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三略講釈【上略-5】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は民衆の声に耳を傾けるべきだと言う、少し具体的な内容です。

本文現代語訳

「軍事と国政で一番大事なのは、民衆の要望をあらかじめ察して、それに応じた様々な政策を行う事である。
 例を挙げれば、身の危険が脅かされている者が居れば守って安心させてやり、何かを恐れている者が居れば喜べるように目をかけてやり、過去に国に背いた者が居れば元の立場に戻れるように配慮してやり、無実の罪で罰せられそうになった者が居ればその無実を証明してやり、困り事があって何かを訴える者が居れば話を聞いてやる。
 不当に身分が低い者が居れば引き立ててやり、周りに比べて力が強過ぎる者が居れば少し勢いを抑え込み、敵対する者が居れば容赦なく討伐する。
 貧しい者が居れば豊かになるようにしてやり、仕事を欲しがっている者が居れば何か仕事与えてやり、過去に過ちを犯して後悔している者が居ればその秘密は守ってやり、智謀に優れた者が居れば重要な職に就けてやる。
 嘘で他人を陥れようとする者が居れば注意し、他人の悪口を言う者が居れば懲らしめ、反逆を企てる者が居ればその一族を廃止し、横暴な者が居れば厳しく処罰し、余りにも裕福な者が居れば少し資産を減らす。
 帰順する者が居れば受け入れてやり、服従を誓う者が居ればその身を保証してやり、降伏する者が居れば許してやるようにする」

解説

今回は現代語の内容のそのままなので、解説は簡単に済ませましょう。
良い国を作るために君主が民衆の声を聞くのは当然ですが、自ら民衆の生活を視察して民衆が望むことを察し、先手を打って必要な政策を行うのが最上であると言う話です。
沢山の具体例が挙げられていますが、私の解釈で五つの問題に分けて段落を付けています。
順に個々人の問題に関すること、周囲の者との関係に関すること、自立する機会を求めている者に関すること、害になる者への対処に関すること、一度敵対したが服従の意思を示す者に関することとなっています。
必ずしもこの通りというわけではありませんが、このように幅広い問題を解決することが君主の務めだと理解して頂ければよいと思います。

一部「裕福な者が居れば少し資産を減らす」と言うような現代にそぐわない内容もありますが、これは特定の者が必要以上に力を付けると騒乱の元になるので気を付けなければならないと言う話を、資産と置き換えた例え話だと考えれば大きな差異はないと思います。。
兵法書にはそのままでは現代にそぐわない内容だけど、その話の真意を理解できれば応用できると言うものが多々あります。
こう言う表現に今のうちに慣れておけば、より理解が進むと思います。

今回の講釈はいかがだったでしょうか?
それではまた、次回お会い致しましょう。

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