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小さいおじさん〜その6〜



終わりを考えると今が定まる


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理想のお葬式を考える。
それを考え出してから僕の中でいくつか決めたお葬式像ある。

それはそこに、

・1000人の人がやってきている
・日本だけでなく世界中からの友人が来ている
・父ちゃんすげぇと子どもが感動して泣いている

という事。
まだまだ曖昧だけれど、これだけは決めた自分の理想のお葬式。


そう思うとなんだか出会う人との一期一会を大切にしたいと思うようになった。やりたいと思ったことはとりあえず挑戦してみるクセがついて来た。
海外へ行きたいと漠然と考えるようになった。

なんだかわからないけれど、自分の中がポジティブなエネルギーであふれていた。

人と会うのが楽しくてしょうがない。
人と会いたくてしょうがない。
めんどくさいとおもうことがなくなった。

僕はのめり込むとバカみたいに徹底的にやるクセがあった。
だがすぐ飽きる。
いわゆる三日坊主ってやつだ。グウォっと燃えてシュンと冷めてしまうクセがある。

けれど、この時はなぜだか三日坊主にはならなかったから不思議だ。

好きなことしか続けられない。

僕の短所で長所だった。


ある時、ギャンブラー時代から僕が好きだったことを考えてみた。。
と言うか昔からの趣味というか好きなことといえば、

・外食
・サッカー
・パチンコ屋
・ゲームセンター
・漫画喫茶
・飲み会

びっくりするくらい、毎日パチンコ屋と、この中のどれかのループだった。
でも本当に好きで楽しかったから飽きなかった。

パチンコ屋でのギャンブラーという仕事を終え、みんなを引き連れご飯に行ったり、遊びに行ったり、
とにかく楽しいことにはガンガンお金も時間も使えた。
そしてお会計の時は必ず全部おごっていた。

財布にお札がたくさん入った自分、
おごっている自分が好きでかっこいいと思っていた。


”職業プロギャンブラー”を辞めてからというもの、めっきり変わったことがある。

それが、"割り勘"をするようになった事。

ご飯を食べに行っても、自分の食べた物だけ払ったり、きれいに人数で割り勘してお会計をする。
友達の誕生日プレゼントを買ってもみんなで割り勘している。

もちろんそれが普通だと思えばそうなのだが、昔はなにをするにも、どこに行くにも当たり前のように出していたのに気づいたら割り勘をする自分になっていた。

そして、それを人から言われるまで気づかなかった。

“最近人におごってる姿をめっきり見なくなったわ。”

”!!!”

自分の頭の上にリアルにビックリマークが出たと思った。
それくらいの衝撃。。




毎日、当たり前のように一緒にいた昔のパチンコ屋時代の友達。
その友達とは毎日当たり前かのように一緒にいた。

みんなで夜中から並んで、朝から閉店までスロットを回して、夜ご飯を食べて遊んで、先頭に行ってまた並んで、、。
本当にそんな生活だった。

そして財布の中には、いつだってなにがあってもいいように数十万円は入っていた。

それがこの日、この言葉を言われた時、財布の中を見た時、リアルに3200円しか入っていなかった。

今でも覚えている。
あの時、全身の力がなんだかガクンと力が抜けた。

これだけいろんな人にあって、いろんなことをやって、忙しくしているのに、ギャンブラー時代のがお金を稼げていた。
もちろん気持ちの充実度は今のが高い。しかし、リアルに金銭面を見るとなんだか切なくなった。




“いつか絶対お金はついてくる”
そう思って、そう信じてやるしかなかった。

そんなことを一回意識しだすとなかなか抜けられなかった。
なにをしてても、“これをやったらいくらになるのだろう?”なんてことを考えてしまう自分が出てきた。


そんなこと考えるな!と自分に言い聞かす時に限って、いろんなものが目に止まる。

新しいi-phoneが出たり、見たい映画が次々と始まったり、おまけにコンビニスイーツも次々と美味しそうな新作に溢れかえっていた。


”昔ならこんな迷うことはなかったのに。迷ったらとりあえず両方買ってたのに。”

そんなことを感じた時、一つわかったことがある。

昔は、迷わず決めれていたと思っていたけれど、実はあれは決めれていたでなく、実は後悔したくないから両方を選択していたに過ぎなかったということ。
そしてそれは、"お金が常にあるという少しの心のゆとりが生む行動と選択の違い"だった。

お金に余裕がないと心にこんなにも余裕がなくなるのか?
自分自身でそれを痛感した。




当時、読んでいた自己啓発本にはこんな事が書いてあった。

"コンビニで買い物をした時のお釣りは募金しなさい"

"収入の10%は寄付しなさい"

これの言いたいことは何となくわかっていた。
けれど、なぜかそれが当時は出来なかった。

1円や5円、10円の硬貨のお釣りならコンビニでレジ横に置いてある募金箱に入れることはできる。けれど、100円や500円をとてもじゃないが募金箱に入れることなんて出来なかった。

そんな僕が収入の10%を募金しなさいなんてできるわけもない。




小学生の頃、先生がこんなことをよく言っていた。

"自分が苦しい時にこそ、人の事を思いやる心が大切。"

スポーツをしている時、勉強している時、
なにかみんなでプロジェクトを立てやってる時、そんな時は当たり前のように周りを思いやって動ける。

けれどこれが、リアルに自分の生活に直接関わることになると人間とっても小さくなってしまうもんだ。

どうしたら心の広い人になれるんだ?
どうしたら心にゆとりのある人になれるんだ??

