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有利な布陣場所

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回の布陣場所の話は、同じ軍を置く場所でも前回とは違い、間もなく戦闘が始まると言う敵と対峙している時のお話です。
動画の詳しい説明を見た方が、より理解が深ると思います。


原文
「凡そ戦いは、風を背にし、高きを背にし、高きを右にし、険を左にし、沛を歴、圮を歴、兼ねて環亀を捨てよ」

現代語訳
「戦いの際には、風を背に受け、高みを背後か右側になるようにし、険阻な地形は左側になるように布陣する。湿地や道が崩れた場所は素早く通り過ぎ、亀の甲羅のような小さな丘にはあがらないようにする」

これから敵と戦う時に、地の利を活かせる場所に布陣する必要があります。
司馬法はそれを分かりやすく説明してくれています。

1.風
風を背に受ける、つまり追い風になるようにするのが理想です。
風のおかげで弓矢の飛距離が増え、逆に敵の矢は届きにくく、攻める時は追い風で進みやすく、敵は向かい風で攻めにくくなるからです。

2.高い地形
崖のように高さがある地形を障害物とし、その方向から敵が攻めて来る可能性を減らします
一番守りにくい背後を高みに預け、可能であれば味方の右側も敵が来ないようにするのが理想です。
これは当時の戦い方だと盾と武器を持つ手の関係で、右側から攻められる方が左側から攻められた時より守りにくいとされているのが理由です。

3.険しい地形
森のように通行出来ない程ではないけれど、攻める時には通りずらいと言う険しい地形は味方の左側に来るのが理想です。
敵がその地形を避ければ、先の条件と合わせると敵が正面から攻めて来るので戦いやすく、万が一険しい地形を突破して来た場合でも、敵はその地形の険しさで思うように行動出来ないので有利となります。

4.足場の悪い地形
湿地や道が崩れているような足場の悪い地形には布陣しないようにします。
そんな所に居ては身動きが取れず、敵に一方的にやられてしまうだけです。

5.小さな丘
前回の駐屯場所の話の時にも出てきましたが、小さな丘に軍を置くと身動きが取れなくなり、仮に高地を占めると言う有利さを得ても、それを帳消しにしてしまうほどの不利益を被ります。
ですので丘や堤防のような場所には、長期的にも短期的にも軍を置かず、足場の悪い地形同様に素早く通り過ぎた方が良いでしょう。

全ての条件を同時に満たせるとは限りませんが、可能な限りこの条件に合う場所に布陣することで、戦いを有利に進めることができます。


前回の駐屯場所の話は孫子から原文を抜き出し、今回の布陣場所の話は司馬法から原文を抜き出したのですが、どちらの話にも共通した部分があります。
時代を超えて二人の有名な兵法家が言及すると言うことは、それほど大事なことだと言えるでしょう。

本日の解説はここまでです。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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