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三略講釈【上略-19】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回も軍讖からの引用の話です。

本文現代語訳

「軍讖には、『軍に資金がなければ、人材は集まらない。軍に褒賞が無ければ、人材はやって来ない』と書かれている。また軍讖には、『美味い餌の所には、必ず魚が集まって来る。十分な恩賞のある所には、必ず勇敢な兵士が集まる』と書かれている。そこで礼を尽くせば優秀な人材が集まり、十分な恩賞があれば命を懸けて働く人材が集まる。だから礼を尽くして招いて、十分な恩賞を約束すれば、求めている人材が集まるのである。ただし、礼節を尽くしておきながら後で後悔するようでは、人材は去ってしまう。十分な恩賞を約束しておきながら後で後悔するようでは、人材は留まらない。礼節と恩賞を惜しまなければ、優秀な人材は死を争うように働いてくれるのである。
 軍讖には、『これから戦争を始めようとする国は、まずは国内に恩恵を施す努力をしなければならない。敵国を攻め取ろうとする国は、その前に民衆をしっかり養わなければいけない』と書かれている。少数で多数に勝てるのは、恩を返すために必死で戦うからである。弱兵でも強兵に勝てるのは、民衆の協力が得られるからである。そこで名将が兵士を養う時には、我が身の事のように大切にするのである。だからこそ全軍が心を一つにすることができ、そこで戦えば勝つのは間違いなしとなるのである」


解説

前半は人材の登用と待遇についてです。
前にも出て来た話ですが、十分な報酬を用意して礼を尽くせば優秀な人材が集まり、全力で働いてくれます。
ただし最初だけ高い報酬を払って礼を尽くしても、後から報酬を払い過ぎただとか、厚遇し過ぎたなどと後悔するようではいけません。
優秀な人材ほどそう言うことを察し、いずれ離れて行ってしまいます。
後半では国民に恩恵を施し安心して暮らせるようにすることで、国民は国のために一致団結し、そうすることで軍隊も心を一つにして戦うことが出来ると言うことを述べています。
君主からの恩恵を十分に受けられる住みやすい国であれば、国民は敢えて命じられなくても、自発的に我が国を守ろうと団結するものです。
これは直接戦闘に関わることではありませんが、戦略と呼ばれるような普段からの政策も重要だと言うことです。

今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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