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三略講釈【上略-12】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回も進めてまいりましょう。

本文現代語訳

「軍讖には、『将軍が威厳を保つことができるのは、号令が的確だからである。戦いに毎回勝利するのは、軍隊の組織管理が適切だからである。兵士が戦いを恐れないのは、命令が正しいと信じるからである』とある。だからこそ将軍は、簡単に命令を取り消すようなことはせず、賞罰の取り決めは必ず天と地の巡りのように公正に行い、誰もがその結果を信頼できるようにしてから将兵を扱うのである。
 そうすることで兵士達に命令でき、国境を超えて進軍できるのである」

解説

将軍の威厳のお話しです。
兵士が将軍を軽く見て命令に従わなければ、軍隊は組織としての規律を維持できません。
では兵士達に軽く見られないようにするためにはどうするか?と言う話になります。
一つは命令を取り消さないことです。
命令を出したと思ったら取り消してすぐに別の命令を出すと言うのは、将軍が迷いを持ち正しい判断が出来ないと言うことですから、兵士達に軽く見られる原因になります。
次に賞罰の取り決めです。
手柄を立てれば褒賞が与えられ、軍法に違反すれば必ず罰せられる。
この判断に私情を挟まず、誰の目から見ても事実通りで間違いない賞罰だと言うことでなければなりません。
特に罰に関しては、本当なら罪に問われる者が贔屓されて罪に問われなかったり、罪を犯しても将軍にばれさえしなければよいとなってしまったら、全員が将軍のことを軽く見るようになるでしょう。
将軍が威厳を維持することは、軍隊の規律を維持するために必要であり、そのために重要なのは命令と賞罰であると言うことです。

「命令を取り消さない」と言う部分については、皆さんも思うところがあると思います。
新しい情報が入って来た後だと、先に出した命令が完全に間違いだったと言うこともあるでしょう。
その事については別に記事を設けてお話し致します。

今回のお話はここまでにしておきましょう。
それではまた次回、お会い致しましょう。

参考別記事「一度出した命令は変更してはいけないのか?

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