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三略講釈【上略-4】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回も三略を学んでいきましょう。

本文現代語訳

「軍讖には『臨機応変に柔と剛を使い分ければ、その国はますます繁栄するし、弱と強も上手く使い分ければ、その国は一目置かれるほど強い国になれる。もし柔と弱に偏ってしまうと、その国は他国から攻められて領土を削られ、逆に剛と強に偏ってしまうと、周りに国から恨みを買って滅ぼされてしまう』と書かれている。
 国を治める時の基本は、賢者と呼ばれるほどの智者と、民衆の協力が必要なのである。賢者を自分の腹心のように信頼し、民衆を自分の手足のように使いこなせれば、様々な政策を実行しても手落ちや不足が生じる事はない。これらが手足と体のように上手く連動し、骨と関節のように互いに助け合うようにすれば、それは太陽が昇って沈んではまた昇るように自然なことで、功績を立てるために無理をして失敗をすると言う事は決してないだろう」

解説

何度も出てきている柔と剛、弱と強の話です。
すでにこの四つを使い分けることについてはお話ししましたが、一度上手く行ったからと言ってそればかりに偏ってはならないと言う警告です。
柔弱で受け身になりすぎればジリ貧になり、剛強でありすぎれば誰も付いて来なくなると言うことです。
そして使い分けの話から転じて、内政における賢者と民衆の役割分担の話になっています。
ここで言う賢者とは君主を助ける官僚と読み替えていいでしょう。
君主が方針を決めれば、それに従って賢者が現実的な計画を立てて現場を監督し、民衆が実際に作業をする。
その様はどちらが重要だとか貴賤の差がどうとかではなく、四肢と体幹のようにどちらも必要で、各部位が互いに助け合うからこそ一つの事が成し遂げられるのです。
そしてその互いに助け合うことは当たり前の自然な状態であり、そうであれば何をしても無理がかからず成し遂げられると述べられています。

今回は一つの文章に二つの話が入っているので混乱するかもしれませんが、結局伝えたいことは同じです。
数あるものを偏らずに使い分ければ、それは元から一つのものであったようにお互いを補完し、無理なく成果を挙げられると言うことです。

今回の講釈はここまでと致しましょう。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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