって、この考え方を受け入れるのには、かなりの時間がかかりました。しかし、周りの人が何を言おうと、挫折したのは自分の心であり、怪我をしたのは自分の身体です。つまり、自分なりの答えを見つけることでしか、前には進めません。誰に何を言われようが、自分の人生は自分自身で決めるべきだと思います。そして私は、目に見える結果でしか自分を測れない人間よりも、目に見えない自分だけの物差しで人生を測れる人間になりたいと思うようになりました。

私は、怪我の治し方や挫折からの立ち直り方を伝えることはできませんが、もし仮にその方法を知っていたとしても、人に伝えることはしないと思います。理由は、それだけ怪我による競技の戦線離脱、精神的に大きな挫折は経験する価値があると考えているからです。少なくとも私は、そう言えるだけ怪我によってたくさんのことを学ぶことができました。怪我によって自分自身と向き合う時間が増え、孤独を感じることもあるけど、暗闇は暗ければ暗いだけ、わずかな光に気づくことができます。そして、その光は未来を明るく照らしてくれます。

私は小さな怪我から手術が必要な大きな怪我まで、たくさんの怪我を経験し、大きな挫折を味わいました。しかし、自信を持って日本一になることよりも良い経験をしたと言えます。だから、今現在怪我をして競技ができずに苦しい思いをしている人には、たくさん悩んで自分なりの答えを見つけて欲しいと思います。例えその答えが競技を辞めるという答えだったとしても、その経験が自分自身をより強くし、周りにも優しくできる、愛のある人間へと成長させてくれると思います。

日はまた必ず昇ります。少しでも早く、その光に気づけることを心から願っています。多くの人の人生が世界でひとつの輝く光となりますように。


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