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実戦の要点

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
前四回で解説した話は非常に重要な部分ですので、中級編序盤のおさらいと言うことで、再度実戦の要点として復習しましょう。

話で聞いた方が分かりやすいと思うので、ぜひ動画の方もご視聴下さい。


実戦の要点の一つ目は「正と奇」です。
正とは、意外性はないけれど堅実に戦うことのできる正攻法。
奇とは、相手が予想しなかった方法で戦う奇策や奇襲のことです。

戦いの流れとしては、まずは正攻法で戦いを始めて敵の注意を引き、相手が手一杯になったところで奇策を仕掛けて混乱させ、その混乱に乗じて一気に勝ちを得ると言うのが理想です。

次に「正と奇の変化」について解説しました。
正と奇は固定したものではなく、正は奇に、奇は正に変化します。
例えば最初は正攻法で戦い、敵には主力だと思わせておいた部隊を、程よい所で後退させて敵をおびき寄せます。
そして分散させて奇襲部隊と思わせておいた兵力を集結させ、側面から正攻法で攻撃させます。
最初は正攻法で戦っていた部隊はいつの間にか敵をおびき寄せる奇に変化し、奇襲部隊だと思わせておいた部隊は正攻法で戦う正となる
これは一例ですが、戦場ではこのように、常に正と奇の変化(入れ替え)が起きています

「虚と実」と言うお話もしました。
実には兵力が充実しているとか、備えが十分と言う意味があります。
虚には兵力が不足しているとか、備えが不十分と言う意味があります。

また兵法独自の解釈で、戦場の主導権を握っている方を実、主導権を失っている方を虚と呼びます
当然味方が実であれば有利ですので、将軍は味方が実になるように策を講じます。
また敵が虚であればより楽に勝てるので、敵が虚になるように色々と手を打ちます。
口で言うのは簡単ですが、味方を実にして敵を虚にするのは簡単ではありません。
兵法書で学び、実戦で覚え、そうやって虚と実と言う考え方の理解を深めて行くことが大切です。

そして「兵は水のように」と言うお話をしたのが前回です。
これは具体的な話ができず、どうしても抽象的な話になってしまうのですが、今一度簡単に説明します。
水は必ず高い所を避けて低い方へと流れていきます。
軍の動きもそれと同じように、敵の強い部分である実を避けて、必ず敵の弱い部分である虚の方に進撃すべきだと言うのがまず一つ。
もう一つは、水に決まった形はなく非常に柔軟で、丸くても四角くてその容器の形に合わせてしっかりと収まります。
軍も同じように戦場の状況に合わせて、水のように柔軟に態勢を変えて戦う必要があります。
大きくこの二つの理由により、軍の動きは水の動きを手本にするべきだと言われていることから、兵は水のようにと言われています。

以上が中級編序盤のまとめであり、今後中級編を学んでいく上での大前提となる実戦の要点です。
どれも抽象的で概念のような部分が多いですが、この部分をしっかりと学んで自分なりの解釈を持たないと、段々と兵法を理解出来なくなってきます。
完全にではなくても、こう言う考え方があると言う部分だけでもしっかり理解して頂ければと思います。

今回の解説はここまでと致しましょう。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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