思い出深い物、石の雨

もう15年以上前の話だが、MtGにも高校選手権大会というものがあったことをご存知だろうか?
この話を切り出している時点で筆者も片足を『おじ』に突っ込んだ者であり、あったね!と思い出して頂けた皆様に至っても恐らく同様であろう。
(お互い、気持ちだけは若くあり続けたいですね)
そして多くの方がご存知ないのではないかと思うので、まずはどういう大会であったかを記載したい。

全国高等学校選手権、2000年から2006年にかけての夏季に日本でのみ行われた高校生の祭典。別名「マジック甲子園」。3人1組のチーム戦で行われる。参加者には専用のライフカウンター等の景品も配布された。
日本各地で予選を行い、予選を通過した16チームにより本戦が行われる。廣澤遊太、覚前輝也、石村信太朗など、強豪プレイヤーが軸となっているチームは活躍することが多い。
2002年には450以上のチームが予選に参加していたが、2006年は60チームと激減。参加者減少を受けて、2007年は開催中止となった。全国高等学校選手権、2000年から2006年にかけての夏季に日本でのみ行われた高校生の祭典。別名「マジック甲子園」。3人1組のチーム戦で行われる。参加者には専用のライフカウンター等の景品も配布された。
日本各地で予選を行い、予選を通過した16チームにより本戦が行われる。廣澤遊太、覚前輝也、石村信太朗など、強豪プレイヤーが軸となっているチームは活躍することが多い。
2002年には450以上のチームが予選に参加していたが、2006年は60チームと激減。参加者減少を受けて、2007年は開催中止となった。
(MTG wikiより抜粋)
また上記のWikiには記載が無かったのだが、当時は1チームで同名カードは4枚まで…というルールが設けられていた。現行のチーム戦だと基本土地を除いて、同名のカードはサイド含め1人のデッキにしか使用する事が出来ないので、若干ルールも古いものとなっている。
だがこのルールが今回の話の中心になるので覚えておいて欲しい。

さて、そんな高校選手権の近畿予選に私は友人と参加することになっていた。まさに開催中止となる前のギリギリ、2006年のことである。
当時の環境はラヴニカ・神河のスタンフォーマットで、私の周りでよく見るアーキタイプとしてはグルールやオルゾフ等で梅澤の十手を握って突撃してくるアグロやビートが多かった。

そりゃFxxkin Japanese Weaponって言われるよ…

友人2名とどんなデッキを使うか考える中、1チームにおける同名カードは4枚までなので、梅澤の十手の奪い合いはやめようという共通見解に至った為、私と友人Aは、友人Bにセレズニアビートを託すこととなった。
というかそもそも十手自体、3人併せて4枚しかなかった、バイト禁止の高校生にとって梅澤の十手は高級品だったのだ…。
(ちなみに梅澤の十手は構築済みデッキに収録されていたが、当然どこにも売られていなかったし、売っていても定価ではなかった)
ご機嫌に友人Bはデッキ調整を始め、友人Aと私はそれぞれどんなデッキで出るか考えようということになった。

期末試験もそっちのけで考えていく中で、マグニボア・ワイルドファイアというデッキを気に入り、これを調整して出ることを心に決めた。
未達の目、ブーメラン、石の雨、併合、燎原の火というカードを使い、土地を割りながら墓地にソーサリーを溜め込み、猛烈に食うものを2回通してゲームエンドを狙うデッキである。

これとブーメランで土地を手札に
割ってしまえば戻ってこない
奪ってしまって返さない
ついにはクリーチャーごと焼く
最後は大体7/7くらいになってました


相手が土地事故を起こしてくれれば、あらゆるデッキに対しても何とか勝ちを狙いに行ける、自分にとってのスーパーデッキ。一人回しでさえ気持ちよかった。

デッキを決め、高校生活をこなしている内に友人Aと友人Bの練習日になり、友人Aと私はそれぞれのデッキレシピを交換して驚くことになる。

石の雨、被ってる…?

なんと友人Aが持ってきたデッキはティムールランデス…いや、当時はティムールなんて言葉は無いので赤緑青ランデス。
序盤は桜族の長老等で加速をしつつ、中盤からは石の雨や忍び寄るカビによるランデス、最後はシミックの空呑みや潮の星、京河といった制空権を握るカードでゲームを決めるデッキで、ゲームプランは似通っていた。

友人A曰く、見た目が最高
永続的コントロール奪取は強い

友人Aも私も、それぞれのデッキレシピを見た結果、これは良いデッキだという共通見解になったのは間違いない。そもそもお互い好きなアーキタイプなのだから。

その後は二人して
学食1回奢るから!俺は2回奢る!でも絶対このデッキの方が強いから!こっちのほうがゲーム決める動きがかっこいいから!
いっそ2枚ずつする…?十手は託したのに何で石の雨は2枚ずつやねん!

と、余りにも不毛な石の雨の取り合いを始める。

最後は友人Bの仲裁もあり、お互いのデッキをとりあえずセレズニアビートにぶつけてみることになった。結果はマグニボア・ワイルドファイアの方が勝率が良く、友人Aは泣く泣く石の雨4枚の枠を筆者に譲ってくれた。石の雨を勝ち取って嬉しかったのは、今までのMtG歴ではこれ以外存在しない、恐らくこれからもしないと思う。
その後、友人Aは悔し気にもう少しデッキを煮詰めてみる…といって様々なデッキを回すのだが、調整は迷走。赤黒白天使、ボロスアグロ十手抜き、緑トロン等、本当に様々作っては崩しを繰り返していく。赤黒白天使はなかなかいい勝率だったので、友人Bと私はこれを推していたが、どうも好きになれないようだった…。

そのまま時は経ち近畿予選前日、友人Aはあらゆるデッキを回すも、最高のデッキを決め切れずにいたが、最終的には友人Aは石の雨が無くてもいい、ティムールランデスで出る…と強く主張し、高校生でMtGの大会をこの3人で集まって出られるのは、受験も考えたりすると今回が最後かもしれないし、それなら好きなアーキタイプで出よう!!と方針も決まり出場。

これで華々しい結果に終われば良かったのだが…。
チームとしては頑張ったものの予選通過には至れず、ただ悪くない結果ではあったので、上位賞(?)のコールドスナップブースターをそこそこ貰って最初で最後の高校選手権は終了。
「俺にも石の雨があればなぁ…」と零しながら帰る友人Aを、友人Bと二人で笑った。

当日はこれがよく刺さったことを覚えている、筆者は3-1だった

記事にしながら改めて思ったが、一緒にMtGをプレイする友人と、石の雨のおかげで結果は伴わずとも、心から楽しかったと思える大会だった。
月日が経って、15年前に勉強したことは忘れていくが、石の雨の奪い合いは忘れられない。

たった1枚のカード、それもただのコモン、でも大きな思い入れのあるコモン。
そんな1枚が私にもこれから増え続けてくれたら嬉しいし、これを読んだ人にもそんな1枚があれば、或いは出来れば嬉しい。
最近は再録されない石の雨だが、きっとまたパックから出てきてくれた時は今は無くなった高校選手権を思い出すだろう。


余談だが調整のしすぎで私は期末試験でそこそこ洒落にならない量の赤点を取ったので、学生の皆さん、勉強もほどほどにしてください…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?