考えても考えても、わからなかった。



人生で1番インパクトのあった忘年会


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12月18日。
忘れもしないこの日、僕はとても大切なことを教わった。

これを知らなければ僕はきっとずっと財布の中にお金がないと生きていけないと思っていた。

"へ?なに言ってるの?財布の中にお金がなかったら生きていけないよ。当たり前じゃん"

そう思ったあなた。

ぜひこれを覚えておいて欲しいです。
本当にびっくりするくらい変わります。




僕らはその日、少し早い忘年会をしていた。

チェーン店の居酒屋に入り、掘りごたつのテーブル2つに12〜13人ほどで座っていた。

"今年もいろんなことあったよな〜"

"もうお前のとこに子供がいるなんて信じられない"

"来年はみんなで旅行に行けるといいなぁ〜"

そんな、たわいもない話をしながらご飯を食べながらお酒も進んでいた。

あー楽しい!なんて思ってるうちに2時間の飲み放題コースは終了。


お会計の時、小さいおじさんは席を立ちさらっとお会計を済ませてきた。



小さいおじさん「みんなホンマに今日もというか今年もありがとう。みんなのおかげで色々あったけど今年も最高な一年やった。こうやって笑って飯食って幸せな気持ちになれるんもみんなのおかげやわ。こんなことしか出来んけど飯くらい奢らせてもらうな!」


あざーっす!
ありがとう!
ご馳走さま〜!

みんな各々お礼を言う。

店を出て駐車場で、ご馳走様を伝えると小さいおじさんはこう言った。

「食後のデザート食べへん??」

そう言って僕らは近くのファミレスに向かった。
夜11時。こんな時間に大の大人2人がスイーツを求めファミレスに入った。



小さいおじさん「いちごフェアやって!」

そう言って興奮している小さいおじさん。


小さいおじさん「今年どうやった?少しは成長出来た感あるか?自分の中に。プロギャンブラーやめて、生活ガラッと変わったやろ。財布の中身もガラッと変わるわな。笑」


そう言って笑っている。


ぼく「生活はめちゃくちゃ充実してます。ただ、変な不安や焦りがでます。特にお金がないときに。。」

そう伝えここ最近の話をお互いにしていた。



急に小さいおじさんが違う話をし出した。

小さいおじさん「"出入り口"の話知ってる?あっ、それか"地球が丸い訳"の話は?」

なんだそれ?
そう思いながら知りませんと伝えた。

すると聞いてもないのに話し出す。

小さいおじさん「どっちからがええかな〜??ん!まず出入り口からやな。これいたってシンプルにズドーンだから一瞬の質問な。

出入り口っていうやろ?
入り出口とは言わへん。

なんでやろうか?

普通は建物の中に"入る"から出るやん?だから普通に考えたら"入り出口"の流れやねん。

誰が反対の"出入り口"って言葉作ったんやろうな?」




ポカーンとした。
なんでこの話をするんだ?

その意図すらもわからなかった。



僕「わかんないです。昔からある言葉だし、世の中には出入り口って言葉で浸透してるので考えたこともないです」

そう答えた。

すると、


小さいおじさん「あんな俺なりにな、これめっちゃ考えたことあったんだわ。真剣に。なんで?なんで??って。

んで、考えてたら初めての"出る"はいつだってとこに行き着いた時にな、俺なりの答えがあってん。

それはな、お腹の中から俺らは"出て"きて人生始まってんねん。"出て"きたからたくさんのものを頂けてんねん。

出たり出したりする事で全てが始まる事実を俺もう知ってるわって、そん時気づいたんよな。

出るや出すはendじゃなくstart。」



"出入り口"という言葉は日常の至る所で目にするし、誰もが口にした事がある言葉。

でも出入り口って言葉になんの不思議な気持ちも沸いたことはなかった。
けれど、なんだろう?この胸のゾワゾワする感じは。。


小さいおじさん「ほんでもう一つ。"地球が丸い訳"知ってる?これも俺考えてたねんで。笑
あほやろ?俺。んでもな、俺なりの答え出てん。」




ぼく「公転とか自転とかがないと生物が生きられないからじゃなくてですか?」

間髪入れずに言った一言。



小さいおじさん「想像力使ってみ。学者さんみたいな答えなんかせんでええねん。そもそもその自転公転すらわかってないやろ?笑」



そう笑い返してきて、イチゴのパフェを食べている。。



小さいおじさん「これもなめっちゃ考えてん。普通に言ったらニュートンが重力を見つけてそれは地球が丸く自転をしているからみたいな感じやろ?

でもな、思ったんよね。地球は丸い。なぜ丸い?自転うんぬんの前に平らな世界に無くて、丸い世界にあるものなんやろ?

そしたらな、これまた俺なりに答え見つけてん。


もしもな、もしも地球が丸くなかったらどうよ?平らな世界。重力もない。そこじゃ投げたもんや出したもんは遥か彼方に言って行方不明やろ?迷子になったらもう最後、分からへんわ。

けどな、地球が丸いのは"戻ってくるようになってる"からちゃうんか?って思ったわけよ。

日が出て沈んでまた登って沈んで、戻ってくる。
まっすぐひたすら進む旅に出て平ら世界や迷子だけど丸いから帰ってこれる。
世界一周をした人が出た場所に帰ってくるのは地球が丸いからやん?

地球が丸いのってきっと地球を作った神さまがちゃんと計算してたんじゃないか?

"出したもんはそこにまた戻るぞ"って。

人間成長させてくれるために地球は丸いと俺は思ってんねん。


悪いことしたらグルーっと回って自分に返ってくる。
良いことしたらグルーっと回って自分に返ってくる。

自分から出したもんが自分に最終返ってくんねん。

その自分が出したもんがグルーっと回るうちに良いことならプラスを、悪いことならマイナスを引き連れて返ってくる。

地球が丸い訳。
昔からの言葉に答えはあった。


それは、“我が身から出るものいずれ我が身にかえる”ってことや。

どう?なかなかおもろいこと考えてたやろ?

だからな、コンビニでお釣りを募金とか寄付にしなさい。収入の10パーセントを寄付しなさい。そういう教えも人それぞれ捉え方も違うと思うけど、俺は根幹はここやと思ったねん。

我が身から出るものいずれ我が身にかえる。

募金や寄付は困ってる人の役に立ち、幸せにする。
だから、自分にも幸せが返ってこん訳ないやん??

それがどのタイミングで、どんな形で返ってくるかなんて誰にも分からん。

ただな、間違いなく全ては回ってるから戻ってくる。」




なんだか自分の中で詰まっていたモヤモヤが吹っ飛んだ気がした。



小さいおじさん「もしな、募金とか寄付とか難しかったり、恥ずかしかったら無理せんでもええねん。

そりゃどこの誰に行くかもわからんかったら動けん人やっておるからな。

だからな、そんな時は自分の年下の子ら、後輩と飯行った時にご馳走したればええと思うんよな。

ご飯おごったった時に"今度はおごってな!"って言うんやなくて、"自分らの後輩に今度ご馳走したって!"と言ったればええ。

そうしたらな、しっかり想いを乗せて循環してくねん。回っていくねん。


割り勘なんて極力年下としたらあかんと俺は思ってる。俺はな。笑顔で今日も、ありがとな!色々お互い大変やけどがんばろな!なんかあったらいつでも相談してこいよ!
そう言って飯を奢ったたらええ。

あんな先輩になりたいと思ってもらったら
しっかり後輩の後輩にそう言うもんは残ってくから。

いつかお前が苦しい時、その後輩たちが力になってくれるかも知れん。

俺の場合がそうやん?
年下のやつに囲まれて、みんな不器用だけど夢持ってまっすぐ生きて、それぞれ助け合って生きとる。

たった一度のご飯がたくさんの人の幸せに繋がってんねん。

そう考えたら募金より簡単やろ?目に見えるしイメージもできるからな。」




そう言って優しくニコッと微笑む小さなおじさん。

今思えば、僕は今まで一度だってお会計を払ったことがなかった。

いつもこの小さなおじさんが、"飯くらいええよ。楽しかったしありがとな。"
そう言って払ってくれていた。

遠くから来てくれたときも
自分の仕事すらうまく言ってない時でも

いつだって笑顔でありがとうなって言ってご飯を払ってくれていた。

そんな、小さだおじさんの周りにはいつも、彼のようになりたいと思う人が溢れ、いろんな人の縁で仕事が舞い込んでいた。


"これならできるかも知れない。"

僕はそう思った。

それ以来、僕は後輩にはご飯をご馳走するようにしている。
たとえそれが初めましてだとしても同じだ。

けれど、その払い続けているご飯代なんかよりも遥かにたくさんの縁やキッカケを頂いている。


募金する。寄付をする。
素敵なことで、意義のあること。

けれど、もしもその先がイメージできない、恥ずかしい、そんな時は是非覚えおいてほしい。

懐っこい後輩と
憎たらしい後輩と
初めましての後輩と

テーブルを囲んだらありがとうなとご飯代をそっと出す。

そこから始まる、一生の縁がたくさん生まれる。お金も想いもしっかり周り育って行く。


常に年下にはおごれ。さらば道は切り開かれる。

つづく、、

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